映画『スカーフェイス』を観るべき5つの理由|ストリートヘッズのバイブル Vol.90

ヒップホップシーンに大きな影響を与えたギャングスタ映画の金字塔

ライター:TARO

みんな文化ディグってる?
「ストリートヘッズのバイブル」ではヒップホップ好きにオススメの映画を、作中に登場するセリフを通して紹介していくよ!今回取り上げるのはアル・パチーノ主演のギャング映画『スカーフェイス(1983)』。今回は『スカーフェイス』を観るべき理由を5つ取り上げるよ!

『スカーフェイス』ってどんな映画?

アメリカ・マイアミを舞台に、キューバ移民のトニー・モンタナ(アル・パチーノ)が無一文の身からマイアミ暗黒街の頂点へと上りつめる様を描いた作品。アル・パチーノの迫真の演技とバイオレンス描写、そして成り上がりストーリーが当時の若者に絶大な人気を得て、ギャング映画の金字塔となった映画だ。

『スカーフェイス』を観るべき5つの理由

①究極の成り上がりストーリー

『スカーフェイス』の見どころはなんといってもその成り上がりストーリー。無一文のキューバ移民、トニー・モンタナが腕一本で成り上がっていく様には憧れる人も多いはず。持ち前の度胸を武器に、暴力と金で欲しいものを手に入れ、マイアミ裏社会の頂点に登り詰めたトニー・モンタナの生き方はもちろん僕たちには真似できるものではないけれど、その根性とハングリー精神からは人生を生き抜くパワーをもらえるはずだ。

②過激な暴力描写

公開当初、賛否を巻き起こしたのが、映画内の過激な暴力描写。ギャング映画に暴力描写はつきものなのだけど、『スカーフェイス』の場合は冒頭から怒涛の流血シーンの連続で、しかもかなり激しめ。主人公のトニー・モンタナもスマートにのしあがっていくタイプではなく、常に気合いと暴力で相手を叩き潰していくタイプのため、他のギャングスタ映画に比べて泥臭い乱闘シーンや撃ち合いシーンが多めなんだ。
ただその泥臭さこそが『スカーフェイス』の魅力。背も小さい、英語も訛っているトニー・モンタナが画面狭しと動き回って、泥臭く奮闘していく姿に観客は惹きつけられるんだ。

③リアル・サグなアル・パチーノの演技

この映画の最大の見どころはやっぱりアル・パチーノ演じる主人公、トニー・モンタナのサグ具合。ギラついたヤンチャな感じと、男臭いオラオラなバイブス、そして何より怒った時のイカつさがまさにリアル・サグな雰囲気を醸し出しているんだ。またそれがめちゃめちゃかっこいいのよ。

④USラッパーたちのお気に入り映画

実は『スカーフェイス』は公開当時、批評家から厳しい評価を受けた映画。セリフ内の過激な言葉使いやバイオレンス描写が当時の批評家には受け入れられなかったんだ。ただ当時『スカーフェイス』を熱烈に支持した層があった。それがアフリカン・アメリカンの若者たちだ。貧困の中から自分の力だけで成り上がるトニー・モンタナの姿に多くのアフリカン・アメリカンの若者が共感し、アフリカン・アメリカンのコミュニティでのトニー・モンタナはアイコン的存在になったんだ。特に公開当時の1980年代に子供だったラッパーたちへの影響は絶大。Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)のRaekwon(レイクォン)、JAY-Z(ジェイ・Z)、Nas(ナズ)などレジェンドラッパーたちも楽曲の中で、『スカーフェイス』について歌ったり、お気に入りの映画として挙げているんだ。特にナズの名曲「The World Is Yours」は映画のラストシーンで出てくる「World Is Yours」にインスパイアされて名付けられた曲。映画を観れば、USラップに対する理解も深まること間違いなしだ。

⑤ヒップホップシーンで多くサンプリングされているパンチライン

パンチラインの多いこ『スカーフェイス』の中でも特に有名なのがこのトニー・モンタナのセリフ。

“you gotta make the money first. Then when you get the money
(まず金を作らなきゃいけない。そして金を手にしたら、権力を手にすることができる)”

このセリフはラップのリリックでも多く引用されている。

Nipsey Hussle「Last Time That I Checc’d(2018)」

I’m the streets’ voice out West
Legendary, self-made progress
Last time that I checked (Checked)
First, you get the money, then respect

オレは西のストリート・ボイス
伝説的、叩き上げは前に進むぜ
さっき確認した
まず金、そしてリスペクトさ

『スカーフェイス』ではこの他にも“I come from the gutter. I know that. I got no education, but that’s okay. I know the street(オレはゲットー出身だ。自分でわかってる。まともな教育も受けてない。でもいいんだ。ストリートを知ってるからな。)や、“You wanna play rough? Okay! Say hello to my little friend!(派手にいきたいか?いいだろう、オレの小さな友達に挨拶しな!)”など多くの名言がある。
そしてその多くがUSラップのリリックでサンプリングされているんだ。
ぜひ今年の夏休みは『スカーフェイス』を観ながらリリックのサンプリング元を探してみては?

 

画像出典元:Universal Pictures

配信サービス:Amazon Prime

 

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