みんな文化ディグってる?
「ストリートヘッズのバイブル」ではヒップホップ好きにオススメの映画を、作中に登場するセリフを通して紹介していくよ!今回取り上げるのは『パルプ・フィクション』。
今回は『パルプ・フィクション(1994)』のパンチラインを3つ取り上げるよ!
『パルプ・フィクション』ってどんな映画?
奇才クエンティン・タランティーノ監督の代表作。ロサンゼルスを舞台に、殺し屋、ボクサー、強盗といった個性豊かな登場人物たちが繰り広げる4つの時系列のストーリーが複雑に絡み合い進んでいく。特に見どころなのがサミュエル・L・ジャクソン、ユマ・サーマン、ジョン・トラボルタ、 ブルース・ウィリスという超豪華俳優たちの極上の会話劇。
本来犯罪映画といえば、派手な撃ち合い、アクション、ハラハラドキドキするよう展開が見せ場であることが多いが、『パルプ・フィクション』は全くその逆。とにかくダラダラした意味のない会話がひたすら続くのだけど、なぜかその会話が全く飽きない。むしろオシャレ!?に感じてしまうのがタランティーノの脚本のすごいところ。そんな『パルプ・フィクション』の会話劇の中でも特に有名なセリフを3つ取り上げて紹介するよ!
『パルプ・フィクション』の名言
①チーズ・ロワイヤルさ
“Royale with cheese”
「チーズ・ロワイヤルさ」
映画冒頭、サミュエル・L・ジャクソン演じる殺し屋 “ジュールス”とジョン・トラボルタ演じる相棒の”ヴィンセント”が車の中でヨーロッパの文化について話すシーン。
ヨーロッパ諸国とアメリカの文化や言葉の違いを語るヴィンセントが、例として挙げたのがフランスでのマクドナルドのクオーター・パウンダーの呼び方、“Royale with cheese(チーズ・ロワイヤル)”だ。なんのこっちゃやねん!って感じなんだけど、なぜかこれが会話の流れで出てくると、独特のオシャレ感があってカッコいい。まさにタランティーノのダラダラ会話劇の真骨頂と言える一場面だ。
②今私は踊りたいの。勝ちたいの。あのトロフィーが欲しいの。だから上手に踊って。
”Now I wanna dance, I wanna win. I want that trophy, so dance good.”
「今私は踊りたいの。勝ちたいの。あのトロフィーが欲しいの。だから上手に踊って。」
ユマ・サーマン演じるギャングのボスの妻“ミア・ウォレス”が、夫の部下であるヴィンセントと一緒にダンスコンテストに出場する場面での一言。
ミアとヴィンセントの長尺ダラダラ喋りはこの映画屈指の見せ場だが、やはりミアの自由奔放ぶりが際立つのがこのセリフ。シンプルながらも有無を言わせない口調で、ヴィンセントに命じるミアの口調は超イケてるぜ。
③オレには暗記してる聖書の一節がある。エゼキエル書25章17節だ。
“ There’s this passage I got memorized. Ezekiel 25:17.”
「オレには暗記してる聖書の一節がある。エゼキエル書25章17節だ」
サミュエル・L・ジャクソン演じる殺し屋 “ジュールス”の決め台詞。
ジュールスは人を殺す時に聖書の一節、エゼキエル書25章17節を暗唱するというルーティーンがあり、それがめちゃくちゃ決まってるのだけど、実はこれ、日本人俳優、千葉真一主演の映画『ボディガード牙(1973年)』のUS版の序文が元ネタのよう。
タランティーノ監督は元々若い頃に大の映画好きで、レンタルビデオ屋でアルバイトして映画を観まくって映画を学んでおり、その時に観た映画のシーンやセリフをサンプリングして自分の映画に取り入れているんだ。まさにヒップホップの音源さながらのサンプリングメソッド。元ネタを探すのもタランティーノ映画の楽しみ方の一つだね。
画像出典元:松竹