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「ストリートヘッズのバイブル」では音楽や文化の知識を知ることができる映画や本を紹介していくよ!今回取り上げるのはニコラス・ケイジ主演のクライム・カーアクション『60セカンズ』
『60セカンズ』とは?
かつて高級車の窃盗で名を馳せた伝説の車泥棒メンフィス(ニコラス・ケイジ)。現在は泥棒家業から足を洗い、真面目に生活していた彼の元に、ある日、昔の仲間アトレーが訪れる。そこで彼の弟キップが自動車窃盗団を作って裏社会のボス、カリートリーの元で仕事をしていたこと、そして自動車窃盗の仕事でミスをしてしまい、カリートリーから命を狙われていることを知ったメンフィスはカリートリーに直談判。弟を許してもらうために、カリートリーからの任務である超高級車50台を4日後の午前8時までにすべて集めるという超難題ミッションに昔の仲間と共に挑む。
① ジャネットのMVを手がけた監督が魅せる、
最高にクールなアクション美学
まるでミュージック・ビデオを観ているかのような洗練された映像美と音楽とマッチした編集は『60セカンズ』の大きな魅力のひとつ。監督を務めたドミニク・セナは、かつてジャネット・ジャクソンの「Miss You Much」や「Rhythm Nation」など多くのミュージック・ビデオを手がけてきた映像作家。そんな音楽業界畑のドミニクの感性が色濃く反映されている本作は、緻密に計算されたカメラワークとテンポの良い編集によって作られた、まさにダンサブルなカーアクションムービーなんだ。
② ニコラス・ケイジ、全開。
笑わせ、痺れさせ、惚れさせる
“ケイジ無双”な2時間
全米、そして世界から集ったイケてる俳優たちが日々しのぎを削るハリウッド映画界において、圧倒的な個性と演技の幅の広さで唯一無二の立ち位置を築いてきた男、ニコラス・ケイジ。『60セカンズ』ではそんな彼の魅力を存分に感じることできる。伝説の車泥棒である主人公・メンフィスを演じるニコラスは、仲間や弟に見せる優男な部分もありながら、ひとたび仕事にかかれば冷静沈着でインテリジェンス漂うプロフェッショナルへ。
車泥棒の下準備のために、カーディーラーのお店に潜入する場面では、胡散臭すぎる金持ちをコミカルに”熱演”したかと思えば、車を運転したり、女性を口説く場面ではいきなりとんでもない色気を持ち出してくる。
時に優しく、時にコミカル、そして時にセクシーに。タイトな革ジャンを羽織り、無造作な髪と鋭い眼差しで高級車を華麗に運転するニコラスに気づいたら惚れてしまうかも?
③ 今観てもアツい!
90年代・2000年代のスター大集合
90年代から2000年代初頭を彩った実力派俳優たちの共演を見れるのもこの映画の見所。
まずはなんと言っても2000年代ハリウッド最大のスター、アンジェリーナ・ジョリー。車泥棒クルーの紅一点で、メンフィスの元恋人・スウェイを演じるアンジーは説明不要のカッコよさ。映画全体のセクシーさとクールさを彼女が一人で半分ぐらい担保してるのでは?と思うぐらいの圧倒的な存在感だ。さらに『ゴッドファーザー』や『地獄の黙示録』での演技でも知られる名優 ロバート・デュヴァルの重厚な演技、後にジェームズ・キャメロン監督の大ヒット作品『アバター』に出演することになるジョヴァンニ・リビシなど、演技派たちが勢揃いしている。そして忘れてはならないのが、メンフィス一味を追う刑事キャッスルベックを演じるデルロイ・リンドー。スパイク・リー監督の『マルコムX』、『クロッカーズ』などへの出演で知られる名優だ。デルロイの理性的ながらも内に熱を秘めた演技と主演のニコラスのファンキーかつクールな演技の対決はこの映画の大きな見所だね。
④ この映画、耳でも楽しめ。
Moby、War、そしてトレヴァー・ラビン
『60セカンズ』を語るうえで欠かせないのが、映像とシンクロするイケてるサウンドトラックの数々。オープニングから流れるのはMoby「Flower」。クールな映像とエレクトロ・ブルースのサウンドで一気に物語に引き込まれる。そして印象的な場面で流れるアメリカン・カー・カルチャーを象徴する一曲、War「Low Rider」など激渋なセレクションが目白押しだ。そして注目すべきは、『アルマゲドン』や『ナショナル・トレジャー』など多くの大作映画のサントラを担当した作曲家トレヴァー・ラビンによるオリジナルサウンドトラック。2000年代初頭のエレクトロ、そしてUK ビッグ・ビートなどのバイブスを感じるトラックを映画の随所で楽しめるよ。
⑤ 批評家からの評価はイマイチ。
でも映画ファンからは愛される映画
実は『60セカンズ』は批評家からの評価は芳しくない。「ストーリーがナンセンス」「新しさがない」「ステレオタイプ」など批評家からはボロカス言われているのが、一方で、映画ファンの間では根強い支持を誇る“カルト的人気”のある作品でもある。だって…観ていて楽しいから!
豪快なカーアクション、スタイリッシュな映像美、イケてる音楽、そしてニコラス・ケイジの存在感…何も考えずに2時間楽しめるシンプルにカッコいい映画、それが『60セカンズ』なのだ。さらに今から見ると逆にフレッシュさすら感じる2000年代初頭のバイブスもあいまって、改めてイケてるアクションムービーとして楽しむことができる。
また観たことがない人はポップコーン片手に、アメリカン・カー・カルチャーと映像と音楽のクールな融合、感じてみては?
配信先:Disney+(ディズニープラス)
画像出典元:Walt Disney Studios Motion Pictures