WHAT’S UP, GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」。Vol.301の今回取り上げる英語表現は「been through」。
「〜を経験した」という意味だ。ハードな環境を経験し、そこから成り上がったきたUSラッパーたちのリリックから「been through」の使い方をチェックしてみよう。
まず紹介するのは21 Savage(トゥエニーワン・サヴェージ)の「a lot」!
21 Savage「a lot(2018)」
I been through the storm and it turned me to a G
But the other side was sunny, I get paid to rap on beats嵐を経験して、ギャングスタになった
でも向こう側は晴れだった、今はビートの上でラップして稼いでる
トゥエニーワン・サヴェージのリリカルなライン。
ギャングの抗争などで実の弟や友人を殺され、ギャングスタとしてまさに”storm(嵐)”のような荒れた日々を過ごしていたトゥエニーワン。ただふと外の世界に目を向けると、そこにはラップという道があった。だから彼はギャングの抗争を抜け出し、ラップの世界で成功を掴んだんだ。
続いて紹介するのはフィリピン移民の両親を持つラッパー、MBNel(エムビーネル)の「Just Like You」。
MBNel「Just Like You(2024)」
I know what you been through
when you distant is when I miss you君が何を経験してきたかわかるよ
君が遠く離れている時、君を恋しく思うんだ
MVはエムビーネルのルーツであるフィリピン・マニラの東南アジア最大のスラム、トンドで撮影されたもの。そこにアメリカでラッパーとして成り上がったエムビーネルがやってきたら、それはもちろんヒーローだよね。
エムビーネルは全米で最も危険な地域の一つとされるカリフォルニア・ストックトンのフィリピン系コミュニティで育ち、ギャング、Muddy Boyz のメンバーとしてストリートをサバイブしてきたラッパー。ハードな環境を生き抜いてきた彼だからこそ、他の人が抱える痛みも理解することができる。だからラッパーとして成り上がった今、自分のルーツであるフィリピンのスラムに生きる人々と痛みを共有し、子供達に夢を与える存在になれているんだ。
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」。 Vol.301のラストを飾るのはYoungBoy Never Broke Again(ヤングボーイ・ネヴァー・ブローク・アゲイン)の「Untouchable」!
YoungBoy Never Broke Again「Untouchable(2017)」
They smile up in my face but they don’t know what I been through
Whole lot of nights I went to sleep and I ain’t had no foodあいつらはオレに笑顔を向けてくるけど、オレが経験してきたことを知らない
たくさんの夜、食うものがなくて、ただ眠りについていたことを
幼い頃、極貧の中で育ったヤングボーイ。いつも家に食べ物がなくて、お腹を空かせていた少年は、今やUSを代表するラッパーの一人となり、好きなものをなんでも買えるまでになった。まさにヒップホップドリームを象徴するパンチラインだ。
【歌詞出典元】Genius
*訳は全て意訳です。