お笑い芸人・ゆりやんレトリィバァのヒップホップ・キャリアとは!?

『Bad B*tch 美学 Remix』のリリックでラップ業界騒然!最強女芸人ゆりやんの原点、ダンス、そして初めて触れたヒップホップとは?

ライター:TARO

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアについて全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。
今月のゲストは日本のお笑い、いや世界のコメディシーンを背負って立つコメディアンであり、先日リリースされた『Awich -Bad B*tch 美学 Remix ​​』でラッパー顔負けのパンチラインをかまし、ヒップホップシーンでも一躍話題をかっさらった、お笑い芸人のゆりやんレトリィバァさん。『Bad B*tch 美学 Remix ​​』の裏話も飛び出した今回のインタビュー、Vol.1ではまずゆりやんレトリィバァさんがお笑いに興味を持ったきっかけと、大学でのダンスサークル時代、そして初めて聴いたヒップホップソングについて伺います。

前回の記事はこちら→音楽をこよなく愛するAI研究者・徳井直生の原点とは?

芸人・ゆりやんレトリィバァの原点とは?

レペゼン:
自己紹介をお願いします。

ゆりやん:
本名が吉田ゆり。出身はNYCです。Naraken Yoshino City(奈良県吉野町)ですね。
大学はハーバード大学卒業です。…うそです。関西大学です。校風が似てたので、すみません。
今、お笑い芸人の芸歴11年目です。お願いします。

レペゼン:
ありがとうございます笑

インタビューさせて頂くのを楽しみにしてました。
さっそく聞いていきたいのですが、まず初めに、お笑いに興味を持ったきっかけを教えてください。

ゆりやん:
最初は、小学校2年生のときに吉本新喜劇を見て「あ、私もこれ入りたい」って思ったんですよ。
もっと小さい時から見てたと思うんですけど、2年生のときに藤井隆さんとか山田花子さんとか島田珠代さんがメインでされてる新喜劇が、ゴールデンタイムに放送されてて。
それ見て「面白すぎる」ってなって、そっから吉本に入りたいって思いました。

【小学生の頃のゆりやんレトリィバァさん】

レペゼン:
関西だとやっぱり新喜劇がきっかけの方って多いですよね。
そこから自分でネタを作ってみたり、人前で披露したりみたいなこともしてたんですか?

ゆりやん:
小学校の時は同級生がめっちゃ少なくて12人だったんですよ。それで全員で吉本に入りたくて。吉本新喜劇見た次の日は真似してやったりとかしてました。
中学はめっちゃいじめられてたんであれなんですけど笑
高校のときの文化祭はダンスとかで出て、もう1個なんか出たくて。それで友達と二人でネタやろうとしてエントリーしたんですけど、直前に友達が「やっぱり出たくない」って言い出して。

レペゼン:
普通は怖いですもんね笑

ゆりやん:
ただ枠だけはあったんで、1人で15分ぐらいネタしました。

レペゼン:
根性がすごい笑

ゆりやん:
ギター弾いたり、先生のモノマネしたり、めっちゃイタいですけどやってましたね。それぐらいです。

レペゼン:
そこから大学に進まれていくわけですが、高卒で吉本の養成所「NSC」とかに入る方も多いと思うんですけど、そこは考えてなかったんですか?

ゆりやん:
本当は高校卒業してからNSC入りたかったんですけど、高3のときに好きな人ができて。
その人が1個下の野球部だったんですけど、その人を見るために、「受験します」って先生に言って夏休み学校に行く理由つけて。受験勉強してるふりして毎日ベンチに座ってその子の野球部の練習を見てたんですよ。

レペゼン:
すごく乙女ですね。

ゆりやん:
いや、ストーカーでしょ笑 
乙女ストーカーゆり。
毎日見てたんですよ。高3の夏休みなんか最後の夏休みやのに、炎天下で教科書ひらいて読んでるふりしながらずっとその子見てて。教科書も一応読もうとはしたんですけど、暑すぎて全く頭に入ってこなくて。

レペゼン:
そうですよね笑
外で読むものじゃない笑

ゆりやん:
そしたら、夏休み終わって「その子に彼女できた」って聞いて。「私の最後の夏休み返せ!」ってなって。
それでどうせやったらその子に「すごいです」って言ってもらいたくて、関西大学に入りたいと思って目指したんです。

レペゼン:
学歴をつけて見返そうみたいな?

ゆりやん:
そうなんです。
で、夏休み終わってから自習室に入ったんですよ。クーラーついてる部屋でやったら、「こんなに教科書って入ってくるんや」って思って。涼しくて。それで無事合格しました。

レペゼン:

大学で選んだのは「お笑い」よりも「ダンス」!?

レペゼン:
関西大学時代のことを聞きたいんですけど、ダンスサークルに入ってるじゃないですか。
ストリートダンスサークル「Soul Beat Crew」、通称「SBC」ですよね。
そこはどういう経緯で入ったんですか?

ゆりやん:
元々大学入ったときは芸人になるのを決めてたので、「落語大学」​​っていう落語をやられてる部活に入った方がいいかなと思ったんですよ。ただダンスもずっと好きで、習ってたわけじゃないんですけど。それでダンスサークルも憧れるなと思って見学に行ったんです。

レペゼン:
なるほど。

ゆりやん:
そしたらたまたまSBC、ストリートダンスサークルと、落語大学の方がめっちゃ近く、同じ体育館の前で活動されてて。
SBCの方は体育館前に集まって、自分たちのガラスに反射する姿を映し出して和気あいあいとされてて、落研の方はもちろん練習なんで素晴らしいことなんですけど、ゴザを敷いて溝の前でされてたんですよ。

レペゼン:

ゆりやん:
本当に素晴らしいことなんですけど、当時の私は4年間どっちになりたいか考えて、やっぱりダンスサークルに入りたいと思って。それでSBCの門を叩きました。

【ダンスサークル時代のゆりやんレトリィバァさん】

レペゼン:
そうだったんですね笑
ダンスのジャンルは何だったんですか?ストリートダンスにもブレイクダンスとかロックダンスとか、いろいろあると思うのですが。

ゆりやん:
私、そのときはジャンルとか全然知らなくて。
ただとにかくマイケル・ジャクソンが好きで。で、Pop(ポップ)*1っていうジャンルあるじゃないですか。
マイケルは「キング・オブ・ポップ」って聞いたんで、それマイケル・ジャクソンやと思って、最初はポップダンスをやってみたんです。

*Pop Dance ・・・オールドスクールのストリートダンスの一つで、Poppin’とも呼ばれる。身体の筋肉をリズムに合わせて弾く(Pop)技術を使って踊るダンス。

レペゼン:
ロボットダンスみたいなダンスですよね。

ゆりやん:
そうそう。
最初は「楽しそう」と思って入ったんですけど、なんか練習がすごく地味で。
しかもみなさん無口で、淡々と練習されてて。

レペゼン:
なるほど笑

ゆりやん:
友達できなさそうって思って笑
どうしようと思ってた時に同じ高校からの友達が入ってたヒップホップが楽しそうやったんで「ヒップホップにチェンジします」って言って、ヒップポップに変わったんです。

レペゼン:
そうなんですね笑

初めて聴いたヒップホップはまさかのYing Yang Twins!

レペゼン:
今回は「初めて聴いたヒップホップ」を教えてください。

ゆりやん:
正直大学生までは、ヒップホップってものをあんまり意識してなくて。普通にブリトニー・スピアーズとかは中学の時に聞いてましたけど、ヒップホップじゃないですしね。
なので、多分初めにちゃんとヒップホップとして聞いたのが、SBCに入って初めての発表会の時に、先輩がフリを作ってくれた曲のYing Yang Twins(イン・ヤン・ツインズ)の『Drop』とNas(ナズ)の『Hip Hop Is Dead』だと思うんです。

【Ying Yang Twins – Drop】

【Nas – Hip Hop Is Dead】

レペゼン:
そこなんですね!!

ゆりやん:
この2曲が多分初めてちゃんと聴いた、「これがヒップポップなんや」っていう曲やったと思います。

レペゼン:
ダンス入りでヒップホップってものを認識したんですね。

ゆりやん:
そうです。でもね、なんかやっぱりヒップホップを聴いたら、もうめっちゃ心が躍るんですよ。
何でしょう、バンドの曲とかも素晴らしい曲いっぱいあるんですけど。
ヒップホップ聴いたら、知らんけど自分がこうなってるのが分かるんですよ。大好きなんです、だから。


レペゼン:
ノってきてますね!笑
僕もダンサーだったので、それを聞いてなんか嬉しいですね。
日本語ラップだと、例えばZeebraさんとかから入る方も多いと思うんですけど、ダンスから入って、しかもイン・ヤン・ツインズからってすごいなと。

ゆりやん:
いや、渋いですよね、きっと。

レペゼン:
激アツやと思います。

ゆりやん:
ありがとうございます。SBCの先輩のおかげです。

大学ではダンスサークルに所属し、ヒップホップ・バイブスに触れていたゆりやんさん。次回は吉本の養成所から芸人のキャリアの初期について聞いていきます。また今後のインタビューの中では「Bad B*tch 美学 Remix ​」の制作秘話も飛び出します!お楽しみに!

 

プロフィール

  • ゆりやんレトリィバァ

    ゆりやんレトリィバァ

    お笑い芸人。奈良県出身。 小学生の時に観た吉本新喜劇がきっかけでお笑いの世界を志す。NSC大阪校35期生・首席卒業。2017年には「第1回女芸人No.1決定戦 THE W」で優勝、2021年には「第19回R-1グランプリで」優勝するなど、名実共に日本を代表する女芸人の一人。また2019年にはアメリカのオーディション番組「America's Got Talent(アメリカズ・ゴット・タレント)」に出演。角刈りのかつら、星条旗模様の際どい水着を身に着けてのダンスで大きな話題となる。 近年は俳優、アーティストとしても活動の幅を広げており、2023年公開Netflixのドラマ「極悪女王」では、主役のダンプ松本を演じた。またアーティストとしては、Awich 「Bad Bitch 美学 Remix」に参加し、強烈なリリックとラップスタイルを披露。ヘッズたちの間で大きな支持を集めている。