ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアや仕事について全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月のゲストは、神奈川県 三浦市のパン屋「充麦(みつむぎ)」のオーナー、䕃山充洋(かげやま・みつひろ)さん。横須賀のクラブでDJとして活動、その後ヨーロッパを放浪し、自身で生産した小麦の生産を使うパン屋をオープン。異色の経歴を持つ蔭山さんのヒップホップ・キャリアについてお伺いしました。
前回の記事はこちら→ 世界一のDJが米農家に!異色のキャリアを持つ駒形宏伸とは?
元DJにしてパン職人、蔭山充洋とは?
レペゼン:
自己紹介をお願いします。
蔭山充洋:
パン屋の蔭山充洋(かげやま・みつひろ)です。神奈川県の三浦市で「充麦」というパン屋をやってます。
もともとはバーテンダーをやったり、ヒップホップのDJをやったり、あと海外を放浪したりもしてました。特に南部のヒップホップが好きです。自分の店でも常にヒップホップを流してますね。
レペゼン:
ありがとうございます。
インタビューさせて頂くのを楽しみにしておりました。蔭山さんは自分達で小麦の生産をして、パンを作られているとお伺いしたのですが。
蔭山充洋:
そうですね。自分達の畑があって、そこで収穫した小麦をお店で製粉してます。そこから北海道、群馬、熊本などの小麦とブレンドしてパンを作っています。あとは仲間たちと小麦のビールや、生パスタ、あとミツバチの巣箱を置いて、蜂蜜なんかも作ってますね。
レペゼン:
結構幅広く色々なものを作られてるんですね!
自分で生産した小麦を使うことで、何かパンに味の違いが出るんですか?
自家製小麦で作る「充麦」こだわりのパンとは?
蔭山充洋:
味もそうですし、まず香りが全然違いますね。例えば普段目にする小麦って真っ白じゃないですか。そういう小麦って製粉してから2、3ヶ月経ってるんです。でも小麦って製粉して、時間が経てば経つほど風味が飛んじゃう。うちの場合は、製粉してから1、2日ですぐにパンに使っているんで、香りが凄く強いんですよ。そういう点でも全然違うっていうのはありますね。
レペゼン:
それはパンに詳しくない人が食べてもわかるものなのでしょうか?
蔭山充洋:
わかると思います。例えば白米と玄米の違いみたいなものですね。
レペゼン:
なるほど。玄米って身体に良いって聞くんですが、製粉したての小麦を使ったパンも健康に良かったりするんですか?
蔭山充洋:
そうですね。身体への負担が違うんです。
精製された白米や白い小麦って身体への吸収率が早いので、急激に血糖値が上がるんです。で、血糖値が上がると、今度は身体が反応して血糖値を下げようとするんですが、この血糖値が急激に上がったり、下がったりするのって血管にすごく負担なんです。
レペゼン:
そうなんですね!知らなかったです!
蔭山充洋:
ただ玄米など皮のついたものだと、体が吸収しにくいので、栄養がゆっくり吸収される。つまり急激に血糖値が上がらないので、体への負担が少ないんですよね。例えば、僕たちがパン作りに使ってる小麦の粒をまるごと挽いて粉にした「全粒粉」はそういった血糖値の急激な上昇を抑える原材料なので、身体に優しいとされてますね。
【お店で使っている全粒粉】
レペゼン:
面白いですね。「充麦」で一番人気のパンって何でしょうか?
蔭山充洋:
お客さんに一番人気なのがベーコンエピっていうパンです。全粒粉の生地にベーコンを巻いただけなんですけど、その全粒粉の生地とベーコンの油がすごく合うんです。それはもう一番売れてます。おすすめですね。
トラヴィス・スコットが流れるパン屋!元DJならではの選曲とは?
レペゼン:
「充麦」はパン屋なわけですが、店内ではビールなどが販売されていて、常にヒップホップが流れているとお伺いしたんですが。
蔭山充洋:
そうですね。僕が今までやってきたのは、音楽とお酒とパンだけなんで笑
お酒も売ってるし、音楽もガンガンかかっているし、パンも並んでいるんで、僕がやってきたことを全部ミックスしたのがここみたいな感じです。
レペゼン:
かっこいいです。
蔭山さん自身、ヒップホップのDJをされていたんですよね?
蔭山充洋:
やってました。もともと高校卒業後に、横須賀で黒人の米兵が遊びに来るクラブで働いてたんです。それからヒップホップを聴き出して、その店でDJを始めましたね。店に来る黒人米兵が南部出身の人が多かったんで、彼らを踊らせるために南部のヒップホップを中心に聴き始めたって感じです。
レペゼン:
めちゃくちゃ興味深いです。
「充麦」ではどのあたりの曲をよくかけているんですか?
蔭山充洋:
毎回プレイリストは変えてるんですが、最近だとTravis Scott(トラヴィス・スコット)ですかね。この前出たアルバム、『UTOPIA』の「MODERN JAM」とか「TELEKINESIS 」とか好きです。
【Travis Scott – TELEKINESIS】
レペゼン:
トラヴィスってパン屋に合うんですか?笑
蔭山充洋:
笑
ただお店の雰囲気からして、ゴリゴリのラップソングってあんまり合わないんですよね。
ゴリゴリ、シャウトしてるよりもちょっとダウナーな、落ち着いた感じの方が合うというか笑
レペゼン:
なるほど笑
お客さんや従業員の方はどういうリアクションなんですか?
蔭山充洋:
どうなんですかね笑
実は一度気になってGoogleで調べたことがあって。
僕、あんまりエゴサーチとかあんまりしないんですけど、ある時ふとGoogleで「充麦」って入れて、スペースを入れたら「音がうるさい」って出ました笑
レペゼン:
言われてる笑
蔭山充洋:
そうなんです笑
でも僕が100%お金出してやってるので。
誰に何言われようが関係ねえかなと笑
レペゼン:
確かに笑
蔭山充洋:
ただ逆に褒めてくださるお客さんもいます笑
「元DJがやってるお店なんだから当たり前じゃん」とか「音楽がガンガンかかってる方が良い」って言ってくださったり。あとはもうお店の中で軽く踊ってる子とかもいます。そういうのは嬉しいですよね。従業員も…多分馴染んできてくれてるはず…笑
レペゼン:
面白いですね笑
より行きたくなりました笑
前回までの記事はこちら→世界一のDJが米農家に!異色のキャリアを持つ駒形宏伸とは?
プロフィール
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1975年生まれ、横須賀出身。高校卒業後、音楽の専門学校に通いながら、横須賀・ドブ板通りの米兵が通うDJバーで、バーテンダーとして働き始めたことがきっかけでヒップホップカルチャーと出会う。その後バーテンダー、DJとして活動後、30歳からヨーロッパを放浪。フランスで農家から直接小麦を仕入れてパンを作るパン屋と出会ったことで、小麦作りに興味を持つ。帰国後、2008年に三浦市で自ら小麦を育て、収穫して、パンをつくるパン屋「三浦パン屋 充麦」を開店。自家製小麦から作る香り豊かなパンとヒップホップバイブス溢れるお店が地域の方に愛されており、週末には東京からもファンが訪れる人気店となっている。