ネオン職人・高橋秀信 『ネオンを作る時に聴くラップソング』|あの人も実はヒップホップ Vol.29

ネオンを作り続けて35年。高橋さんが作品へ込める想いとは?作業中に聴くお気に入りの一曲とともに紹介!

ライター:TARO

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人にインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。ヒップホップカルチャーを愛し、自分のやりたいことと仕事を両立する。そんなアツいHIPHOP PEOPLEにインタビューしていく企画です。

今月はネオン職人・高橋秀信(たかはし・ひでのぶ)さんに4回に渡ってお話を伺います。第1回目は高橋さんがネオン職人になるまでのストーリーと、『ネオンを作る時に聴くラップソング』について話して頂きました。

修行時代の給料は10万円。好きなことに触れていたので、全然苦じゃなかった。

レペゼン:
自己紹介をお願いします。

高橋秀信:
横浜で「スマイルネオン」というネオンサインのお店をやっている高橋と申します。
生まれは1965年3月31日、今57歳です。出身も横浜です。

レペゼン:
ありがとうございます。
工房にお邪魔してまず思ったんですが、すごいですね。ネオンの数々。

高橋秀信:
ありがとうございます。
もう35年以上、ネオンを作ってます。

レペゼン:
どれもめちゃくちゃカッコいいです。
高橋さんは、元々どういった経緯でネオンに興味を持たれたんですか?

高橋秀信:
高校卒業して自動車関係の会社に勤めてたんですけど、ちょっと違うなっていうことで、地元の看板屋さんに「使ってくれないか」って飛び込んだのがきっかけです。その時にネオンサインと出会って、「ウワー!」って衝撃を受けて。そこからネオンの世界にハマっていきました。

レペゼン:
そこでネオンサイン製作の修行をされたんですか?

高橋秀信:
そうですね。
ネオン屋さんの親方のもとで、12年ぐらい修行してました。

レペゼン:
かなり長いですね!
修行期間ってどんな感じだったんですか?お給料がすごく安いイメージがありますが。

高橋秀信:
もちろん、お給料は全然安かったです。
修行し始めは1年間くらい月給10万円でした。

レペゼン:
えー!

高橋秀信:
でも好きなことに触れてるんで、全然苦じゃなかったです。

レペゼン:
バイトとかしてたんですか?

高橋秀信:
いや、してなかったですね。
その時はまだ実家に居候してたんで、10万でもなんとかやってました。
レコードを買い過ぎちゃって、お金がなくなることはよくありましたけど笑

レペゼン:

徐々にお給料は上がっていくものなんですか?

高橋秀信:
そんなに上がんないですよ。
30歳を過ぎても20万ももらってなかったと思います。
でもいずれ自分が独立して、好きなネオン工房を作っていくって思ってたんで、全然楽しくやってました。

ヒップホップを聴いて作るリズミカルなネオン


レペゼン:
無知で申し訳ないんですけど、ネオン作りの作業ってどんな感じなんでしょう?

高橋秀信:
ネオンの制作ってシンプルなんですよ。まっすぐなネオンの材料をバーナーで曲げて、それに電極っていうのをつけるんです。電極をつけて、真空にしてガスを注入するっていう3工程で品物ができます。

【バーナーでの作業の様子】


レペゼン:
なるほど。でも一つ一つ細やかな作業ですよね。

高橋秀信:
そうですね。より細かいのや、大きいものはちょっと時間がかかるかな。

レペゼン:
作業中に聴く曲を1つ挙げるとすると何でしょうか?

高橋秀信:
なかなか難しいのですが、1曲選ぶとするとドクター・ドレーの「Nuthin’ But a “G” Thang」ですかね。

レペゼン:
間違いない名曲ですよね。ウェストコーストのラップがお好きなんですか?

高橋秀信:
西も東もどっちも好きなんですよ。あとレゲエとかも大好きです。だからこれっていうのはないんですけど。
でも、やっぱり90’s。90年代の音楽が一番良いですよね。
特にあの時代のウェストコーストの音楽のワクワク感が大好きです。

レペゼン:
「Nuthin’ But a “G” Thang」のこういうところで気持ちがアガるとかあります?

高橋秀信:
やっぱりPVとか観ると気持ちアガりますし、イントロを聴くと「よし、やるかあ」って気持ちになりますね。

【音楽を聴きながらネオンの制作をする高橋さん】

 
 
 
 
 
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レペゼン:
音楽を聴きながら作業をやると、やっぱり違いますか?

高橋秀信:
全然違いますよね。作品にも影響します。結構リズミカルになっちゃったりとか。
自分、車とかバイクも好きで、もうライフスタイルって感じなんですけど、音楽も欠かせないんで。
車の中でも家でも、作業場でも常に音楽は聴いてますね。

レペゼン:
素人目ですけど、ネオンを拝見させて頂いてグルーヴをすごく感じます。
音楽を聴いて作っていらっしゃる感じが目に浮かびますね。

高橋秀信:
そうですか?
なんかそうやって言っていただけるとすごい嬉しいです。

お客さんの想いをネオンに込めたい

レペゼン:
実際にお客さんと工房で打ち合わせたりされるんですか?

高橋秀信:
しますね。自分もお客さんとネオンのデザインの話をするのがすごく好きで。
オーダーを頂いた方と会って「どの色がいい?」って一緒に決めたりするんですけど、すごいワクワクしますよね。
その人の想いだったりを感じると余計に力が入ります。
例えば「結婚式を挙げるんです。ウェルカムボードにネオンを置きたい」ってカップルで来るんですよ。
それを形にして点灯させたときに喜んでくれてる顔を見ると本当に嬉しいですね。

レペゼン:
素晴らしいです。

高橋秀信:
そうなんですよ。ネオンを通してその人の気持ちまで入っていきたいですよね。

ネオン職人、高橋秀信さんが「ネオンを作る時のラップソング」は「Nuthin’ But a “G” Thang」。次回は「移動時のラップソング」について聞いていきます。お楽しみに!

プロフィール

  • 高橋秀信(たかはし・ひでのぶ)

    高橋秀信(たかはし・ひでのぶ)

    ネオン職人。横浜・新山下にネオン看板工房「スマイルネオン」を構える。 高校卒業後、自動車、看板デザイン製作会社を経て、NYなどのネオンサインの美しさに魅了され、東京蒲田のネオン工房へ弟子入り。2000年より横浜市新山下に「スマイルネオン」を設立。個性派ショップやレストランなどの大小サインを数多く製作する。確かな技術と経験に裏打ちされた精巧な仕上がりに、温かみとグルーヴ感を併せ持つネオンは唯一無二であり、現在はショップやレストランのネオンサインにとどまらず、企業の看板やオフィス用の装飾、そして結婚式のウェルカムボードやアーティストのロゴに至るまで幅広い作品を手がけている。

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