みんな文化ディグってる?
「ストリートヘッズのバイブル」ではヒップホップ好きにオススメの映画を紹介していくよ。
今回取り上げるのは『バスケットボール・ダイアリーズ』。ドラッグの恐ろしさと青春時代の儚さを描いた、実話を基にした作品だ。
『バスケットボール・ダイアリーズ』ってどんな映画?
マンハッタンのダウンタウンでミッション・スクールに通う主人公のジム(レオナルド・ディカプリオ)はバスケ部に所属する問題児。バスケと詩の才能があるにも関わらず、悪友と一緒に盗みを働いたりシンナーを吸ったりと、大人たちを困らせていた。そんな彼は親友の死をきっかけにヘロインに手を出すようになり、取り返しのつかない道を歩みはじめる…。
『バスケットボール・ダイアリーズ』を観るべき5つの理由
①人生を脅かすドラッグのリアル
この映画では、ドラッグに溺れた人間の転落っぷりが怖いほど描かれている。
主人公のジム(レオナルド・ディカプリオ)は、部活のバスケットボールに情熱を燃やしていたが、チームメイトで親友のボビーが白血病で亡くなったことをきっかけに、ヘロインに手を出してしまう。
辞めようとすればすぐ辞められると思いながらも、辛い現実から逃れるためにヘロインを打つ数は増えていく。さらに離脱症状に襲われると、なりふりかまわずドラッグを求め、ひったくりや強盗などの犯罪にも手を染めてしまうことに。
主人公たちはお酒やタバコの次のステップとしてドラッグに手を出していたが、嗜好品のように適度に楽しむ範疇をあっという間に超えてしまう。ドラッグのために生きる、ドラッグの奴隷のようになってしまったんだ。
前途有望すぎる若者たちが、ドラッグによって未来を閉ざされることの恐ろしさを、これでもかと教えてくれる作品だ。
②自分と向き合うための詩
ジムがバスケットボールと同じく情熱を傾けていたのが、詩だった。MBA選手も期待されていたバスケは辞めてしまうが、詩を書くことだけはドラッグで意識が朦朧になろうとも、ずっと続けていた。彼にとって日々の出来事を詩に落とし込むことが、自分の精神を保つ唯一の方法だったからだ。
バスケ友達だったレジーはジムの詩の才能を認めていた人物だった。だからこそ、ドラッグをやりたくなったら詩を書けと伝え、彼がドラッグから立ち直る手助けをしてくれた。
自分の心と常に向き合う行為は、窮地に追い込まれた時も自分を支えてくれる強い柱になってくれる。ジムにとっては詩だったが、自分にとっては何かを振り返るきっかけにもなるはずだ。
③実話ならではの重みを持った物語
この映画が生々しいリアリティをもって観る人の心をえぐってくるのは、実話に基づいた物語だから。詩人のジム・キャロルの作品『マンハッタン少年日記』が原作になっている。
13歳から16歳までの彼がドラッグに溺れた日々を綴った自伝的作品で、映画でも体験した人だから描ける心情描写が、詩人の言葉をつたって届いてくる。主人公のジムが紡ぎだす言葉たちは、真に迫ってくるものばかりだ。
ジム・キャロルがドラッグから立ち直り、無事17歳で詩集を出している。その事実は、映画に希望を与えてくれている。
④若き名優たちのフレッシュな演技をご覧あれ
1995年公開の映画には、今も活躍する俳優たちが出演している。
主人公を演じるレオナルド・ディカプリオは言わずもがな。今でもかっこいいが、触れると崩れ落ちそうなほど透き通っている若い頃のディカプリオを観るためだけでも、一見の価値がある作品だ。離脱症状に苦しむ演技も迫力満点だし、ドラッグのために同性愛者へ売春をおこなうなどの体当たりな演技もみせている。
そして主人公の悪友ミッキーを演じるのは、『トランスフォーマー』シリーズや『テッド』に出演するマーク・ウォールバーグ。彼は今や映画業界に不可欠な人物だが、実はこの作品がはじめての映画出演。向こう見ずな不良少年をみずみずしく演じた。ディカプリオとは『ディパーテッド』で再共演も果たしている。
ディカプリオはその後、『ウルフ・オブ・ストリート』でもドラッグに溺れる主人公を演じている。片や繊細なバスケットボール少年、片や破茶滅茶な金融屋。同じ人物が演じるふたつの作品を対比して観るのも、おもしろいかもしれない。
⑤起死回生のチャンスは誰にでもある
ドラッグにハマってしまったら人生が終わりかというとそうではない。人間はいつでも這い上がることができる。
終わらないドラッグ地獄の中でジムは絶望を感じていたが、彼はまだまだ若い10代。いくらでもやり直すことができる年齢だ。それに気づくためには周りの助けが必要であり、ドラッグを辞めるためには二度とやらないと誓う強い意志が必要になってくる。
そして何より、人生を諦めないこと。どん底を味わったとしても、ドラッグに支配されるのではなく、自分の意志によって人生を進めることを選ぶことが大切だ。そのことにジムたちは気づくことができたのかは、ぜひ映画を見てほしい。
輝かしい未来しかない若者を簡単に潰すドラッグの怖さ、若かりし頃のディカプリオの美しさも必見だよ!
画像出典元:アスミック・エース