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「ストリートヘッズのバイブル」では音楽や文化の知識を知ることができる映画や本を紹介していくよ!今回取り上げるのはカンフー映画の金字塔、ブルース・リー主演『燃えよドラゴン』!
『燃えよドラゴン(1973)』とは?
伝説的アクションスター、ブルース・リーの代表作であり、世界中にカンフーブームを巻き起こしたクラシック・ムービー。
舞台は香港。少林寺の武術を学ぶリー(ブルース・リー)は秘密情報局から、悪に道に進んだ兄弟子であるハン(シー・キエン)が所有する島への潜入を依頼される。
当初は依頼に対して消極的だったリーだが、自分の妹がかつてハンの手下に殺されたことを知ると、復讐のため、潜入を決意。ハンが開催する武術トーナメントへ参加することになる。
①ブルース・リーが切り開いた“カンフー映画”という新境地
超人的な身体能力と武芸を駆使し、敵をバッタバッタと薙ぎ倒す「カンフー映画」。ジャッキー・チェンやジェット・リーなどが魅せる超人的なカンフーアクションに憧れた人も多いんじゃないかな?そんな娯楽映画の大人気ジャンルである”カンフー”の草分け的な映画がこの『燃えよドラゴン』だ。従来、香港や一部のアジア圏でしか知られてなかった中国武術を取り入れた演出要素をエンターテイメントとして昇華し、世界的に認知させたんだ。後のジャッキー・チェンやジェット・リーの活躍もこの『燃えよドラゴン』があってこそってわけだね。
②今観ても色褪せない超人的なアクション
まず誰もが見惚れてしまうのはブルース・リーの鍛えあげられた肉体。それだけも圧倒的な画力なのに、そのパンチやキックの切れ味、そして魅せ場の一つであるヌンチャクさばきはまさに極限まで高められた達人の技だ。特にクライマックスの鏡の部屋での宿敵ハンとの最終決戦はこの映画の大きな見所。実はハンを演じる俳優、シー・キエンも武術の達人であり、撮影時60歳近い年齢ながら見事なアクションを見せているよ。
③“考えるな、感じろ!” パンチラインの数々
『燃えよドラゴン』はパンチラインの多さでも有名。元々中国武術の根底には人間思想に対する深い哲学が息づいているのだが、それを上手く取り入れた台本はこの映画の大きな魅力だ。なんといっても一番のパンチラインは、リーが弟弟子に伝える “Don’t think. FEEL!(考えるな、感じろ!)”は映画史に残る名言。『燃えよドラゴン』を観たことがない人でも聞いてことはあるパンチラインだよね。他にもリーと師匠の問答で出てくる
“What is the highest technique you hope to achieve ?(お前が達成したい最高の技術は何だ?)” “ To have no technique(技術を持たないことです)” など深いセリフがたくさん出てくるので、ぜひチェックしてみて欲しい。
④ヒップホップカルチャーへの影響
実はこの『燃えよドラゴン』が巻き起こした1970年代のカンフーブームは、ヒップホップの発展とも関わっている。元々1970年代は“Blaxploitation(ブラックスプロイテーション)”と言われる黒人が監督、キャスト、音楽などを手がけるアクション映画など作られ始めた時期。それまで白人中心のスタッフ、キャストで白人向けの映画ばかりだったアメリカ映画界においてブラックの人たちの新たなアートフォームが立ち上がってきた時期なんだ。そんな中でアメリカにおけるもう一つのマイノリティであるアジア系の映画ジャンルとして盛り上がってきたのがカンフー。その代表作が『燃えよドラゴン』なんだ。つまり白人中心だったエンタメの世界にブラックとアジア系の新たなカルチャーが生まれていったタイミングなんだ。当然マイノリティのキッズたちは新たなカルチャーに熱狂。同時期に盛り上がり始めていたヒップホップ文化においても、4大要素の1つであるブレイクダンスのオリジネーターたちはカンフーの動きを参考にしていたと言われているんだ。
⑤カルチャーアイコンとして
1970〜80年代に爆発的なブームとなったカンフー。当然それを観て育ったキッズたちにへの影響は絶大だ。その中でもヒップホップシーンで、カンフーの影響を受けたグループと言えば、言わずもがな、Wu-Tang Clan(ウータン・クランプ)。彼らのデビュー作『Enter the Wu-Tang (36 Chambers)』は、タイトルからも明らかな通り『燃えよドラゴン』の原題『Enter the Dragon』のサンプリングだ。
東洋の世界観とストリートのバイブスを融合させた独自の音楽表現は当時のシーンに衝撃を与え、今でもヒップホップ史上に残るクラシックとして多くのヘッズたちから愛される作品になっているんだ。
画像出展元 : Orange Sky Golden Harvest
配信先:Amazon Prime