みんな文化ディグってる?
「ストリートヘッズのバイブル」では音楽や文化の知識を知ることができる映画や本を紹介していくよ!今回取り上げるのは大ヒット・マーベル映画『ブラック・パンサー』!
『ブラック・パンサー』とはどんな映画?
宇宙から飛来した鉱石、ヴィブラニウムを使って独自の発展をとげてきたアフリカの超文明国ワカンダ。 王位を継いだティ・チャラは超人的な力を持つ”ブラック・パンサー”として国を守る役目につくのだが、ヴィブラニウムを狙うもの、王位を狙うものたちとの戦いに巻き込まれていく。
『ブラック・パンサー』を観るべき5つの理由
①ストーリーの根底を貫くアフロフューチャリズム
『ブラック・パンサー』の根底を貫くのは「アフロフューチャリズム」という価値観だ。アフロフューチャリズムとは1930年台から90年代にかけて活動したジャズ・ミュージシャンのサン・ラーが提唱し始めた思想で、おおまかにまとめると「欧米からの侵略や植民地支配によって世界各地に奴隷として連れて行かれたアフリカの人々が自分たちのルーツであるアフリカの文化をベースにした未来世界で理想郷を作り上げる」という思想のこと。
ファンク音楽の大御所ジョージ・クリントンやヒップホップのオリジネーターの一人、アフリカ・バンバータなどはこの思想に強い影響を受けており、彼らのビジュアルや音楽の宇宙感は「アフロフューチャリズム」の世界観を表したものなんだ。
『ブラック・パンサー』で描かれる世界観はまさにこのアフロフューチャリズムの思想そのもの。
アフリカ古来の文化と宇宙のテクノロジーを融合させて栄える国「ワカンダ」はまさにアフロフューチャリズムにおける「理想郷」なんだ。
②最高にカッコいい女性キャラクターたち
ジャッキー・チェンの映画といえば、「椅子に縛りつけても跳ね上がって戦う」「テーブルやその場にあるものをなんでも使う」「数人に囲まれても、気づいたらすり抜けて全員倒してる」などファンにはお馴染みの超絶カンフー・アクションが見どころだよね。『ラッシュ・アワー』でももちろんそのアクションはしっかり作り込まれており、ジャッキーがバッタバッタと敵を倒していく様はまさに痛快だ。
③ 英語のアクセントで示したアフリカのアイデンティティ
『ブラック・パンサー』でワカンダの人々が話しているのは僕たちが馴染みがあるアメリカ英語やイギリス英語ではない。南アフリカで話されているコーサ語のアクセントを取り入れた英語だ。元々マーベルの制作チームはメインの観客になるであろうアメリカやイギリスの人々に合わせて、イギリス英語を出演者に話させようとしてたらしいんだけど、主演のチャドウィック・ボーズマンはアフリカを描く映画として、アフリカのアクセントを取り入れることを提案。結果としてアフリカで使われている言葉の一つ、コーサ語のアクセントをベースにした英語をワカンダの言葉にすることになったんだ。言葉というのはその文化や人々に対しての敬意を示すのに最も大事な要素。言葉をこだわったことで、よりアフリカの国家としてのリアリティが増し、『ブラック・パンサー』の価値を高めることにつながったんだ。
④ アフリカの伝統美と未来的要素の融合
アフリカの雄大な自然と、ヴィブラニウムのテクノロジーによって作られた未来的な建造物が組み合わさった映像美はこの映画の大きな魅力。随所にアフリカ的な絵画やデザインが取り入れられ、唯一無二の世界観を作り出している。
またアカデミー賞、衣装デザイン賞を受賞した衣装も大きな見どころだ。映画全体のコスチュームデザインを担当したデザイナー、ルース・カーターは、アフリカのファッションの色味や布などあらゆる情報をリサーチして、未来的な要素と組み合わせたとインタビューで答えている。
例えば、メインキャストの一人であるシュリの衣装はアフリカのディンカ族のコルセットにインスパイアされたデザインだったり、また粘土や紙で作った本物のアフリカのビーズを実際に衣装に作ったり、随所にアフリカに今も伝わるデザインが取り入れているんだ。
⑤ケンドリック・ラマーがプロデュースしたサウンドトラック
映画はもちろんなんけど、ケンドリック・ラマーと、彼のレーベル、トップ・ドッグ・エンタテイメントのCEO、アンソニー “トップ・ドッグ” ティフィスが全面プロデュースを手がけたサウンドトラック『ブラックパンサー ザ・アルバム』も必聴。SZAが参加した「All The Stars」、ヴィンス・ステイプルズが参加した「Oops」などマストチェックだ。映画を見終わった後もしっかり音楽でも楽しめるってわけだね。
画像出典元:ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーションピクチャーズ
配信先:Amazon Prime