WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.242。今回取り上げる英語は「microphone(マイクロフォン)」。ラッパーの商売道具「マイク」のことだね。今回はUSラッパーたちのリリックから超カッコいい “ microphone(マイクロフォン)”の使い方をチェックするよ!
まずはマイクロフォンと言えばこの人、Nas(ナズ)の「Halftime」!
Nas「Halftime(1992)」
Nasty Nas has to rise ‘cause I’m wise
This is exercise ‘til the microphone diesナスティ・ナズは成り上がる、なぜならオレはワイズ
これはエクササイズ、マイクが死ぬまでのな
まずカッコいいのは、rise(成り上がる)、wise(賢い)、exercise(エクササイズ)、“dies(死ぬ)というゴリゴリに固いライミング。もちろん言っていることも間違いない。
この曲がリリースされた1992年当時、ナズはまだ駆け出しの若手ラッパー。そんな自分がこれから成り上がっていくぜというメッセージが込められたのが「ナスティ・ナズは成り上がる、なぜならオレはワイズ」だね。そしてナズにとってラップする事はまるでエクササイズのようなもの。ただナズのラップがハード過ぎて、マイクがついていけず壊れちゃうってことだね。さすがラップ界における“神の子”ナズ、凄まじいライミングだぜ
続いてはヒップホップ草創期から活躍するいぶし銀のライム職人、Masta Aceの「Soda and Soap」!
Masta Ace「Soda and Soap(2004)」
It’s funny how the game make you change your tone
‘Cause the joy of my life is the microphone面白いよな。このゲームが変える、お前のトーン
オレの人生の喜びはマイクロフォン
ラップゲームで成り上がり、人生が変わっていく状況を「tone(色や音の調子)」という表現を使い、「人生のトーン(調子)」が変わっていくと表現したリリカルなリリック。
そんなハイパースキルフルなラップをかますエースの人生の楽しみはmicrophone(マイクロフォン)。つまり「tone」と「microphone」でしっかり韻を踏みながら、激アツなパンチラインをかましているんだ。
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.241のラストを飾るのは、Eric B&Rakim(エリック・B&ラキム)の「Microphone Fiend」をチェキ!
Eric B. & Rakim「Microphone Fiend(1988)」
I was a fiend before I became a teen
I melted microphones instead of cones of ice creamオレは悪魔だったぜ、10代になる前はな
マイクロフォンを溶かしたぜ、アイスクリームの代わりにな
まさにラップリリックにおけるマイクロフォンの扱い方を定義したパンチライン。
ヒップホップ史上最高のMCとされるラキムのライムはマジでホット。どのくらいホットかと言うと、マイクロフォン自体をアイスクリームみたいに溶かしてしまうってことだね。この「ラップが熱すぎてマイクが溶ける、燃える、煙が出る」という発想はその後ナズやウータン・クランなど多くのラッパーたちがサンプリングしており、その後のリリックにおけるマイクを取り上げる際のメタファーの代表例として使われることになったんだ。さすが “ The God MC ”、ラキム、まさに激アツなライミングだぜ。
【歌詞出典元】Genius
*訳は全て意訳です。