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「ストリートヘッズのバイブル」では音楽や文化の知識を知ることができる映画や本を紹介していくよ!今回取り上げるのは『T2 トレインスポッティング』!
『T2 トレインスポッティング』とは?
1996年に公開され、カルト的な人気を博した映画『トレインスポッティング』の20年ぶりの続編。舞台はスコットランド、エディンバラ。前作で仲間を裏切り、大金を持ち逃げしたマーク・レントン(ユアン・マクレガー)が20年ぶりに地元に戻ってくるところから話は始まる。20年ぶりに出会う仲間たちは皆、どん底の人生を送っていた。
①天才ダニー・ボイルの超絶イケてる映像表現
『スラムドッグ$ミリオネア』や『28日後…』などでのエッジーな映像表現で知られる世界的映画監督、ダニー・ボイルの出世作となったのが『トレインスポッティング』。続編となる『T2 トレインスポッティング』でもダニーの得意分野である音楽とシンクロしたミュージック・ビデオのような映像表現は健在だ。疾走感溢れるカット割りに洗練されたカメラワーク、そして随所で重ねられるVFXで上映時間の2時間があっという間に感じられるよ。
②シニカルで胸に刺さりまくるセリフの数々
『トレインスポッティング』シリーズが映画史に残るアイコニックな存在となっている理由はその映像美はもちろん、やはりその示唆に富むセリフにある。特に前作で象徴的だったセリフが、主人公マークが観客に問いかける「Choose Life.(人生を選べ)」だ。前作では観客に問いかけたマークだが、今回は自分が問いかられる側に。新たに仲間になった女性、ベロニカから「“Choose Life” って何?」と問いかけられたマークはそれが1980年代の薬物撲滅キャンペーンのスローガンであることをベロニカに教え、半ば自暴自棄に「普通」の人生の選択肢を嘲笑う。ただマークの“「普通」の人生を嘲りながら、同時に「普通」を羨ましくも思う” という屈折した視点は、僕たちの誰もが多かれ少なかれ心の中に抱えているもの。そんな人間の深層心理に刺さるセリフに多く触れることができるのもこの映画の大きな魅力だ。
③観客と共に年を重ねた成長の物語
『T2 トレインスポッティング』は前作からの登場人物の人生模様を描いた物語。若い頃は何も考えず、ドラッグに溺れ、勢いだけで生きていたマークたちだが、年を取った今、破天荒さだけでは解決できない壁にぶつかっている。
表向きはパブの経営者だが、実際は売春を稼業としているシック・ボーイ(ジョニー・リー・ミラー)。家族に愛想をつかされ、絶望しているスパッド(ユエン・ブレムナー)。服役中の荒くれ者、ベグビー(ロバート・カーライル)。一方で弁護士として活躍してるマークの元カノのダイアン(ケリー・マクドナルド)。それぞれの人生模様に、観客一人一人が自分が抱えている課題を重ねたり、思いを馳せたりできるのもこういったシリーズものならではだよね。
④中毒性MAXのサントラ!
音楽で感じるT2の世界観
映像とシンクロするサウンドトラックもこの映画の大きな魅力。特に主人公のマークが20年ぶりに地元・エディンバラに戻って来るシーンで使われてるHigh Contrast(ハイ・コントラスト)の「Shotgun Mouthwash」は中毒性の高いエレクトロビートがクセになるし、ベグビーが刑務所から救急車で搬送されるシーンで使われてるスコットランドのプログレッシヴ・ヒップホップグループ、Young Fathers(ヤング・ファーザーズ)「Get Up」はめちゃDOPE。ヤング・ファーザーズは実験性の高いヒップホップサウンドを多くリリースしているので、アブストラクトなヒップホップが好きなヘッズはぜひチェックしてみて欲しい。
⑤続編の理想の形
多くの続編映画は過去作をなかなか越えれないことが多いけど、T2は前作の雰囲気を踏襲しつつ、新しい物語を描き、多くのファンの心を掴んだ作品。まだ観たことがない人は、ぜひこの機会にまず前作『トレインスポッティング』からチェックしてこのシリーズの世界観を楽しんで欲しい。
画像出展元 :ソニーピクチャーズ
配信先:Amazon Prime