みんな文化ディグってる?
「ストリートヘッズのバイブル」では音楽や文化の知識を知ることができる映画や本を紹介していくよ!今回取り上げるのはジャッキー・チェン、クリス・タッカー主演の大ヒット・アクション・コメディ『ラッシュ・アワー(1998)』。
『ラッシュ・アワー』とはどんな映画?
1998年公開のアクションコメディ映画。香港の刑事リー(ジャッキー・チェン)とアメリカの刑事がカーター(クリス・タッカー)が異文化のギャップを乗り越えながら事件を解決する姿をコミカルに描く。ジャッキー・チェンが出演したハリウッド映画として初めて全米での興行収入が1億ドルを突破した作品でもある。
『ラッシュ・アワー』を観るべき5つの理由
① アジアのトップ・スター、ジャッキー・チェンの初ハリウッド大ヒット作
1970年代から香港映画界で活躍し、『ドランクモンキー 酔拳(1978)』、『プロジェクトA(1984年)』などでアジア圏を中心に絶大な人気を得ていたカンフー・スター、ジャッキー・チェン。『ラッシュ・アワー』はそんなジャッキーのハリウッド進出作と思われがちなのだけど、実はジャッキーは『ラッシュ・アワー』のかなり前から何度もハリウッド映画に挑戦していた。彼の初ハリウッド出演作『ラッシュ・アワー』公開の約20年前の1980年公開のアクション映画『バトルクリーク・ブロー』だ。『バトルクリーク・ブロー』は1930年代のシカゴを舞台にしたアクション・コメディなのだけど、興行収入的にはイマイチ振るわず。その後いくつかの作品に出演するも、どれも鳴かず飛ばずで、ハリウッドの壁に跳ね返されることに。そんなジャッキーがハリウッド進出から約20年かかってやっと大ヒットさせたのがこの『ラッシュ・アワー』なんだ。
② アメリカよ、これがジャッキーだ!!超絶カンフー・アクション!!
ジャッキー・チェンの映画といえば、「椅子に縛りつけても跳ね上がって戦う」「テーブルやその場にあるものをなんでも使う」「数人に囲まれても、気づいたらすり抜けて全員倒してる」などファンにはお馴染みの超絶カンフー・アクションが見どころだよね。『ラッシュ・アワー』でももちろんそのアクションはしっかり作り込まれており、ジャッキーがバッタバッタと敵を倒していく様はまさに痛快だ。
③ 喋って、踊って、走って、全てがカッコいい!最強お喋り野郎、クリス・タッカー
90年代アメリカのコメディ・スターの一人、クリス・タッカー。当時『House Party 3(1994)』や『Friday(1995)』などの話題作に出演し、着実のその認知度を高めていたクリスは、『ラッシュ・アワー』でもノリにノリまくり。
立て板に水のごとく溢れ出すそのトークスキルはもちろん、その身体能力の高さとリズム感の良さもいかんなく発揮。随所で魅せるダンスとリズムの取り方は最強にかっこいい。また、スラッとした長身にビシッと着込んだスーツ姿も超イケてるのよ。
走っても、踊っても、アクションをしても、すべてが様になるクリス・タッカーの一挙手一投足は間違いなくこの映画を魅力的なものにしている大きな要素の一つなんだ。
④ ジャッキーとクリスから学ぶ中華系カルチャーとブラック・カルチャー
楽しいアクション映画『ラッシュ・アワー』だけど、実は文化の理解というテーマでも多くのことが学べる映画。映画内では中華系カルチャーと、アフリカン・アメリカン、ブラック系カルチャーのコミュニティーの様子が英語と中国語が入り混じった台本、そして双方のルーツを持つキャストによって敬意を持った形で描かれている。特に印象的なのは、ジャッキー演じるリー警部がクリス演じるカーター刑事に連れられて、あるバーを訪れた時のシーン。ジャッキーはカーターの真似をして、ある言ってはいけない言葉を黒人のバーテンダーに言ってしまうのだけど、それがきっかけで大乱闘になってしまう。このシーンはコミカルには描かれているのだけど、当時このシーンを観たキッズたちはそこから多くのことを学んだはず。最初はぎくしゃくしていたリーとカーターの仲が次第に深まっていく様子からも文化の違いを超えて、友情を育むことができること、そして何よりもそこにいたるための異なる文化へのリスペクトの精神の大切さを学ぶことができるよ。
⑤ソウルの名曲でジャッキーもカンフーダンス!?
シーンごとに流れる音楽もこの映画の大きな見どころ。映画序盤、ジャッキーとクリスが乗る車で、クリスが、JAY-Z「 Can I Get A… ft. Amil, Ja Rule」を流して、首でリズムを取るシーンは超絶にイケてるし、特に見どころは
ジャッキーとクリスがEdwin Starrの「War」を一緒に歌って、踊るシーン。
ジャッキーとクリスの演技のコミカルさやファンキーさは必見だ。ちなみに「War」はEdwin Starrがベトナム戦争の反戦ソングとして作った曲。ベトナム戦争といえば、アメリカがアジアの国であるベトナムに出兵した戦争。その曲をアジアのスーパースターであるジャッキーとアメリカのコメディスターであるクリスが二人で歌って踊るってこと自体かなりメッセージ性を感じるよね。
画像出典元:ニューラインシネマ
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