映画『Juice』を見るべき5つの理由|ストリートヘッズのバイブル Vol.100

2Pac主演のヒップホップ・ムービーの名作

ライター:TARO

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今回取り上げるのは2Pac主演のヒップホップ映画『Juice』。1990年代のニューヨークを舞台に若者4人が拳銃を手に入れたことから道を踏み外していくこと様子を描いた作品だ。

『Juice』ってどんな映画?

舞台は1990年代初頭のニューヨーク・ハーレム。仲良し4人組の “Q” 、”ビショップ”、“ラヒーム”、”スティール”はいつもつるんではレコードをディグったり、悪さをして遊んでいた。ただある日、拳銃を手に入れたことがきっかけで、物事は大きく動き始める。

『Juice』を観るべき5つの理由

① ラッパー、2Pacの狂気の演技

音楽史上最も偉大なアーティストの一人、2パック。ラッパーとしては圧倒的なフローと、コンシャスなリリックで今でも世界中のファンから愛されている2パックだけど、実は彼の表現者としての才能は音楽だけではない。彼は元々、Baltimore School for the Arts (ボルチモア芸術学校)で演劇を学んでおり、その演技の才能がいかんなく発揮されているのが初主演映画『Juice』なんだ。

2パックが演じる青年“ビショップ”は、友人グループの中でリーダー的な役割を果たす陽気でイケイケなキャラなんだけど、あるきっかけで拳銃を手に入れたことにより、徐々に暴力や恐怖で人を支配することに取り憑かれ、暴走していく。その変化を2パックは見事に演じている。

②90年代NYのストリートカルチャーの描写

『Juice』からは今でも多くの人が憧れる90年代ストリートカルチャーの要素を感じることができる。特にファッションはその代表例。フッディーにオーバーサイズのジャケットやミリタリージャケットを重ね着し、フッディーをしっかり頭にかぶるスタイルはまさにヒップホップのクラシックスタイル。ボトムスのサイジングやブーツに入れ込むスタイルなど今見ても参考になる着こなしが多いんだ。もちろんファッションだけでなく、レコードをディグる様子やクラブでのDJバトルなどヒップホップ好きならアガること間違いなしの要素がたくさん詰まっているよ。

③有名ヒップホップアーティストたちの出演

要所要所で登場する有名ヒップホップアーティストや名優たちの出演もこの映画の見どころの一つ。例えば、DJコンテストを主催するクラブのMCを演じているいるのは、女性ラッパーの草分け的存在、Queen Latifah(クイーン・ラティファ)。1990年代のヒップホップシーンで絶大な影響力を持っていた女性ラッパーであり、後に俳優やプロデューサーとしても活躍している人だね。またMTVのヒップホップ番組「Yo! MTV Raps」の司会者としても知られるFab 5 Freddy(ファブ・ファイブ・フレディ)​​やNaughty by Nature (ノーティー・バイ・ネイチャー)のTreach(トレッチ)もチョイ役で出演していたり、ヒップホップ、ラップ好きには楽しい配役になっているんだ。

④ヒップホップ黄金世代のスターが集結したサウンドトラック

ヒップホップ・ムービーでの楽しみといえば、やはりサウンドトラック。特に『Juice』は90年代ヒップホップ黄金期に制作された作品とあって、サウンドトラックには90sヒップホップを代表する錚々たるメンバーが名を連ねている。Naughty by NatureやEPMDなどスーパースターたちの中でも特にイケてるのはやっぱりこの映画のテーマソングである
Eric B. & Rakim.の「Juice (Know the Ledge)」。ラキムのガチガチなライミングのストーリーテリングが映画の世界観にもバッチリマッチした名曲だ。

⑤ストリートの若者が直面する現実の過酷さ

『Juice』は単なる犯罪映画ではなく、アメリカのストリートに生きる若者たちが直面する現実の過酷さを描いている作品。元々仲がよかった友達同士が、一人が銃を手に入れたことによって、次第に崩壊していくストーリーは、アメリカの若者たちに実際に起きていること。銃を持ったことで次第に狂気を帯びていく2パック演じるビショップと、DJで売れることを夢見るQの対比からは、多くのラッパーたちが歌ってきたゲトーの負の側面と、そこから抜け出すことのタフさを改めて感じることができる。

画像出典元:PBS

配信先:Abema

 

 

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