みんな文化ディグってる?
「ストリートヘッズのバイブル」ではヒップホップ好きならマストチェックの映画を、作中に登場するパンチラインを通して紹介していくよ!
今回取り上げるのは、クエンティン・タランティーノ監督の大ヒット作『ジャンゴ 繋がれざる者』。
黒人が合法的に奴隷化されていた狂った時代のアメリカで、奴隷から解放されたジャンゴが生き別れた妻を取り戻すために、現実世界ではありえないほど痛快な復讐を果たしていく映画だ。人種差別を根底から覆すように、バッタバタと悪党を倒していくジャンゴから目が離せない。
今回は『ジャンゴ 繋がれざる者』から、君のマインドをインスパイアする“パンチライン”を見ていくよ!
『ジャンゴ 繋がれざる者』ってどんな映画?
1858年の南北戦争前のアメリカ。白人に奴隷として買われたジャンゴは、とあるお尋ね者の情報を持っていたため、賞金稼ぎであるドイツ人キング・シュルツによって救い出された。
奴隷制度を嫌うシュルツと自由を得たジャンゴはコンビを組み、生き別れたジャンゴの妻を取り戻すために、賞金稼ぎをしながら旅にでる。黒人が奴隷として人権を剥奪されていた時代に、それに抗うかのように、ジャンゴは壮絶な戦いへと身を投じていく。
『ジャンゴ 繋がれざる者』のパンチライン
圧倒的な行動力と芯をつく切り返しで、アウェイの中でも己の存在感を示していくジャンゴ。無駄口を叩かない彼から発せられる言葉には、ひとつひとつ重みがある。
その中でも、悪党をギャフンと言わせるようなパンチラインを3つ紹介していくよ!
①「死ぬ姿 気に入ったぜ」
シュルツが奴隷だったジャンゴを救い出したのは、ある賞金首の顔をジャンゴが知っていたから。その賞金首とは、ジャンゴが以前奴隷として働いていた農園で奴隷監査官だったブリトル3兄弟。逃げ出そうとしたジャンゴの妻ヒルディを鞭打ちにし、妻をどうか助けてくれと土下座をするジャンゴを見て「その姿気に入ったぜ」と笑うクズたちだ。
ブリトル3兄弟が新たに勤めている農場にやってきたふたりは、言葉巧みに農場の主人に取り入る。農場へと潜り込むことに成功したジャンゴは、まさに奴隷の黒人女性に鞭打ちの罰を与えようとしているブリトル3兄弟のひとりを見つける。ゆっくりとそいつに近づき「俺を覚えてるか?」と言ったと同時に、シュルツに教わった早撃ちでそいつの胸を貫く。くずれゆく悪党にジャンゴが言い捨てたパンチラインがこちら。
I like the way you die,boy.
死ぬ姿 気に入ったぜ
これぞ華麗なる復讐パンチラインって思わない?
さらに襲いかかってきた二人目を、かつてヒルディがされたように鞭でしばき回すジャンゴ。黒人奴隷だからと、さんざんいたぶられた妻に対しての復讐を、ジャンゴはやってのけたのだ。ここからジャンゴの快進撃がはじまっていく。
②「俺の手を握りてえのか?」
ジャンゴの妻ヒルディが奴隷として売りとばされた先を突き止めたシュルツとジャンゴは、目的地であるキャンディ農園へと向かう。そこの主人であるカルヴィンは、奴隷デスマッチを娯楽として楽しむ変態鬼畜野郎だ。
そいつの信用を得るために、奴隷デスマッチ専門家になりすましたシュルツとジャンゴは、もくろみ通り農園の中へと案内されることに。
農園に向かう道中でも自由に馬に乗るジャンゴは、カルヴィンの取り巻きである白人たちからイチャモンをつけられたりバカにされる。そのひとりを打ちのめしたジャンゴに対して「夜道に気をつけな」と捨て台詞をはいたヤツに、ジャンゴが応戦したパンチラインがこちら。
You wanna hold my hand?
俺の手を握りてえのか?
脅しを茶化すような、一枚上手の余裕な態度。めちゃくちゃイカしてるよね。
ここでのジャンゴは、同じ黒人を奴隷として売り買いする、ある意味白人よりも下劣な存在である「黒い奴隷商人」を演じている。妻を取り戻すために徹底的にその役になりきってるジャンゴは、白人相手にももちろんひるむことはない。
③「俺は1万人に1人のニガーだ」
キャンディ農園の主人であるカルヴィンは、ジャンゴのことを「頭のいい君」と呼び、「1万人に1人の優れたニガー」として褒め称えていた。でもそれは優秀なペットを可愛がるような、ジャンゴを自分よりも絶対的に下の存在だと思っているからこそできる賞賛だ。その舐めた態度に気づかないほど、ジャンゴはバカじゃない。
物語終盤の激動のクライマックス。キャンディ農園を襲撃したジャンゴは最後に、そこに長年務めていた黒人の奴隷頭であるステファンを追い詰める。このステファンは白人に従順であるあまり、同じ黒人奴隷たちに対して横柄な態度をとり、白人と同じような立場から支配してきた。ヒルディもその犠牲者のひとりだ。怒りを込めるようにステファンの膝を打ち抜きながら、ジャンゴが畳み掛けたパンチラインがこちら。
Seventy-six years,Stephan.
How many niggers you think you see come and go?
76年間 何人の奴隷を見てきた?
Seven thousand? Eight thousand? Nine thousand?
Nine thousand, nine hundred and ninety-nine?
7000人? 8000? 9000? 9999人か?
Every single word that came out of Calvin Candies mouth was horseshit.
カルヴィン・キャンディの話はデタラメばかり
But he was right about one thing:I am that one nigger in 10,000.
だがひとつ正しい 俺は1万人に1人のニガーだ
下から突き上げるかのような決め台詞にしびれちゃうよね。
妻を取り戻し、すべての決着をつけたジャンゴに拍手喝采。同じ人間であるはずなのに、奴隷として虐げられていたすべての黒人の怒りを爆発させたかのように、ぜんぶが木っ端微塵に吹き飛ぶラストは痛快そのもの。
自由を得るために徹底的に戦ったジャンゴの勇姿に、おもわず胸が熱くなるはずだ。
画像出典元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
配信先:Netflix