WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.172の今回取り上げる単語は「pop out(ポップアウト)」。
「〜から飛び出す、ひょっこり現れる」という意味の言葉だ。早速USラップの中での使われ方をチェックしてみよう!
まず紹介するのは、YGの新曲「Sign Language」!
YG「Sign Language (2021)」
It’s YG aka Chin-Checker 4Hunnid worth fifty million, I’m a rich stepper Woah, I might pop out in some leather Or in some Dickies like, fuck your Margiela
「これがYG aka Chin-Checker 4Hunnidの価値は5000万ドル、オレはリッチなステッパー。 レザーで現れるかもしれないな。 もしくはディッキーズで現れて、お前のマルジェラをバカにしてやるよ。」
YGの最高にウェッサイな1曲。 これまでにもYGのミュージック・ビデオを手がけてきたビデオ・ディレクター、Austin Simkins(オースティン・シムキンズ)がディレクションしたMVも超イケてるよね。 特にYGの出身ギャング “Bloods(ブラッズ)” のシンボル・カラーである赤を身にまとったリアルな奴らがローライダーに乗ってウェストコーストの道路を流すシーンは圧巻だ。 タイトルの「Sign Language」は「手話」という意味。聴覚が不自由な人が使う言語である手話だけど、馴染みのない人からすると、手話での会話は何を話しているのかわからないことが多いよね。実はストリートでもこの手話のようなコミュニケーション方法がある。それがギャングが仲間内で使うハンドサイン “ Gang Sign ”だ。またストリートのスラングなども他の人からするとわかりにくいものであり、仲間内だけで伝わる言語でもあるよね。つまりこの曲には、「オレらが使ってる言語、お前らごときにはわかんねぇだろ?」というストリートの熱いメッセージが込められてるてわけ。 そして音楽以外にもファッションブランド「4Hunnid」を立ち上げるなどマルチなビジネスマンとして活躍中のYGはハイブランドのレザーを身につけることもあるけれど、時としてリアルなストリートクロージング、ディッキーズを着てポップアウトする。 売れてもストリートのマインドを常に持っているぜというYGの熱い想いを感じることができるリリックだ。
続いてはDaBaby(ダ・ベイビー)の「Suge」!
DaBaby「Suge (2019)」
I’m the type to let a nigga think that I’m broke Until I pop out with a million (I pop) Take 20K and put that on your head And make one of your partners come kill you (Yeah)
「オレは自分が文無しだって思わせておくタイプ。 大金持って現れるまではな。 20000ドルを掴み取って、お前の頭に置く。 そしてお前の連れの一人にお前を殺しに行かせるよ。」
当時まだ世界的には知名度が低かったダ・ベイビーが一気にその名をメインストリームに轟かせた大ヒット曲「Suge」。 タイトルの「Suge」は90年代のヒップホップシーンを席巻した最強レーベル “ Death Row Records(デス・ロウ・レコーズ)”のCEOだった“Suge” Knight(シュグ・ナイト)のことであり、シュグ・ナイトのように若くして金持ちになったことをラップする1曲だ。人気ラッパーになって大金をゲットしたダ・ベイビーはその辺の連中には自分がまだ文無しだと思わせておくタイプ。そして実際にポップアウトする時になって初めて現金を見せつけるて感じだね。
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.172のラストを飾るのは、アメリカが産んだ二人の鬼才、Tyler, The Creator(タイラー・ザ・クリエイター)とPharrell Williams(ファレル・ウィリアムス)が組んだ1曲「IFHY」!
Tyler, The Creator「IFHY」
Actually, if you even consider leaving I’ll lose a couple screws in due time, I’ll stop breathin’ And you’ll see the meaning of stalkin’ When I pop out the dark to find you
「実際、君が出ていくことを考えているのなら いずれ僕の頭はおかしくなってしまう そして君はストーキングの意味を知ることになる。 僕が闇の中から君を見つけるために現れたらね。」
タイトルの「IFHY」は“ I Fucking Hate You” の頭文字をとった言葉であり、リリックの内容は男が元カノへの未練を歌うというもの。彼女が出ていくことにショックを受けた男は自暴自棄状態。“And you’ll see the meaning of stalkin’. When I pop out the dark to find you(そして君はストーキングの意味を知ることになる。僕が闇の中から君を見つけるために現れたらね。)”という恐ろしい言葉を言っちゃってるてわけだ。