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「ストリートヘッズのバイブル」では音楽や文化の知識を知ることができる映画や本を紹介していくよ!今回取り上げるのはNetflixで公開中のドキュメンタリー『ギャングのボスになる方法』。
『ギャングのボスになる方法』とは?
ギャングのボスとして歴史に名を刻むにはどうすればいいのか?そんなとんでもない問いへの答えを、実在のギャング・ボスたちの成り上がりと没落のストーリーから探る。丁寧な解説とわかりやすい図解とアニメーションで、伝説のギャングスタたちの人生から明日を生きる糧となる知恵を楽しく学べる新感覚ビジネス教養ドキュメンタリー。
①実在のギャング・ボスたちの人生が教科書
シカゴ暗黒街の帝王、アル・カポネ、ハーレムのヘロイン王、フランク・ルーカス、“野獣”と呼ばれたサルヴァトーレ・リイナ、その派手な振る舞いでNY市民の人気者だった“テフロン・ドン” ことジョン・ゴッティ、ボストン裏社会のボス、ホワイティ・バルジャー、コロンビアのコカイン王、パブロ・エスコバルなど裏社会で名を轟かせた伝説的ギャングたちを紹介。彼らがどのようにして頂点に立ち、没落したのかを当時の捜査官や関係者の証言を交えながら徹底分析しているんだ。映画などではなかなか描かれないリアルなギャングスタの分析から、彼らの成功としくじりのポイントを学ぶことができる良質な教養番組なのだ。
②楽しく学べる裏社会のビジネス
極悪ギャングたちのビジネスというイカついテーマを扱っているにも関わらず、軽妙かつユーモア溢れるナレーションのおかげで、ついつい楽しく観れてしまうのがこのドキュメンタリーの良いところ(?)。複雑なギャングのビジネスモデルも図解で丁寧に解説、さらにギャング同士の抗争、内輪揉めなどの重要なエピソードはアニメで紹介してくれるので、背景のストーリーもしっかりと理解できる。アンダーグラウンドのライフスタイルとビジネスを楽しく学べるドキュメンタリーなんだ。
③ もはや眠れない!?刺激的な歴史教養
裏社会のビジネスは常にその時代の需要や社会制度と密接に関連している。特に1920年代、シカゴの裏社会を牛耳ったギャングの大ボス、アル・カポネは当時施行されていた禁酒法(1920年から1933年までアメリカで施行された消費のためのアルコールの製造、販売、輸送が全面的に禁止した法律)の網をかいくぐり、酒を密売。年間数百億円を稼いでいたとされる。普通に教科書を読んでいたら、眠くなってしまいそうな歴史の話もギャングのビジネスと絡めて学ぶと刺激的に習得できること間違いなしだ。
④ボスから学び、自分のビジネスの参考にも
ギャングのビジネスと言っても、その中には一般のビジネスにも活かせるヒントがたくさん詰まっている。例えば1960年代〜1970年代に活動したハーレムのヘロイン王、フランク・ルーカスは当時“フレンチコネクション”と呼ばれ、マフィアが牛耳っていたトルコ→フランス→アメリカのヘロイン流通経路を介さない独自の輸入ルートを開拓。東南アジアから中間業者を通さない方法で高品質のヘロインをアメリカに直輸入、販売することに成功し、巨万の富を築き上げた。ルーカスのこのストーリーは、デンゼル・ワシントン主演の映画『アメリカン・ギャングスター(2007)』で描かれている。常識を疑い、新たなビジネスモデルを作り出す。そんな視点を伝説のボスたちから学んで、自分のビジネス(もちろん合法の)に取り入れてみては?
⑤USラッパーたちが憧れた伝説のギャングスタたち
『ギャングのボスになる方法』に登場するボスたちは特に90年代や2000年代のUSラッパーたちのリリックで頻繁にネームドロップされる大物ばかり。例えば1960年代から1990年にかけて活動したNYのマフィアであり、ガンビーノ一家のボス、ジョン・ゴッティはその代表格だ。
ゴッティはガンビーノ一家が行った犯罪で幾度も告発されても、周到な根回しによってなかなか有罪にならなかったことから「テフロン加工された製品のように何をしても傷つかない最強のドン」と言う意味で “テフロン・ドン”という愛称で呼ばれていた史上最強のマフィアの一人。
またその傲岸不遜な態度や、常にイタリア製の高級スーツに身を包み颯爽とメディアの前に登場する姿が全米のストリート・キッズから絶大な支持を受けていたギャングスタだ。
ウェストコースト・ヒップホップのレジェンド・グループ、Boo-Yaa T.R.I.B.E( ブーヤー・トライブ) は代表曲「Bang On(2003)」の中で、
G.A.W.T.T.I. get teflan boss of all dons
Always outnumbered but never outdone
Niggas don’t want to march unless we a million
Let me p-funk it Westside and make donG.A.W.T.T.I. ならドンの中のドン、” テフロン・ボス “ さ
いつだって数的有利
でも出し抜かれたりはしねぇよ
うかつに歩けねぇな。オレらが無数にいる限り
P-funkでかまさせてくれよ、ウェッサイ。ドンの誕生さ
とゴッティについて歌っているなど、ラッパーたちの間でも人気は絶大。
USラップへの理解を深めるため、そしてヒップホップ・ライフをサバイブするための知恵と教訓を得るためにも、隆盛を極め、そして没落していった哀愁のマフィアたちについて『ギャングのボスになる方法』を観て学んでみよう。
画像出典元:Netflix