WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」。Vol.328の今回取り上げる単語は「club banger(クラブバンガー)」。
「クラブをぶちあげる曲」といった意味で使われる言葉だ。今回もUSラップのリリックから「club banger」の意味をチェックしていこう!
まずはDr.Dre(ドクター・ドレー)プロデュースによるEminem(エミネム)と50 Cent(50セント)のヒットソング「Encore / Curtains Down」!
Eminem「Encore / Curtains Down」
Here we go, cliff hanger, it’s another club banger
さぁ行くぜ、クリフ・ハンガー、これが新たなクラブ・バンガー
「Encore 」からエミネムのリリック。「クリフ・ハンガー」とはアメリカのスラングで、「続きが気になる終わり方」という意味。元々映画草創期の1910年代〜1920年代の映画で主人公が崖からぶら下がった絶体絶命のシーンで終わるエンディングシーンが多かったことから、そういった続きが気になるエンディングを「崖にぶら下がるもの」を意味する「クリフハンガー」と呼ぶようになったんだって。つまりエミネムと50のコラボは間違いなく続きが気になるもの。そしてその期待に答えるように二人は新たなクラブ・バンガーをリリースするってわけだね。
続いてはVIC MENSA(ヴィック・メンサ)の「Dynasty」!
VIC MENSA「Dynasty」
Sixteen in the magazine and one in the chamber
Sneak it in the club, that’s a club banger
This is not a diss song, this a disclaimer
Sorry that your management can’t manage my anger弾倉に16発、チャンバーに1発
クラブに忍ばせる、これがクラブバンガー
これはディスソングじゃない、免責事項
ごめんな、お前のマネジメントじゃオレの怒りはマネージメントできない
ヴィック・メンサのテクニカルなリリック。
クラブ・バンガーは「クラブをぶちあげる曲」という意味なのだけど、bangには元々、「叩く、ぶっ壊す」といった意味がある。つまりこの場合、ヴィック・メンサは銃を忍ばせて、クラブを襲撃する”クラブ・バンガー”。「ぶちあがる曲」と「クラブを襲撃する」というダブルミーニングってわけだね。
そしてこういった彼の攻撃的なリリックはディスソングではなく、 “disclaimer(免責事項)”。通常は責任を回避する際に使うワードだけど、今回はどちらかというと宣戦布告的なニュアンス。ヘイターや敵対する連中に大して、先に言っといてやるから、遠慮なくぶっ潰しにいくぜって感じだね。
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」のラストを飾るのは2000年代初頭、クラブバンガーを飛ばしまくったラッパー、Ja Rule(ジャ・ルール)の「To The Top」!
Ja Rule「To The Top」
Keep spending money cause I got it so much
Club banger make them all show up金がありすぎるから使い続ける
クラブバンガーでみんな集まる
2000年代初頭、世界のクラブをぶちあげまくっていたジャ・ルール。そんな彼はバンバンクラブ・バンガーをリリースするヒットメイカー。彼のクラブ・バンガーが流れれば、みんなshow up(現れる)って感じだね。
【歌詞出典元】Genius
*訳は全て意訳です。