B-BOY農家 / 山倉慎二 a.k.a. BRING BACKが農作業中に聴くラップソング|あの人も実はヒップホップ Vol.21

普段はイチゴ農家、休日はラッパー、ブレイクダンサーとして活動する農家が田んぼでプレイする一曲とは?

ライター:TARO

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のお気に入りの曲を毎月紹介していく「あの人の勝負曲」。ヒップホップカルチャーを愛し、自分のやりたいことと仕事を両立する。そんなアツいHIPHOP PEOPLEにインタビューしていく企画です。

今月はブレイクダンサーであり、稲作&イチゴ農家「SHOKURO(ショークロ)」のオーナー、山倉慎二(やまくら・しんじ)さんに4回に渡ってインタビューしていきます。第1回目は「農作業中に聴くラップ」について話して頂きました。

ダンサーと農家の両立!? B-BOY農家・山倉慎二 a.k.a. BRING BACK

レペゼン:
自己紹介をお願いします。

山倉慎二:
新潟県新潟市でお米とイチゴを作ってる農家の山倉慎二(やまくら・しんじ) a.k.a.BRING BACKです。年齢は36歳です。「農業にエンターテイメントを。」という理念を掲げて活動してます。

レペゼン:
インタビューさせて頂くのを楽しみにしておりました。
インスタを拝見したのですが、相当のヒップホップ好きですよね?

山倉慎二:
そうですね笑
ラップ、ブレイクダンス、イラストとか結構色々やってます笑

レペゼン:
今日はその辺、しっかり聞いて行きたいと思います。
まず最初に経営されている農家、「SHOKURO」について教えてください。

山倉慎二:
うちはお米はコシヒカリ、イチゴは「越後姫」ってブランドを作ってます。

SHOKUROの「コシヒカリ」

レペゼン:
コシヒカリは知ってますが、「越後姫」は初耳です。

山倉慎二:
越後姫は新潟では有名なんですけど全国的にはまだそんなに有名じゃないですね。
特徴としては桃みたいに柔らかい。だから傷みやすくて、出荷しづらい品種です。
なので、新潟県内で消費されていて、新潟のイチゴのシグネチャーモデルみたいな感じですね。

「越後姫」

レペゼン:

東京でも買えるんですか?

山倉慎二:
どうだろう?
うちのネットショップで買えますね笑

レペゼン:
チェックします笑
元々農家の家系なんですか?

山倉慎二:
そうですね。うちの家はずっと代々農家です。
僕も子供のときから畑で遊んで育って、農業も好きだったので、自然な流れで家業を継ぎましたね。

レペゼン:
どういうきっかけでヒップホップにハマったんですか?

山倉慎二:
やっぱり高校の時に聴いたキングギドラですね。
それまでずっとJ-POPに疑問があったんですよ。

レペゼン:
というと?

山倉慎二:
なんでこいつら嘘ばっか歌ってんのかなって。

レペゼン:

山倉慎二:
「世界中を敵に回しても君だけを愛し続ける」みたいな歌詞ってあるじゃないすか。
あんなの絶対嘘だろって思ってて。なんかすごい違和感があったんですよ。

レペゼン:
その気持ちすごく共感します笑

山倉慎二:
J-POPに全然ハマれなくて。
そんな時にキングギドラを聴いて、「俺の音楽だな」と思ったんです。

レペゼン:
わかるなー。

山倉慎二:
特にK Dub Shine(Kダブシャイン)さんが大好きで、めちゃくちゃ啓発されましたね。
そこからニトロ行ったり、そっち系の日本語ラップにハマって行きました。
そういう硬派な曲を聴かないやつをフェイクだと思ってましたね。

レペゼン:
あったなー、その感覚笑
クラブとかは行ってたんですか?

山倉慎二:
大学に入ってから、農業を始めた23歳ぐらいまでは毎週行ってました。
田舎なんで、家から車で30分ぐらいかかるんですけど。毎週末行って、帰りは代行で帰るみたいな生活でしたね。
パーティーの次の日は二日酔いでイチゴを取ってました。

レペゼン:
最高ですね笑
ではそろそろお気に入りの曲についても聴いていきます。
農作業中にそもそも音楽って聴くんですか?

山倉慎二:
結構聴きますよ。
特に朝の作業とかは自分が心地いい音楽を流すことが多いですね。

レペゼン:
お気に入りはありますか?

山倉慎二:
ケンドリック・ラマーの「Alright」はかなり聴きます。

レペゼン:
良いですねー。

山倉慎二:
朝一に聴くと、めちゃめちゃやる気出るんですよ。
トラクターに乗ったり、草刈りとかする時に流してます。

レペゼン:
「Alright」のどんな部分が好きですか?

山倉慎二:
「Alright」ってアフリカン・アメリカンの人々が苦しんでいる差別や貧困といった状況に対して、「大丈夫だよ」って声かけをしてる曲だと思うんです。自尊心を持って、誇りを持って生きろっていうメッセージを発信してると思ってて。僕はそれを自分の仕事にも結構当てはめてて。

レペゼン:
農業にですか?

山倉慎二:
そうそう。僕ら農民も今ってバッドニュースが多いんですよ。米の消費量が減ってるとか、肥料代が高騰してたりとか。正直結構大変なことも多くて。
そんな中でケンドリックの歌を聴いて、オレは「人間が生きるための食べ物を作ってるんだ。だから大丈夫なんだ。誇りを持ってやっていこう」っていうことを思えるようになったんです。

レペゼン:
良いですねー。
ケンドリックはよく聴くんですか?

山倉慎二:
そうですね。
僕は自分がやってるポッドキャストでケンドリック・ラマーについて喋ったことがあるんですけど、そこで彼について時間をかけて調べたんですね。それがきっかけで彼のことがかなり好きになりました。

ポッドキャスト「ディグトリオ」

レペゼン:
そういったヒップホップトークができる農家さんの友達はいるんですか?

山倉慎二:
新潟はいないかな…笑
ただ今はポッドキャストやTwitterで全国の農家さんと喋ったりすることがあるので、
その中にはやっぱいるんですよ、ヒップホップ好きの人も。そういう方と出会うと嬉しくてめちゃくちゃ話しちゃいますね笑

レペゼン:
そっか、ポッドキャストで繋がることもあるんですね。
山倉さんのポッドキャストもチェックします!

山倉慎二:
ありがとうございます!

B-BOY農家、山倉さんが農作業の時に聴くラップソングはケンドリック・ラマーの「Alright」!次回は米を炊く時に聴くラップ曲について聞いていきます!お楽しみに!

プロフィール

  • 山倉 慎二(やまくら  しんじ)

    山倉 慎二(やまくら しんじ)

    新潟県新潟市江南区で水稲といちごを栽培する農家「SHOKURO(ショークロ)」の代表。「農業にエンターテインメントを」をモットーに、ブレイクダンスやラップ、動画配信などを取り入れた新しい農業の発信のスタイルを実践している。「音楽」「ファッション」「映画」「漫画」などカルチャーについてドープに語るポッドキャスト「ディグトリオ」をSpotifyで配信中。

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