映画『アート・オブ・ラップ』の名言|ストリートヘッズのバイブル Vol.102

大人気ラッパーが勢揃いしたヒップホップ・ドキュメンタリー

ライター:TARO

みんな文化ディグってる?
「ストリートヘッズのバイブル」では音楽や文化の知識を知ることができる映画や本を紹介していくよ!今回取り上げるのヒップホップ・ドキュメンタリー映画『アート・オブ・ラップ(2013)』。ラッパー、アイス・Tの初監督作品であり、数あるヒップホップ映画の中でも間違いなく最も重要な一作だ。今回はヘッズのMUST WATCH映画『アート・オブ・ラップ』で出てくる名言を3つ取り上げるよ。

『アート・オブ・ラップ』とはどんな映画?

ギャングスタ・ラップのパイオニア、アイス・Tが初監督したドキュメンタリー映画。
アフリカ・バンバータやRUN D.M.C.などの草創期のレジェンドから、ドクター・ドレーやエミネム、スヌープ・ドッグなどの90年代、2000年代を代表するラッパー達にアイス・Tが自らインタビューを行い、ヒップホップのルーツとラッパーたちが大切にしているマインドを探り出していく。

『アート・オブ・ラップ』の名言

①「ラッパーと韻を踏む人のこと。MCはパーティーをロックするスキルを持っていたり、リリカルなスキルを持つ人のことだ – ビッグ・ダディ・ケイン」

1980年代〜90年代にかけて、東海岸ヒップホップシーンをリードしたラッパーであり、史上最もスキルフルなMCとされる、Big Daddy Kane(ビッグ・ダディ・ケイン)。
彼はラッパーの定義を「ラッパーとはライムができるやつのこと」と言っている。
ライムができれば、誰でもラッパーってわけだね。ただその後で彼が続けるのは、MCの定義。MCとラッパーは違い、人々を惹きつけるスキルを持つ、リリシストこそがMCであると言っているんだ。
ヒップホップという文化が巨大化し、ラップの定義が曖昧になる中で、ケインのこの言葉は原点に立ち帰るという意味でとても重要な意義を持つ言葉かもしれないね。

②「言葉を知らなければ、ヒップホップのサウンドはただ雑音だよ – DJ プレミア」

Gang Starr(ギャング・スター)のビートメイカーとして90年代ヒップホップシーンを席巻、今でも世界中のヘッズから絶大なプロップスを得るプロデューサー、DJ Premier(DJ プレミア)。彼はIce-Tから「ヒップホップはなぜJazzのように尊重されないのか?」と聞かれ、答えたのがこの発言だ。ラップのリリックの多くはストリートスラングとダブルミーニングや比喩表現などによって、複雑に構成されてる。

つまりリスナーがその聞き方、理解の仕方を知らないと、意味がないということだ。

しかもこの言葉をビートだけで多くの人の首を振らせる史上最高のプロデューサーの一人、DJプレミアが言うのだから、重みがあるよね。

③「音楽に色はない – レッド・マン」

硬いライミングとスムースなフロウで、ヒップホップファンのみならず、多くのラッパーからリスペクトされるRedman(レッドマン)。そんな彼がエミネムの話題の時になった時に言った言葉がこれ。他にも彼はエミネムのことを「He’s an MC(彼はMCだよ)」と言っており、ただのラッパーではなく、リリカルなスキルを持ったMCであると言っているんだ。白人でありながら、圧倒的スキルでラップシーンでリスペクトを獲得したエミネムに対しての最大限の賛美だよね。

画像出典元:KALEIDOSCOPE

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