沖縄で教師になるはずが、気づけばプロ・ラグビー選手に！？知念選手のキャリアチェンジとは？

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人にインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月はラグビー・リーグ「リーグワン」の三菱重工相模原ダイナボアーズで活躍する知念 雄（ちねん・ゆう）選手に全4回に渡ってお話を伺いしました。

前回までの記事はこちら→ハンマー投げの選手からプロ・ラグビーに！？異色のキャリアのラガーマン 知念 雄とは？

沖縄で教師になるはずが、気づけばラグビー選手に！？

レペゼン：
元々ハンマー投げをされていた知念さんですが、大学でのハンマー投げの成績はどんな感じだったんですか？

知念 雄：
日本インカレで2回優勝して、国体は2位でした。

レペゼン：
素晴らしい成績ですね。
そのくらいの成績だと実業団からの誘いもあったんじゃないですか？

知念 雄：
ハンマー投げはマイナーな競技で、就職先もそこまでパッと見つかる感じではなくて。なので沖縄に帰って教員になろうと思ってましたね。

レペゼン：
そうなんですね。
そこからどういった経緯でラグビーを始めるんですか？

知念 雄：
大学4年の時、元々僕をラグビー部に誘ってくれてた友達が「ラグビーやろうや」って声をかけてくれたのがきっかけでした。

レペゼン：
大学4年からって遅いですよね。そこから練習して試合に出るんですか？

知念 雄：
それがなんと練習期間が１週間だけで。

レペゼン：
ええっ！？短すぎる笑

知念 雄：
ですよね笑
ただやってみたらそのリーグの中で自分は体格が大きい方で、結構ボール持って前に出ることができて。大学院に入ってからも、時々人数の補填で試合に出るようになったんです。

レペゼン：
スーパー助っ人ですね。
その後どんどんラグビーにのめりこんでいくんですか？

知念 雄：
いや、まだ沖縄で教員をやるイメージの方が強かったです。
ただ試合に出るうちに、相手チームの監督だった松尾雄治さんという元日本代表の方が「真剣にラグビーやらない？」と声をかけてくれて。

レペゼン：
すごい！

知念 雄：
そこから社会人リーグの東芝ブレイブルーパスというチームの練習に参加する流れになりました。

社会人として多くを学んだ東芝時代

レペゼン：
その後は、東芝ブレイブルーパス東京に所属されるんですか？

知念 雄：
練習生を経て、入団しました。ただ最初は全く練習についていけず、大変でしたね。
練習が終わったら動けないぐらいきつかったです。

レペゼン：
ハンマー投げとラグビーでは身体の使い方も全く違いますもんね。

知念 雄：
そうなんです。しかも最初は覚えないといけないルールが多くて大変でした。ただ周りのチームメイトがすごく助けてくれたんです。新入りの僕が一人食堂でボーっとしてたら、隣に先輩がきてご飯を一緒に食べながら、ルールを説明してくれたりして。

レペゼン：
優しいですね！

知念 雄：
当時のチームメイトには日本代表のリーチ・マイケル選手やニュージーランド代表“オールブラックス”のメンバーもいたんですが、そういった先輩もめっちゃ丁寧に教えてくれて本当にありがたかったです。みんな良い先輩、良い兄貴みたいな感じでしたね。

レペゼン：
社会人リーグの仕組みをあまり詳しくないのですが、選手のみなさんは会社員として働かれたりもするんですか？

知念 雄：
シーズン中はほぼラグビーに集中してましたが、オフシーズンの時は普通に8時15分から17時までは会社に行って、働いてましたね。

レペゼン：
そうなんですね！
知念さんは具体的にどういった仕事を？

知念 雄：
東芝の場合は色んな部署があって、僕は調達っていう部門で働いてました。東芝は電車やエレベーターの製造を行っているんですが、僕の部署は、中小企業さんに発注している電車の部品の管理をしてましたね。

レペゼン：
取引先の方とかとは会われたりするんですか？

知念 雄：
上司と一緒に取引のある企業に挨拶に行くことはありました。
正直、ラグビー選手としてやっていると、社会人としてのマナーを学ぶ機会がないんですよ。ただ上司は色々な企業さんに連れて行ってくれたり、社会人としての生き方を見せてくれて。めちゃくちゃ勉強になりましたね。

新しいキャリアに挑戦する勇気をもらったKOHHの「飛行機」

レペゼン：
新しい環境で、慣れないこともあったと思うんですけど、励まされたラップとかはありますか？

知念 雄：
ちょうどラグビーを始めた時ぐらいに聴いていたのが、KOHHの「飛行機」ですね。

レペゼン：
良い曲ですよね。僕も大好きです。

知念 雄：
あの曲ってゼロから成り上がっていくっていう曲じゃないですか。
リリックの

運送屋で毎日乗ってたハイエース
仕事も楽しいけど大変
やりたいことやりてぇから
今もiPhoneに歌詞書いてる

の部分とかすごく好きで。

レペゼン：
わかります。KOHHのストレートな表現が本当に胸に刺さる曲です。

知念 雄：
僕自身はラッパーでもないし、iPhoneに歌詞を書いてたわけでもないですけど、彼の歌詞に凄く自分を重ねられる部分があって。

レペゼン：
教員という安定の道を捨てて、ラグビーという全く新しい環境で成り上がろうとされてたわけですもんね。

知念 雄：
とにかく当時は必死で、成り上がろうまでは考えてなかったんですが、どうにかしてこの世界で生きていきたいっていう気持ちだけはあって。

レペゼン：
良いですね。

知念 雄：
「貧乏なんて気にしない」もそうなんですが、「金がどうのこうのよりもまずは生き様だろ」ってメッセージがすごく好きで。当時は特にKOHHにハマってました。

レペゼン：
お話を伺っていると、知念さんもお金や安定というよりも、成長やチャレンジングな環境を求めておられるのかなとすごく感じます。

知念 雄：
新しいもの好きっていうか。成長している時間が楽しいなと思います。ハンマー投げをやってる時は、一応学生でも優勝してたんで、そこまで毎日成長を感じるという感覚はなかったんですけど、ラグビーではそれがあって。毎週毎週、体も頭もきついけど、成長できてる実感があったんです。だからどれだけ練習がきつくても、やめなかったですね。

大学院卒業後、プロラグビー選手としての道を歩み始めた知念さん。次回は日本代表に選出されたときによく聴いていたラップソングについて聞いていくよ！お楽しみに！