映画 『ストレイト・アウタ・コンプトン』を見るべき５つの理由」｜ストリートヘッズのバイブル Vol.98

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『ストリートヘッズのバイブル』では音楽や文化の知識を知ることができる映画や本を紹介していくよ！
今回取り上げるのは『ストレイト・アウタ・コンプトン（2015）』。ギャングスタ・ラップを世界に広めた伝説的グループ、N.W.Aのストーリーを描いた映画だ。

『ストレイト・アウタ・コンプトン』てどんな映画？

舞台は1980年代のロサンゼルス・コンプトン。アメリカで最も危険とされる街で若者たちはフラストレーションを抱えながら、なんとか日々を生き抜いていた。

DJとして活躍していたドクター・ドレは新たなラップグループを作ることを思いつき、ドラッグ・ディーラーをしていたエリック / イージー・Eに出資をしてくれないかと声をかける。エリックたちは、リリシストのアイス・キューブや、ラッパーのMC・レン、DJ・イェラなどを誘い、ラップ・グループ“N.W.A”を結成。コンプトンのストリートで起きている犯罪や、貧困の現実、そしてアフリカン・アメリカンに対する警察の暴力などをストレートなリリックで表現し若者の間で絶大な人気を得る。しかし同時にその過激表現から警察、さらにはFBIからも目をつけられることに。今ほどヒップホップが世界的に広がっていなかった時代に「世界で最も危険なグループ」としてムーヴメントを巻き起こしたN.W.Aの伝説の日々を描いた映画だ。

『ストレイト・アウタ・コンプトン』を観るべき５つの理由

①伝説のラップグループ、N.W.A.を描いた作品

『ストレイト・アウタ・コンプトン』はドクター・ドレー、アイス・キューブ、イージー・Eなどが所属した伝説的なヒップホップグループ、N.W.A.（Niggas With Attitude）の結成から脱退、再結成までを実際に当時のメンバーからの証言を元に描いた作品。
実際にプロデューサー陣にもドクター・ドレー、アイス・キューブは名を連ねているんだ。結成前のストーリーや、彼らが売れるまでの苦労や、FBIやメディアとの対立など、
この映画でしか知れないエピソードがたくさん描かれている。
また当時ドクター・ドレーがプロデュースしていたSnoop Dogg（スヌープ・ドッグ）や2 Pac（トゥー・パック）とのストーリーも盛り込まれていたり、まさにヒップホップファンならアガること間違いなしのストーリーやシーンが盛りだくさんの映画になっているんだ。

②人種差別や警察からの暴力に対してのメッセージ

全米で最も貧しい地域の一つ、ロサンゼルス・コンプトンで人種差別や警察からの暴力に苦しめられながら、自分たちの言葉で世界を変えれることを証明した、N.W.A.。
特に映画のセリフからは人種差別や抑圧に屈しない彼らのメッセージを多く感じることができる。特に物語の序盤、N.W.A.のマネージャーであるジェリー・ヘラーが「N.W.Aって何の略なんだい？“No Whites Allowed（白人お断り）”かい？”笑」という冗談に対して笑っていたイージー・Eがいきなり真剣な表情になって言う台詞、

Nah. Niggas With Attitudes.
違うぜ。“主張する黒人” だよ。

は恐らく映画史に残るであろうパンチライン。
これまで人種差別によって自分の言いたいことを発言できない立場に置かれてきたアフリカン・アメリカンの人々の声を自分たちが主張するんだという強い気持ちが表れた名台詞だ。

③名監督F・ゲイリー・グレイのディレクション

監督であるF・ゲイリー・グレイのディレクションもこの映画の見どころの一つ。
ストーリーとしてはもちろん間違いないんだけど、それがエンターテイメントとして観客が楽しめるものなっているのは、間違いなくこの映像のクオリティの高さだ。
特にF・ゲイリー・グレイは元々、アイス・キューブの「It Was a Good Day」​​などのヒップホップのミュージック・ビデオを手がけていた監督。なのでまず音楽にマッチしたテンポの良い映像展開が得意な監督なんだ。『ストレイト・アウタ・コンプトン』でもその手法はいかんなく発揮されており、まるでMVを観てるような感覚で映画を楽しむことができる。約2時間半の映画があっという間に感じるほどにエキサイティングな映像表現がなされているよ

④アイス・キューブを演じたのは実の息子！？フレッシュな役者陣！

この映画で、N.W.A.のメンバーであるアイス・キューブを演じたのは、なんと息子のオシェア・ジャクソン・ジュニア。当然顔も似ているし、父親ゆずりのハーコーなバイブスと高い演技力で映画を引き立てているよ。また特に注目なのが、フレッシュな役者陣。
N.W.A.を若手時代から描いた作品ということで、映画のリアリティを出すために、当時まだそこまで知名度がなかった役者を起用しているんだ。ドクター・ドレーを演じたコーリー・ホーキンズや、イージー・Eを演じたジェイソン・ミッチェルなどその後ハリウッドで存在感を高めた俳優も多い。そんな中でも特に要チェックなのは、現在ハリウッドで最も注目される俳優の一人、ラキース・スタンフィールドの出演。近年、「Get Out (2017)」、「 Knives Out (2019)」など話題作に出演し、「Judas and the Black Messiah (2021)」では第93回アカデミー助演男優賞にノミネートされるなど、今躍進が目覚ましい若手俳優だ。そんなラキースが『ストレイト・アウタ・コンプトン』で演じたのは、なんとスヌープ・ドッグ！特にドレーと名曲「Nuthin’ But A “G” Thang」を作るシーンはめちゃくちゃイケてるので、ぜひチェックしてみてね！

⑤ヒップホップファン必聴のサウンドトラック

レジェンド・ヒップホップ・グループ、N.W.A.を取り上げた映画とあって、もちろんサウンドトラックも往年の名曲が揃っている。ヒップホップの楽曲もさることながら、音楽ファンに嬉しいのは、ドレーがサンプリングしてきたファンクの名曲たちもサウンドトラックとして使われていること。冒頭で登場するギャンググループ、ブラッズのメンバーたちが車で流しているZapp&Roger「More Bounc to the Ounce」、ドレーが登場するシーンで流れるRoy Ayers「Everybody Loves the Sunshine」など、音楽好きな間違いなくアガる選曲が散りばめられているよ。

画像出典元：Universal Pictures

配信先：Netflix