WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.168はユーロ・バイブス特集。
USのメインストリームとは一線を画す感性で洗練されたサウンドを生み出すヨーロッパの音楽シーン。今回はそんなユーロ・ミュージック・シーンからグッド・バイブスな音楽を創り続ける3人のアーティストを紹介するぜ。
トップバッターは、フランスを代表するマルチ・インストゥルメント・プロデューサー、French Kiwi Juice(フレンチ・キウィ・ジュース)。頭文字をとったFkjという呼び方でも知られているアーティストだね。ベース、ギター、キーボード、サックス、ターンテーブルといった多種類の楽器のプレーヤーである彼のサウンドは、まるで丁寧に折り重ねられた最高級のシルクの布のように柔らかく、スムーズ、そして何よりもとても優しい。今回紹介するのは彼がNYのラッパー、Bas(バス)との組んだ1曲「Risk」。
Fkj「Risk」
I never thought it’d be this I’m jumpin’ out of your arms I land and fall in a pit Is this what they call the abyss? 「こんな風になるなんて、考えもしなかった。 君の腕から飛び出して、 着地して、そしてピットの中に落ちる。 これがいわゆるどん底てやつなのか?」
楽曲はもちろんフランスのペインター、Lossapardo(ロサパルド)が手がけたMVのアニメーションも本当に美しい「Risk」は別れた女性への想いを歌った曲。 聴き手の心の琴線の一つ一つに優しく触れるFkjの楽曲とバスのリリカルなライミングが織りなすハーモニーが誰の心にもあるノスタルジックな感情を引き出す1曲だ。
続いて紹介するのはイギリス・マンチェスター出身のアーティスト、LayFullStop(レイフルストップ)。ジャジーでソウルフルなサウンドと跳ねるようなグルーヴ感を持つラップを融合させた彼女のスタイルは必聴。ユーロ・ミュージック・シーンの中でも唯一無二の上質さとクールさを合わせ持つレイフルストップの楽曲から紹介するのは、10月にリリースされた最新ミックステープ「STiR」収録の1曲「Receipts」。
LayFullStop「Receipts」
Mmm I can’t even tell you My kindness ain’t my weakness But when I use it Why is it I weaken To eyes not familiar 「あなたには伝わらない。 私の優しさは私の弱さじゃないの。 でもそれを使う時、 なぜか私が弱くなってると映るの。 よく知らない人たちの目にはね。」
レイフルストップの歌声とラップが最高に気持ちいい1曲。彼女の内面世界に向き合ったリリックでは、優しさと弱さの違いを歌っているね。 ミックステープ「STiR」には先日レペゼンのインタビューで紹介された日本人トークボックス・アーティスト、Kzyboost(カズヤ・ブースト)が参加した「Nostalgia」も収録されている。そちらも間違いなくGOOD VIBESな1曲なので、要チェキ。
「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.168、ユーロ・バイブス特集のラストを飾るのはイスラエル・テルアビブ出身、現在はドイツのベルリンを拠点に活動するシンガー、J. Lamotta Suzume(J・ラモッタ・すずめ)。アーティストネームである “すずめ” が故郷のテルアビブで死にそうな雀を救ったエピソードを日本人のグラフィックデザイナーである川井田好應氏に話したところ、すずめという日本語を教わったことに由来するなど、日本人クリエイターとの関係も深いシンガーだ。今回紹介するのは、そんな彼女が日本を代表するビートメーカー、BudaMunk(ブダモンク)とコラボした新曲「Eyes To The Skies」。
BudaMunk & J. Lamotta Suzume「Eyes To The Skies」
Sometimes I can’t speak What I’m feeling It begins in the heart Can you feel it? 「時々、言葉にすることができない。 私が感じてること。 心の中で始まるの。 感じれる?」
最高です。 無限の奥行きを感じるブダモンクのトラックにJ・ラモッタの美しくて優しい歌声が乗ればそら間違いない名曲になるわけだぜ。