映画 『ただ悪より救いたまえ』を観るべき5つの理由|ストリートヘッズのバイブル Vol.67

韓国の名優がぶつかり合う! 血を血で洗う韓国ノワールの新境地。

ライター:Lee

みんな文化ディグってる?
「ストリートヘッズのバイブル」ではヒップホップ好きにオススメの映画を紹介していくよ。

今回取り上げるのは映画『ただ悪より救いたまえ』。韓国ノワールの新たな代表作となる作品だ。

『ただ悪より救いたまえ』ってどんな映画?

凄腕の暗殺者インナムの最後の仕事は、日本のヤクザ・コレエダの殺害だった。任務を完遂したインナムは晴れて引退かと思われたが、コレエダの義弟である殺し屋レイに命を狙われることに。そんな中、インナムの元恋人がタイで殺され、存在を知らなかった彼の娘も行方不明だということが発覚。インナムはタイで娘探しをはじめるも、レイの影はすぐ間近に迫り…。

『ただ悪より救いたまえ』を観るべき5つの理由

①Jindogg×IOが日本版イメージソングを制作

映画の日本版のイメージソング『sometimes win sometimes lose』を担当したのが、ヒップホップシーンに欠かせないふたりのラッパー、Jin doggとIOだ。東京と大阪を代表するラッパー同士のコラボとだけあって、発表当時は大きな話題に。ノアール映画とヒップホップは意外な組み合わせに思えるが、映画にインスパイアされたリリックは、映画に漂う激しさの中にあるセンチメンタルな雰囲気に見事マッチしているよ。

楽曲を聴いたホン・ウォンチャン監督も、「映画が持つ情緒やグルーヴを上手く表現してくださっている!」見事なハマりっぷりを賞賛。映画のシーンとあわせた特別予告映像も公開されているから、要チェック!

②『イカゲーム』の主人公が残忍な殺し屋に!?

兄を殺した主人公を地の果てまで追いかける殺し屋レイを演じたのは、世界中で大ヒットしたNetflixドラマ『イカゲーム』の主演だったイ・ジョンジェ。『イカゲーム』では借金まみれの冴えない中年おやじの役だったが、本作では正反対のクールでカリスマ性抜群の役柄。狙った獲物は逃さない冷徹で残忍な殺し屋を、かっこよくスタイリッシュに演じている。

レイの役作りにはだいぶ悩んだそう。狂気と冷徹さが同居した型破りなキャラクターであるレイは、恋愛映画から歴史映画まで幅広い役柄をこなしていたイ・ジョンジェにとっても、新境地への挑戦になった。そしてひと目みたら忘れない強烈なキャラクターとして、レイを見事に演じ切った。

『イカゲーム』と同時期に制作された作品なのに、ぜんぜん違うキャラクターに仕上がっているのがすごいよね。『イカゲーム』の視聴者は変貌ぶりに驚くはず。ぜひチェックしてみてね!

③韓国ノワールの黄金タッグが復活

殺し屋レイに命を狙われる主人公インナムを演じたのは韓国の名優ファン・ジョンミン。本作では子供のために命を懸ける悲しき暗殺者を演じていたが、『アシュラ』では鬼畜な悪徳市長を狂気たっぷりに演じていたり、『コクソン 哭声』では怪しい祈祷師を演じていたりと、役柄によって全く印象が違うカメレオン俳優だ。

そんなファン・ジョンミンとイ・ジョンジェ、名優ふたりの共演は本作が7年ぶり。韓国ノワールの最高峰と名高い『新しき世界』以来の共演となった。お互いに『新しき世界』とは全く違う役柄を演じているけど、演技は息ぴったり。

裏社会でしか生きられないアウトローふたりの血で血を洗う激闘からは、ひとときも目が離せない。ふたりがはじめて対峙するアクションシーンも迫力満点で、何度でも観たくなること必至だよ。

 

④これからの韓国映画を担う人たち

この映画を作った人たちも、韓国映画界に欠かせない作り手だ。監督・脚本はナ・ホンジ監督の傑作『チェイサー』や『哀しき獣』で共同脚本を務めてきたホン・ウォンチャン監督。脚本家として活躍してきたホン監督は、『ただ悪より救いたまえ』の脚本を映画公開の10年前には書き上げていたそう。紆余曲折を経て、監督デビュー2作品目としてこの作品の監督もすることに。

撮影は『パラサイト 半地下の家族』『哭声/コクソン』で撮影監督を務めたホン・ギョンピョが担当。ひとつひとつのシーンが画としてばっちり決まっていて、物語の世界に観る人を引き込んでくれるよ。

これからの韓国映画も楽しみになる、そんな布陣で作られた映画だ。

⑤日本が舞台のはじまり

韓国以外の8割が日本やタイなどの海外で撮影された『ただ悪より救いたまえ』は、日本でのシーンから幕をあける。日本ヤクザの「コレエダ」が暗殺されたことから物語が動きだすため、日本はキーになっている。

ホン監督は日本映画の影響もたくさん受けており、巨匠の小津安二郎監督や黒澤明監督のファン。北野武監督や、深作欣二監督の『仁義なき戦い』シリーズからインスピレーションを受けているそう。

日本からも豊原功補と白竜が出演。豊原功補演じる「コレエダ」の名前は、『万引き家族』でカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞した是枝裕和監督が由来。コレエダは物語でも重要なキャラクターのため、韓国人にとっても馴染みのある日本人の名前を使ったんだとか。

韓国でも大ヒットを記録し、日本にも縁のある作品。韓国ノワールのずば抜けたかっこよさを体験できるからぜひ観てみてね!

 

画像出典元:TWIN

配信先:AmazonPrime

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