パンチラインで観る映画『ディパーテッド』|ストリートヘッズのバイブル Vol.31

ハリウッドを代表する二大スターW主演のスパイ映画。

ライター:Lee

みんな文化ディグってる?
「ストリートヘッズのバイブル」ではヒップホップ好きにオススメの映画を、作中に登場するセリフを通して紹介していくよ!

今回取り上げるのは、香港の大ヒット映画『インファナル・アフェア』を、巨匠マーティン・スコセッシ監督がリメイクした作品『ディパーテッド』。
警察のスパイとしてマフィアに潜り込んだ覆面刑事と、マフィアのスパイとして警察官になった二人の男の、数奇な運命を描いた映画だ。偽りの自分を生きる苦悩を演じた、若き日のレオナルド・ディカプリオとマッド・デイモンの演技も見どころ。

そんな『ディパーテッド』から、パンチの効いたセリフを紹介していくよ!

『ディパーテッド』ってどんな映画?

警察学校を成績優秀で卒業したビリー(レオナルド・ディカプリオ)は、親族の多くが犯罪者だった経歴に目をつけられ、街を仕切るマフィアのボス、コステロ逮捕のために、覆面刑事としてマフィアへの潜入を命じられる。

同じく特別捜査班としてコステロを追うコリン(マッド・デイモン)は、実はマフィアのスパイだった。幼い頃にコステロに拾われ、育てられた彼は、内通者として警察官となっていたのだ。

正体を偽りながら、お互いの組織のために暗躍する二人だったが、警察とマフィアともにスパイ探しが始まり、どんどん追い詰められていくことになる。

『ディパーテッド』の名言

警察官でありながら、マフィアとして生きている偽りの自分に、だんだん耐えられなくなってくるビリー。そんな彼の苦悩を表したセリフを3つ紹介するよ!

①「ウィスキーと銃をくれ。この頭を吹っ飛ばす」

覆面刑事としてマフィアに潜入したビリーだが、いつ正体がバレて殺されるかわからないストレスと、本当の自分をさらけ出せない孤独とで精神的に追い詰められていく。

精神科医であるマドリンのセラピーを受けるも、自分の苦しみをわかってくれない彼女にイライラが募っていくビリー。しまいには精神安定剤を2錠だけ渡してきたことに対して、ビリーが切れて吐いたセリフがこちら。

Why don’t you just give me a bottle of Scotch…

and a handgun to blow my fucking head off?

Are we done with this psychiatry bullshit?

ウィスキーと銃をくれ

この頭を吹っ飛ばす

セラピーは終わりか?

苦しみに手を差し伸べてくれないセラピーなんて、クソ食らえとでも言いたげだ。自殺を辛うじて踏みとどまっているのは、任務という大義名分があるからだ。

そんなビリーに、真っ向からぶつかってきたマドリン。警察官でもなく、マフィアの一員でもなく、ひとりの人間としてビリーは彼女と親交を深めていくことになる。

②「俺の代わりは俺だけだ」

マフィアに警察のスパイが紛れ込んでいることを確信したコステロは、内部を調べ始め、怪しい動きを見せたビリーを呼び出した。

脅されたビリーは、絶対に自分はスパイではないと主張し、誰がコステロを出し抜こうとしてるかを考えた方がいいと必死に話を逸らす。それに対してコステロが応えたセリフがこちら。

The only one who could do what I do is me.

Lot of people had to die for me to be me.

You wanna be me?

俺の代わりは俺だけだ

俺になろうとした多くの連中が死んできた。

お前は俺になりたいか?

マフィアの絶対王者として君臨し続けているコステロだからこそ言えるセリフだ。やっていることは褒められたものじゃないけど、ボスという立場で命を張っている姿はかっこいい。

一方でビリーは、自分ではない自分を生きているため、その対比にもなっている場面だ。

③「警官じゃなく自分に戻りたい」

ある事件から、マフィアがFBIと繋がっていたことを知ったコリンは、自分が売られるかもしれないと疑い、コステロ一味を裏切ることに。

麻薬取引現場に現れたコステロたちは、尾行していた警察たちと銃撃戦になり壊滅。ビリーはやっと潜入捜査から解放され、警察署にてコリンと初対面を果たす。

警察官に戻るのかと言うコリンに、ビリーが返したセリフがこちら。

Being a cop’s not an identity.

I want my identity back.

警官じゃなく自分に戻りたい

5年もの長い間、自分を偽って犯罪に手を染めてきたビリー。自分が何者であるかの輪郭を掴み損ねている様子が伺えて、胸が痛くなる。これからは本名の「ウィリアム」としての人生を取り戻して欲しいと、切に願う。

だけど、そんなにうまく事が運ばれるわけもなく、ラストは衝撃的な展開を持って終わりを迎える。胸糞注意だが、ぜひビリーの人生を見届けて欲しい。

ちなみに、日本ドラマの『ダブルフェイス』も、本作と同じく『インファナル・アフェア』をリメイクした作品だ。結末が微妙に違う上にW主演の西島秀俊と香川照之の演技が最高だから、ぜひ観てみてね!

画像出典元:ワーナー・ブラザーズ

配信先:Netflix