ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアや仕事について全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月のゲストは、神奈川県 三浦市のパン屋「充麦(みつむぎ)」のオーナー、䕃山充洋(かげやま・みつひろ)さん。横須賀のクラブでDJとして活動、その後ヨーロッパを放浪し、自身で生産した小麦を使ったパン屋をオープン。異色の経歴を持つ蔭山さんのヒップホップ・キャリアについて伺いました。Vol.4の今回はお店の立ち上げから現在までのお話と、仕事との向き合い方について。
前回の記事はこちら→ DJ、ヨーロッパ放浪、そしてパン屋へ。異色のキャリアを持つパン職人、蔭山充洋とは?
ファンを想うパン作り。神奈川県三浦市の大人気パン屋「充麦」
レペゼン:
DJ、ヨーロッパ放浪などを経て、現在は神奈川県・三浦市で自家製の小麦を使ったパン屋「充麦(みつむぎ)」を経営されている蔭山さんですが、なぜ現在の場所でお店をオープンしようと思われたのですか?
蔭山充洋:
横須賀の方でDJやバーテンとして働いてたっていうのもあって、横須賀で夜にやるパン屋なんかも良いなって思ってたんですが、やっぱり自家製の小麦を使う上で畑に近い方が良いなと。それで畑に一番近い場所で物件を探したら、今の場所が見つかったって感じです。
レペゼン:
そうなんですね!
蔭山充洋:
本当へんぴなところなんですが、最近はスーパーが出来たり、ホームセンターできたりして、ちょこちょこ賑わってはきています。
レペゼン:
最初から結構お客さんは来られていたんですか?
蔭山充洋:
オープンしたてはグワーッて来たんですけど、半年くらいするとやっぱり落ち着いてきちゃうんですよね。
そこからずっと落ち着いた感じが半年ぐらい続いて。ただその辺からちょこちょこ取材とかが入るようになって、雑誌とかラジオで取り上げて頂くことが増えてきたんです。それでお客さんも安定していきましたね。
レペゼン:
経営されている中で、特に苦労したことはありますか?
蔭山充洋:
やっぱり朝が早いんで従業員が大変っていうところですかね。釜があるので、夏は暑いし。
でもお客さんが「美味しいよー」とか、「お友達に持っていくんだ」とか言ってくれると、こっちも頑張ろうと思うんです。パン一つ一つにファンがいて。作ってる時にそのお客さんのことを考えると、ちょっと手間でも、もうちょい丁寧に作ろうかなとか、気持ちが入りますね。
元クラブDJが考える「パン作りに合うラップソング」
レペゼン:
パン作り中に聴くとテンションが上がるヒップホップはありますか?
蔭山充洋:
最近のラップも聴くので、Drake(ドレイク)や21 Savage(トゥエニーワン・サベージ)辺りも聴いてるんですが、みんなダウナー系じゃないですか。もちろん好きなんですが、従業員もお客さんもダウナー系のビート聴きながら、パンを作ったり買ったりしたくないかなと笑
レペゼン:
楽しい気持ちになりたいですよね笑
蔭山充洋:
なのでアップテンポの曲をかけるようにしてます。例えば、Big Tymers「Beautiful」とか好きですね。
Big Tymers「Beautiful」
レペゼン:
ちょっとG-Funkな感じもあっていいですね。生バンドっぽい、
蔭山充洋:
そうですね。こういうダンサブルな感じも好きです。やっぱり横須賀のクラブでDJやってた時に、黒人の米兵の方を踊らせるという目的でDJやってたので、そういう曲のチョイスが多いですね。
DJパン屋・蔭山充洋。米軍のラップに衝撃を受け、ヒップホップにハマった青春時代とは?
「毎日仕事に行きたいんですよね。行きたい仕事に僕は行く。」
レペゼン:
蔭山さんのお話を聞いていると、とにかくなんでも自分がやりたいことを貫く生き方をされているなと感じました。
蔭山充洋:
これは完全に僕の感覚なのですが、決められた仕事をしてお給料をもらうのではなく、働く内容も働き方もお給料も自分で決めたいと思ってて。生かされるよりも自分で生きたいんです。充麦は音楽、お酒、パンなど全て僕がやってきたことで収入を得ています。あとは周りの友人たちが作った雑貨やコーヒーなども売ってて。仲間といろんなことをやるのも楽しいですね。
レペゼン:
DJやバーテンダー、ヨーロッパ放浪など、全部やりたいことをとことんやってきてますもんね。
蔭山充洋:
そうですね。例えば、DJをやってる時も今日この曲かけて、あいつらを踊らしてやろうとか、今日はこういう流れで持っていってみようとか、すごいスローな曲の後にいきなりガツーンとアガる曲をかけようとかって色々考えるじゃないですか?
パン作りも一緒なんです。新しいパンを作って、お客さんの反応を見るのが楽しみで。
レペゼン:
良いですね!
蔭山充洋:
毎日仕事に行きたいんですよね。行きたい仕事に僕は行く。行きたいとこに行くし、やりたいことをやってる。
今へんぴな場所でパン屋やって、音楽もうるさいし、お酒も売ってるけど。
おばあちゃんもDJ Screwを聴きながらパンを買ってるし笑
レペゼン:
笑
蔭山充洋:
でも、そんな店でもこうやってお客さんが来てくれているのは、たぶん僕が本当に好きなことやって、それで、お客さんにも真摯に対応してるからだと思うんです。お客さんを喜ばせたいんですよ。DJもお客さんを踊らせたい、パンでも人を喜ばせたいっていうのが一番の原動力かもしれないですね。
レペゼン:
素晴らしいです。今回はお忙しい中、本当にありがとうございました!
蔭山充洋:
ありがとうございました!
前回までの記事はこちら→DJ、ヨーロッパ放浪、そしてパン屋へ。異色のキャリアを持つパン職人、蔭山充洋とは?
プロフィール
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1975年生まれ、横須賀出身。高校卒業後、音楽の専門学校に通いながら、横須賀・ドブ板通りの米兵が通うDJバーで、バーテンダーとして働き始めたことがきっかけでヒップホップカルチャーと出会う。その後バーテンダー、DJとして活動後、30歳からヨーロッパを放浪。フランスで農家から直接小麦を仕入れてパンを作るパン屋と出会ったことで、小麦作りに興味を持つ。帰国後、2008年に三浦市で自ら小麦を育て、収穫して、パンをつくるパン屋「三浦パン屋 充麦」を開店。自家製小麦から作る香り豊かなパンとヒップホップバイブス溢れるお店が地域の方に愛されており、週末には東京からもファンが訪れる人気店となっている。