WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.270の今回は12/03 (日) にEBISU GARDEN HALLで公演を行う、Migos(ミーゴス)・Quavo(クエイヴォ)特集。
リスナーが思わず乗ってしまうキャッチーなワードチョイスと、スムースなフロウ。そして時にメロディアスに、時にハードコアに縦横無尽にトラックの上を駆け回るそのラップスタイルはまさに唯一無二。今回はそんなQuavoのリリックをMigosのヒット曲などから紹介するよ!
まず紹介するのは、Migosといえば、やっぱりこの曲。大ヒット・シングル「Versace」!
Migos「Versace (2013)」
She ask me why my drawers silk, I told that bitch “Versace”
Cheetah print on my sleeve, but I ain’t ever been in the jungle
Try to take my sack, better run with it, nigga don’t fumble彼女がなんでオレの下着がシルクなのか聞いてくる、ヴェルサーチだからだぜって言ってやる
袖にはチーターのプリント、ジャングルには行ったことねぇけど
オレの袋を取ったら、一目散に逃げな、しくじるんじゃねぇぞ
Quavoのテクニカルなリリック。ライミングの基本である言葉の連想を上手く使いながら、文章をつなげたリリックだ。
まず女の子に“drawers(スラングで下着)”がなぜ“silk(絹)”なのかに聞かれたら、「ヴェルサーチだからさ」と答えるQuavo。彼は下着から上着まで全身ヴェルサーチを着ており、シャツの袖にはチーターの柄がプリントされている。チーターといえば、ジャングル。そしてジャングルを冒険するにはしっかりした荷物が必要だよね。そこで出てくるのが“sack(袋)”だ。このQuavoの大事なsackを狙う人々にQuavoは余裕しゃくしゃくで、「Try to take my sack, better run with it(オレの袋を取ったら、一目散に逃げな)」と声をかけると同時に「don’t fumble(しくじるんじゃねぇぞ)」と釘を刺している。
この一連の流れ、見方によっては、ラップゲームという“ジャングル”で、Quavoの大事な「袋=金」を盗んだら、まるで“チーター”みたく一瞬で追いついて、潰してやるよといった意味にもとれるよね。
HUNCHO JACK(Travis Scott , Quavo)「Saint(2017)」
I’m just lookin’ at this mansion I bought (straight cash).
It just came with fifteen rooms and a vault (fifteen).
Ocean in the back, top floor a loft (woo)オレが買った、この豪邸を見てる(現金!)
15部屋と金庫付きさ(15部屋!)
裏手には海、最上階はロフト付きだぜ(フー!)
「mansion(マンション)」は日本では「ちょっと良い感じのアパート」を意味するのだけど、実は英語圏では「大豪邸」を意味する単語。そしてQuavoが購入した新しい“mansion(豪邸)”はなんと15部屋で最上階にロフト付き、しかもオーシャンビューだ。そんな豪邸をなんと彼は現金で買ったみたい。ヤバすぎるでしょ。オレもいつかそんな家でパーティーしてみたいぜ!
来日記念 Quavo特集のラストを飾るのは、Migosの大ヒット曲「Walk It Talk It」!
Migos「Walk It Talk It(2018)」
Take my shoes and walk a mile
Somethin’ that you can’t doオレの靴で、ちょっと歩いてみろよ
まぁお前にはできないよな
MigosのメンバーであるQuavo、Offset(オフセット)、Takeoff(テイクオフ)は3人ともジョージア州出身。クエイヴォとオフセットはいとこ同士で、テイクオフはクエイヴォのおいにあたる。彼らが生まれ育ったグイネット郡は特にギャングが多く、犯罪が多発している地域であり、そんな場所で生き残ってきた自分たちのことを、お前たちは本質的には理解できないだろと言っているわけだね。
【歌詞出典元】Genius
*訳は全て意訳です。