daze|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?  Vol.23

ヒップホップの歌詞からストリートで使える英語を学ぼう

ライター:TARO

今回紹介するスラング

daze

ぼーっとする、ぼうぜんとなる
紹介アーティスト
No Rome, Vic Mensa, A Tribe Called Quest
daze|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?  Vol.23
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WHAT’S UP,  GUYS!

ヒップホップ好きイングリッシュティーチャーTAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.23の今回は、「daze:ぼーっとする、ぼうぜんとなる」を紹介するぜ!!まず紹介するのはフィリピン、マニラ出身のシンガー兼プロデューサー、No Rome。現在はイギリス、ロンドンに拠点を置く彼のデビューEP『RIP Indo Hisashi』収録の「Narcissist Featuring The 1975 (2018) 」から” daze “ の使い方をチェックしていこう。

①No Rome 「Narcissist Featuring The 1975 (2018) 」

「I’m feeling Dazed like a magazine. Finding my own sanity. Wishing it’ll all go away.」
「気分はまるで雑誌、”Dazed”。 自分自身の正気を見つけようとしてるんだ。全てが過ぎ去ってしまいますように。」

ここの「Dazed」は雑誌「Dazed(http://www.dazeddigital.com/ )」のこと。ストリートファッションや音楽をフューチャーするロンドン発の世界的マガジンだ。つまりぼーっとするという意味の「daze」と雑誌の名前をかけてるんだね。ロンドンを拠点にしてて、かつファッショナブルなNo Romeらしい、イカしたリリックの遊び方だね。

続いて紹介するのはイリノイ州はシカゴ出身のラッパー、Vic Mensa。2016年のアルバム「There’s Alot Going On」では地元シカゴでの白人警官の黒人少年に対する銃撃事件や、ミシガン州フリントでの水質汚染についてなど、様々な社会問題を取り上げている。今回紹介するのは「There’s Alot Going On」からの1曲「Shades of Blue」。

②Vic Mensa 「Shades of Blue (2016)」

「Purple haze, in a daze, it’s all blue, it’s all blue. Change gon’ come, it’s all you, it’s all on you/」
「恍惚の中のパープルヘイズ、全ては悲しみのブルー。変化はきっとやってくるさ。全て君の元にね。」                                

Vicはこの曲「Shades of Blue (2016)」の1ヴァース目でミシガン州、フリントで起きた水質汚染問題について歌っている。2014年、フリント市は市の経費削減のために水道水の供給源を、安全が確保されたデトロイト川から、工業排水で汚染されたフリント川に切り替えた。信じられないことだが、金のために住民の健康を危険にさらしたのだ。結果、フリントの水は汚染され、家の水道から鉛で汚染された茶色の水がでる事態に。住民たちは生活用水としてペットボトルの水を買うことを強いられた。

フリントは人口の54%をアフリカンアメリカンの人々が占める街。そしてその多くは年収2万5千ドル(約280万円)以下の貧困層。日々の生活で精一杯の中で、毎日の生活用水のために、ペットボトルの水を大量に買えるはずがない。金持ちはペットボトルの水を買って生活し、貧乏人は鉛で汚染された毒の水の使って生活する。余りにも悲惨だが、それがフリントで起きた現実だった。

貧困家庭の子ども達の中には鉛で汚染された水が原因の皮膚炎が発症したり、成人の中には髪の毛が抜け落ちるなどの被害が続出した。そんな状況に心を痛めたVicが作ったのがこの曲「Shades of Blue」。

1ヴァース目では、

I read a story about a woman with her daughter in Flint. She got lead poisoning from showers in the morning. When the governor switched out the pipes to bring the water in. To the city river ‘cause he said they can’t afford to get clean water. So now the poor people get the shorter.
「フリントに住む、娘がいる女性の記事を読んだよ。彼女は毎朝、毒されたシャワーを使ってるんだって。州知事が綺麗な水を買う余裕がないからって理由で、水源を変えたせいさ。つまり貧乏人はとっとと死ねて話かよ。」

と余りにも悲惨なフリントの状況を歌っている。

「Purple haze, in a daze, it’s all blue, it’s all blue. Change gon’ come, it’s all you, it’s all on you.」

で出てくるパープルヘイズはマリファナの品種の一つ。ジミー・ヘンドリックスの名曲「Purple Haze (1967)」にちなんで名付けられたマリファナだ。パープルヘイズの恍惚の中で、Vicの心は悲しみのブルーに染まっている。それでも彼が信じたいのは” Change “。必ず” Change “がフリントの人々の元に訪れる。その願いがこの曲に込められているんだ。

ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?  Vol.23、トリを締めるのは、A Tribe Called Quest。名盤「The Low End Theory (1991)」収録の「Jazz (We’ve Got)」から Q-Tipの1節を紹介する。

③A Tribe Called Quest 「Jazz (We’ve Got)  (1991)」

「Just like Ringling Brothers, I’ll daze and astound. Captivate the mass, cause the prose was profound.」
「リングリン・ブラザーズみたく、お前ら全員、茫然自失。大衆を魅了する、オレの言葉なら昔から意味深遠。」

Ringling Brothersは19世紀後半から昨年2017年まで活動したアメリカのサーカス集団。自前のサーカス列車を持ち、アメリカ国内を移動しながらショーを行った。ライオンや象などを使ったショー、超人的なアクロバティックなどでアメリカ中の人々を魅了したアメリカ史に残るサーカス集団であり、創始者の1人であるP・T・バーナムは今年公開された映画「グレーテスト・ショーマン」のモデルにもなった伝説の興行師だ。

そんなアメリカ国民の誰もが知るサーカスみたく、 Q-Tipの言葉は大衆を魅了する。リスナー達を” daze and astound(茫然自失)“させてしまう、” profound(意味が奥深い)”な言葉の使い手てことだね。

 

RESPECT FOR ALL RAPPERS!

TARO 

訳は全て意訳です。
索引:Genius https://genius.com/ 

 

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