direction|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン? Vol.167

ヒップホップの歌詞からストリートで使える英語を学ぼう

ライター:TARO

今回紹介するスラング

direction

方向、方向性
紹介アーティスト
Black Eyed Peas, Nas, Kendrick Lamar
direction|ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン? Vol.167
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WHAT’S UP,  GUYS!
ヒップホップ好きイングリッシュティーチャー TAROが送る「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」Vol.167の今回取り上げる単語は「direction(ディレクション)」。

「方向、方向性」といった意味の単語だ。早速USラップでの使われ方をチェックしてみよう!

まずチェックするのはBlack Eyed Peasの「Where Is the Love?」!

Black Eyed Peas「Where Is the Love?(2003)」

Selfishness got us followin’ the wrong direction Wrong information always shown by the media Negative images is the main criteria Infecting the young minds faster than bacteria.  Kids wanna act like what they see in the cinema.
「自己中心的な考えが僕たちを間違った方向へ導く。  間違った情報を常に映し出すメディア。 ネガティヴなイメージが主なクライテリア。 バクテリアよりも速く若い精神に伝染する。 子供たちは映画で見た事を真似したがるんだ。」

The Black Eyed Peas からApl.de.ap(アップル・デ・アップ)のヴァース。 “Selfishness got us followin’ the wrong direction(自己中心的な考えが僕たちを間違った方向へ導く)”で歌われているように、「自分だけが良ければ良い」という考え方は社会をポジティヴな方向に導かない。自分の周りの困っている人々やこれからの時代を生きる子供達のために何ができるか。それを考えて、行動に移すのもヒップホップ・メンタリティの大切な部分だよね。

続いてはNas(ナズ)の「The World Is Yours」から“ direction ” の使い方をチェキ!

Nas「The World Is Yours(1994)」

Thinkin’ a word best describin’ my life to name my daughter My strength, my son, the star will be my resurrection Born in correction, all the wrong shit I did he’ll lead in right direction
「オレの人生を表すベストの単語を考えてる、娘の名前として。  オレの強さ、オレの息子、あの星はオレの復活を意味するもの。  正しく生まれ、オレがしてきた全ての間違ったこと、  あいつは正しい方向に導いてくれるはずさ。」

“ God’s Son ” ことナズの神がかったリリック。この曲がリリースされた当時ナズはまだ子供を持つ前。なのでこの曲で歌われている娘や息子のことは制作当時には全て想像上の話だったんだけど、驚くべきことにその後ナズにはリリックの順番通りにまず長女が、そしてその後長男が生まれる。 ナズは生まれた長女に “ Thinkin’ a word best describin’ my life to name my daughter(オレの人生を表すのにベストの言葉を考えてる、娘の名前として。)”のリリックで歌っているように、“自分の人生を表す単語”を名前としてつける。それが “destiny(運命)” だ。運命づけられた神の子ナズの人生を象徴する単語が“destiny(運命)”だったてことだね。 その後生まれた息子に彼がつけた名前は“ knight ”。“ knight ”は「騎士」という意味であり、「夜」を意味する“ night ”の同音異義語だ。夜を導くものは、star(星)。そう、ナズがこのリリック、” My strength, my son, the star will be my resurrection(オレの強さ、オレの息子、あの星はオレの復活を意味するもの)”で歌っている彼の復活を意味する存在、 “ star (星)” だ。星は闇夜を照らす星は人々が道に迷わないように導いてくれるよね。つまりつまりナズの息子であるナイトは、ナズにとって、闇夜を照らし、彼を正しい方向に導いてくれる星であるということなんだ。 リリックで歌ったことが現実になるという、もはや神がかってるとしか言いようがないリリック。さすが神の子ナズだぜ。

「ラップで使われてるスラングの意味、ユナーミーン?」 Vol.167のラストは、Kendrick Lamarの「Sing About Me, I’m Dying of Thirst」!

Kendrick Lamar「Sing About Me, I’m Dying of Thirst(2012)」

And you’re right, your brother was a brother to me And your sister’s situation was the one that pulled me In a direction to speak on somethin’ That’s realer than the TV screen
「お前は正しいよ、お前のブラザーはオレのブラザーだった。  お前の姉妹の境遇がオレを突き動かした。  何を語り継ぐ方向に、  それはTVのスクリーンよりもリアルなんだ。」

ケンドリックの地元、コンプトンのゲトーで起きている現実を2人の違った語り手が語るという設定の曲「Sing About Me, I’m Dying of Thirst」。ファースト・ヴァースで出てくるのは、ギャングの抗争で兄弟を殺された男。彼は復讐を果たすのだが、最後には自分も撃たれてしまう。セカンド・ヴァースでは、ケンドリックのデビュー・アルバム「Section.80」収録の “Keisha’s Song” に登場した売春婦、キーシャの姉妹が、売春を否定するケンドリックに対し、自分たちにはそれしか生きる道がないという事を語る。ただヴァースのラストでは彼女の声は次第に小さくなっていき、最後には聞こえなくなってしまう。そしてサード・ヴァースでケンドリック本人が歌う。今回紹介するリリックはサード・ヴァースからのものだ。ギャングの抗争で殺された兄弟はケンドリックと仲間だったし、売春婦キーシャの過酷な境遇がケンドリックの心を突き動かした。そして彼は何かを語り継ぐという方向を選んだ。彼が語り継ぐコンプトンの現実は、TVのドキュメンタリーよりも圧倒的にリアルな本物の現実なんだ。

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