『White Men Can’t Jump』を観るべき理由|ストリートヘッズのバイブル Vol.152

90年代ヒップホップ×ストリート文化を丸ごと体感!笑い・熱狂・ファッションまで詰まったスポーツコメディの金字塔

ライター:TARO

「ストリートヘッズのバイブル」では音楽や文化の知識を知ることができる映画や本を紹介していくよ!今回取り上げるのはバスケ×ヒップホップ映画の金字塔『White Men Can’t Jump(1992)』!

『White Men Can’t Jump』とは?

舞台は90年代のロサンゼルス。かつて大学でバスケットボール選手として活躍していたビリーは賭けバスケで金を稼ぎなら、恋人であるグロリアと共に生活していた。白人であるビリーのことを黒人たちは「どうせバスケ出来ねぇだろ」と見下してくるのだが、実はビリーはかなりの腕前。舐めてくる黒人プレーヤーたちを打ち負かして生活していた彼はいつもように黒人のバスケットボール選手・シドニーをギャンブル・バスケで負かす。するとビリーの腕前を認めたシドニーからコンビを組んで賭けバスケをやらないかと持ちかけられる。

① ヒップホップ版・吉本新喜劇!?
ストリートバスケの笑撃コンビ

ストリートバスケ映画『White Men Can’t Jump』の最大の見所は主人公であるビリーとシドニーの罵り合いと良い意味で大雑把でツッコミどころ満載のストーリー展開。そのドタバタ具合はまるで大阪が誇るお笑い・吉本新喜劇だが、新喜劇ならボケとツッコミがあるところを『White Men Can’t Jump』は怒涛の1時間55分ボケっぱなし。ツッコむのは観客に任せるという日本ではなかなか見ないタイプのコメディ映画なのだ。ただそのツッコミながら楽しめるストーリー展開の中に人情やヒップホップカルチャーに欠かせないリスペクトも入れてきてるのが、この映画の乙なところ。
シンプルなスポ根映画やハードコアなヒップホップ映画では味わえない、ポップでファニー、そしてちょっと甘酸っぱい『White Men Can’t Jump』劇をぜひ楽しんで欲しい。

ウェズリー・スナイプス&ウディ・ハレルソン
が放つ化学反応

『White Men Can’t Jump』をコメディ・クラシックたらしめてるのはやっぱり主役を演じるウェズリー・スナイプスとウディ・ハレルソン。スナイプスはマーベル原作の映画『ブレイド』シリーズでの影響からアクション俳優として知られているけど、実はコメディからシリアスなドラマまでこなす演技派。特に90年代は『キング・オブ・ニューヨーク(1990)』や『ニュー・ジャック・シティ(1991)』など多くのヒット作に出演した超売れっ子だったんだ。『White Men Can’t Jump』ではフッド育ちのクールな一面とユーモラスさを併せ持つストリートボーラー、“シドニー”を見事に演じきっているよ。
そしてシドニーの相方となる“ビリー”を演じるのは『ナチュラル・ボーン・キラーズ(1994)』や『ハンガー・ゲーム(2012–2015)』シリーズなどへの出演で知られるハリウッドを代表する実力派俳優ウディ・ハレルソン。
『White Men Can’t Jump』ではぶっとんだバスケ青年を好演しているハレルソンだが、実は彼は私生活もかなりの破天荒。1983年には道路で踊り、交通渋滞を引き起こした上に駆けつけた警官を殴って逮捕、さらに1996年には環境保護を訴えてゴールデンゲートブリッジに登り逮捕されるなど、この映画の“ビリー”さながらのぶっとび具合なんだ。

クールなスナイプスと破天荒なハレルソン。もしかしたら彼らの性格がそのまま役にも顕ているかもしれない、でこぼこコンビの演技バトルはマストチェックだ。

③思わずプレーしたくなる
ストリートバスケのカッコ良さ

特に日本ではなかなか見ないストリートバスケというカルチャー。一発勝負のバスケの試合でお金をかけて“ハッスル”していく。いや、もうその設定自体でもヒップホップヘッズとしてはたまらなくカッコいいのだが、さらにしっかりとスポーツ映画らしくバスケのプレーシーンも超クールに描いているのが、『White Men Can’t Jump』の見所。ストリートコートの熱気、試合中の駆け引き、そしてパスやシュートなどしっかり飽きさせずに観せてくれる映像に仕上がっている。観終わった後、素人でもおもわず「バスケしたい!」と思ってしまうのがこの『White Men Can’t Jump』なんだ。
もちろんコート上での笑いあり、熱さありの会話劇も含めては、初心者でも経験者でも楽しめること間違いなし。バスケ魂を刺激されること請け合いです。

④ 90年代ヒップホップ・ファッションも注目

今のヒップホップファッションとはまた違う90s・ヒップホップファッションを楽しめるのもこの映画の見所。特にウェズリー・スナイプスがバスケをする時に被ってるサイクリング・キャップは毎回超おしゃれ。つばの裏に文字やデザインが入ってるのを見せるスタイルがたまらない。当時はスパイク・リーがつばの裏に”BROOKLYN” の文字がプリントされたサイクリング・キャップを被ってたりして、90年代ヒップホップファッションにおけるアイコニックなアイテムになっていたものだよね。また当時はNBA・シカゴに所属したバスケの神様、マイケル・ジョーダンの全盛期。ジョーダンの背番号である「23」が入ったブルズの赤ジャージをきているプレーヤーが出てきたりするのもこの時代ならではだよね。

⑤ リメイク版と比べてみるのもありかも!?

コメディクラシック『White Men Can’t Jump』2023年にはリメイク版も公開。
俳優のシンカ・ウォールズとラッパーのジャック・ハーロウがW主演している。
映像はよりスタイリッシュに、ストーリーのベースはそのままに細かい設定を現代向けにアップデートしつつ、オリジナルの名場面へのオマージュを多く取り入れた内容でオリジナル版を知っているファンから、初めて観る人も楽しめる作りになっているよ。

改めてこの機会にオリジナル版をチェックして、90年代の空気感と現代版の違いを比べてみるのも楽しいかもね。

 

画像出展元 20th Century Studios
配信先:Amazon Prime