WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.248。今回取り上げる英語は「misfit(ミスフィット)」。「(集団に)うまく順応しない人、適しない人、不適合者」といった意味の単語だ。今回も有名ラッパーたちのリリックから「misfit」の使い方をチェックしていこう!
まず取り上げるのはLupe Fiasco(ルーペ・フィアスコ)の 「Kick, Push」!
Lupe Fiasco「Kick, Push(2006)」
Branded, since the first kickflip he landed
Labeled a misfit, a bandit最初のキックフリップを成功させて時から押された烙印
貼られたのは不適合者と盗人のレッテル
シカゴ出身、親日家としても知られるルーペ・フィアスコのポエティックなリリック。
彼の地元シカゴでは若者は皆ギャングに加入し、ドラッグの取引や敵対グループとの抗争に明け暮れることが多い中、ルーペが夢中になったのはギャングの道ではなく、スケートボード。リリックで出てくる「キックフリップ」はスケボーのメジャーな技の一つだね。
周りから、“misfit(不適合者)”と呼ばれながらも、自分の道を貫いたルーペはやがてラッパーを志すように。2006年のデビューアルバム「Lupe Fiasco’s Food & Liquor」で全米アルバムチャートにて初登場8位を獲得、続くセカンドアルバム「Lupe Fiasco’s The Cool」は50万枚以上を売上げ、ゴールドディスク認定されるなど、アメリカを代表するアーティストになっていくんだ。
続いて紹介するのはNYと日本を股にかけて活躍する日系アメリカ人ラッパー、MIYACHI(ミヤチ)のヒット曲「WAKARIMASEN」!
MIYACHI「WAKARIMASEN(2018)」
I’m a NY child with my fitted hat down
To the brows, I been tryna make an imprint
‘Cause in my whole life was a Misfit
Now the hoes back ‘round ‘cause they miss kidオレはNYキッズ、キャップを目深に被って
自分の痕跡を残そうとしてる
なぜってこれまでの人生じゃずっと不適合者だったから
今じゃ女たちがオレを恋しがってる
ニューヨークで生まれ育ったミヤチの日本語と英語をスムースに横断するテクニカルなライミングが超イケてる一曲。その中でもこのリリックでは、ニューヨークでの生活の中で、自分がmisfitであると感じていたミヤチの葛藤が吐露されている部分だ。しっかりと“fit(フィット)”したキャップを目深に被ってスキルフルなラップをかますミヤチは、実はこれまでの人生ではずっと“misfit(不適合者)”だったという感情を持っている。
そんな感情をバネをラッパーとなったミヤチは昔彼のことを相手にしなかった女性たちも彼を恋しがるほどイケてる存在になったぜって感じだね。
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.248のラストを飾るのはEminem(エミネム)の「Groundhog Day」!
Eminem「Groundhog Day(2013)」
Started a group of misfits, Proof had a proposition
If we all band together, there ain’t no stoppin’ this shit不適合者のグループで始めた、プルーフにはアイデアがあったんだ
オレたちが団結すれば、誰も止めれないだろうってな
エミネムが彼の地元デトロイトのクルー、D12のことを歌ったヴァース。
地元で不適合だった連中が集まって結成されたD12はエミネムというスーパースターを輩出し、その後エミネムを筆頭にメジャーデビュー、全米で人気を博すことになる。
まさに結成メンバーであるプルーフが言ったように、不適合者たちが団結することで、誰も止められないイケてる集団を作ったってわけだね。
【歌詞出典元】Genius
*訳は全て意訳です。