ドラマ『SHOGUN 将軍』を観るべき5つの理由|ストリートヘッズのバイブル Vol.102

エミー賞史上最多の18部門を受賞した時代劇の魅力とは?

ライター:TARO

みんな文化ディグってる?
『ストリートヘッズのバイブル』では音楽や文化の知識を知ることができる映画や本を紹介していくよ!今回取り上げるのは今世界で最も話題の時代劇『SHOGUN 将軍』。テレビ界のアカデミー賞と言われるエミー賞で、史上最多の18部門を受賞した作品だ。今回はそんな『SHOGUN 将軍』を観るべき理由を解説していくよ!

『SHOGUN 将軍』とはどんなドラマ?

1600年代の日本。 徳川家康ら歴史上の人物にインスパイアされた登場人物たちが天下分け目の「関ケ原の戦い」前夜に、天下の覇権を巡り、謀略戦を繰り広げていく。 主演&プロデューサーに真田広之。世界を魅了する武士の生き様を真田広之始め、浅野忠信、平岳大、西岡德馬らが、戦国の世に翻弄されつつも、力強く生きる女性たちの戦いをアンナ・サワイ、二階堂ふみが演じる。

『SHOGUN 将軍』を観るべき5つの理由

① あのラッパーも憧れた!世界を魅了するサムライの生き様

かつて日本に存在した戦うことを宿命づけられた人々、“サムライ”。
主君に忠誠を誓い、自己犠牲すらいとわないその強靭な精神性と、日々鍛錬によって磨かれる武芸。そのイメージは日本文化のアイコンの一つとして海を越えて世界の多くの人々を魅了している。実はヒップホップシーンのレジェンド、Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)のRZA(レザ)もその一人。彼のセカンド・アルバムである『Liquid Swords』は1980年公開の時代劇『Shogun Assassin​​(邦題:子連れ狼)』にインスパイアされて作られたアルバムだ。そんな世界を魅了してやまないサムライ文化を描いた時代劇の最高到達点が今回のディズニー・ドラマ『SHOGUN 将軍』なんだ。

② ディズニーの制作会社が総力を上げて作り上げた圧倒的映像美

ディズニー傘下の制作会社「FX」が総力を上げて作り上げた映像美はこのドラマの大きな魅力。安土桃山時代の城郭や庭園、そして壮大な街並みなどが最新の映像技術によって圧倒的なクオリティで目の前に広がっていく。特にドラマ序盤、当時の大阪(大坂)の街並みをCGで再現し、空からのショットで見せるシーンは圧巻だ。

また特に印象に残るのは、各シーンでの歩き方やご飯の食べ方、お茶の入れ方など日本文化への細部へのこだわり。日本で生まれ育った人でも知らない昔の人々の所作や伝統的な作法などをドラマを通して知ることができるよ。

③ 随所で出てくるジャパニーズ・フリースタイル文学、“連歌”

今、日本では空前のフリースタイル・ラップ・ブームだけど、元々日本にも即興で詩を作る文化があった。それが「連歌(れんが)」と呼ばれるカルチャーだ。
「連歌」は複数人が集まってリレー形式で和歌を詠む、日本に古くからある詩歌のスタイルのひとつ。特に『SHOGUN 将軍』の舞台である戦国・安土桃山時代には武士や文化人の間で大流行したんだ。“独眼竜”で有名な伊達政宗はよく連歌会(まさにサイファー!)を催し、家臣たちと連歌を楽しんだと言われているよ。日本古来からある即興の文学「連歌」。フリースタイル・ラップ好きはこの機会にチャレンジしてみてもいいかも!?

④ 文化を理解するという意味と、そこに対するリスペクト

『SHOGUN 将軍』で描かれているのテーマの一つは、異文化の衝突と理解。
映画序盤で日本に漂着するイギリス人の船乗りジョン・ブラックソーンは、自国の文化と全くことなる価値観を持つ日本の人々に対して、最初は違和感を持っていたのだけど、次第にそれを理解、日本の人々に対してリスペクトを示すようになる。もちろん日本に住む人間としてはこういったシーンを観て、「外国の人が日本を理解してくれて嬉しい」となるのは当然なんだけど、これは逆に僕たちにもあてはまる話。今日本にもいろんな国のバックグラウンドを持つ人々が生活していて、僕たちは本当にみんなのカルチャーをリスペクトできているのだろうか?異なるものに対しての「理解」と「リスペクト」は僕たちが愛する文化、ヒップホップの根幹の一つでもあるはず。このドラマからは自分たちのカルチャーのレペゼンの仕方、そして異なるカルチャーへの理解や敬意の示し方を学ぶことができるんだ。

⑤ 海を渡って20年。自分をレペゼンし続けた男が“譲れなかった美学”

日本のトップ俳優として80年代〜90年にかけて数々のドラマ、映画に出演してきた真田広之さん。2004年公開の映画『ラスト サムライ』出演を機にアメリカに渡り、着実にハリウッド俳優としてキャリアを積み重ねてきた彼が初めて主演、プロデュースを担当したのが『SHOGUN 将軍』だ。これまで『47RONIN』​​や『ライフ』、『ジョン・ウィック:コンセクエンス​​』などに出演してきた真田さんだが、常にその役は脇役。今回がハリウッド初主演の作品だ。ハリウッドに渡ってから、主演を演じるまでなんと20年。その間、数々の苦労があったことは想像するに難くないが、この20年間の集大成となる主演作で自分のルーツとなるカルチャーをレペゼンする時代劇を持ってきてるってマジでかっこよすぎじゃない?

実は元々、真田さんが役者として本格的なキャリアを歩むきっかけとなったのが、俳優の師匠である千葉真一さんが主演を務めていた時代劇『柳生一族の陰謀(1978)』。

千葉真一さんは、海外でもSonny Chibaの愛称で知られ、キアヌ・リーヴス、クエンティン・タランティーノ、サミュエル・L・ジャクソン、そして冒頭で紹介したウータン・クランのレザなども千葉さんの大ファンであり、彼のアクション映画や時代劇から大きな影響を受けたと公言している存在だ。

そんな千葉さんの弟子である真田さんは、師匠のように海外で日本をレペゼンする存在になるため、ハリウッドで必死に努力を重ねてきた。そして今回、自分が培ってきた時代劇の美学を表現した『SHOGUN 将軍』でテレビ界のアカデミー賞と言われるエミー賞で、史上最多の18部門受賞​​という大快挙を成し遂げたんだ。マジでかっこよすぎるでしょ。

時代劇というジャンルで誰も成し得なかった金字塔を打ち立てた真田さんと『SHOGUN 将軍』。今後またウータンのレザやクエンティン・タランティーノのように、このドラマに影響を受けたラッパーや映画監督が出てくるかもしれないね。

そんな歴史に残る作品『SHOGUN 将軍』は現在ディズニープラスで絶賛配信中。
まだ観てない人はぜひチェックしてみてね!

画像出典元:FX 

配信先:Disney+

 

 

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