パーティーを通して人の心を強く揺さぶり続ける人たちがいる。彼らはなぜこの世界に飛び込んだのか?どんな出会いを経験してきたのか?何が彼らを突き動かすのか…!このコーナーでは、パーティーというカルチャーに関わる演出家たちのキャリアを紐解いていきます。
今回のゲストは兵庫県は加古川市出身のDJ/トラックメイカーのSULLEN(サレン)さん。ヒップホップやR&Bはもちろん、レゲエ、ダンスミュージックに日本語ラップまで、幅広いジャンルの曲を一貫したグルーヴ感のもと繋ぎ合わせるハイセンスなプレイスタイルに注目が集まっています。また同世代のDJ、ラッパー、クリエイターによるヒップホップコレクティブHHbush(エイチエイチブッシュ)での活動も加速している彼に、個人としてのキャリアの話、そしてクルーの話など、あれこれ聞いてみました。
DJとビートメイクの二刀流!
96年生まれのSULLEN

レペゼン :
よろしくお願いします。
簡単に自己紹介と、今の活動について教えていただけますか?
SULLEN :
よろしくお願いします。SULLENと言います。1996年生まれで、出身は兵庫県の加古川です。今も加古川に住んでいて、CERF VILLIE(サーフヴィレ)っていうレーベルを主宰しています。あとは神戸とか姫路に住んでるメンバーと一緒にHHbushっていうクルーをやっていて、音源や映像をリリースしたりパーティをやったりしています。個人としては、DJと、ビートを作って提供したりという活動もしてます。
レペゼン :
DJと並行してトラックメイクもされているSULLENさんですが、過去にご自身の名義で音源もリリースされていましたよね。
SULLEN :
そうですね。インストのビートと、ラッパーが入ってる曲も入っていますね。anddy toy store(アンディ・トイストア)とかSILENT KILLA JOINT(サイレント・キラ・ジョイント)とかと作ったりしています。
【 anddy toy store – circle green 】
レペゼン :
兵庫出身の同世代のアーティストと制作されているんですね。
自主レーベルCERF VILLIEと
ヒップホップクルーHHbushの活動

レペゼン :
レーベルである「CERF VILLIE」は、いつ始められたんですか?
SULLEN :
だいたい19歳ぐらいの時です。 地元が同じビートメイカーのdhrma(ダーマ)と一緒にやっています。もともと人数はもっといたんですけど、今メインで活動してるのはdhrmaと、あとはcaroline(キャロライン)っていうビートメーカーです。

CERF VILLIE主宰のメンバー。左からSULLEN、caroline、dhrma
レペゼン :
かなり長い付き合いなんですね。SULLENさんのDJキャリアもそれくらいからなんですか?
SULLEN :
そうですね。高校生の頃からレコードを買い始めたんですが、DJをやり始めたのは19ぐらいです。
レペゼン :
そのあたりの経緯も後ほどお聞きしたいです。
また、神戸発のヒップホップコレクティブ・HHbush(エイチエイチ・ブッシュ)も気になる存在です。 まずどういったクルーで、どういう人が参加しているんですか?
SULLEN :
DJとかラッパー、あとは映像のディレクターとかデザイナーも含め11人くらい所属しています。パーティーをオーガナイズしたり、音源を製作したり、オリジナルのプロダクトを作ったりしています。いろんなものを全員で作り切れるヒップホップコレクティブって感じですね。

一度見れば忘れない洗練されたクルーのロゴ
レペゼン :
クルー内で ものづくりが完結するの、めっちゃ素敵ですね。
どういうきっかけで発足したんですか?
SULLEN :
もともとは普通に神戸で集まって遊んだりしてたメンバーが「何かやろう」って言ってできたんです。もともと先輩たちがこの名前をつけてやってたところに僕も混ぜてもらったみたいな感じですね。
レペゼン :
フッドのプレイヤーが集まって自然発生的にできたんですね。
加古川の先輩が積み上げた
ヒップホップカルチャーの土壌

レペゼン :
少し遡って、SULLENさんの子ども時代についてもお聞きしたいです。生まれも育ちも加古川なんですか?
SULLEN :
そうですね。地元から全然出てないです笑
子どもの時はサッカーしてた記憶しかないですね。 小学校から始めて、高校卒業するまでずっとやってました。
レペゼン :
サッカー少年だったんですね!
ヒップホップとかブラックミュージックを好きになったのはいつくらいですか?
SULLEN :
中学ぐらいの時にレゲエが流行っていて、それを聴いたのがブラックミュージックとの出会いかもしれないです。ジャマイカのアーティストのミックスとか、当時流行っていたジャパレゲを聴いていたところから派生して日本語ラップも好きになって。
レペゼン :
そういう流れなんですね。サッカーをしながら、音楽の趣味も広がってきてという。
SULLEN :
はい。さらに高校入ってからストリートカルチャーにもっと興味が出て、スケボーを始めたりもしました。あと地元にあるストリートショップにも通い出したのを機にレコードにも出会ってっていう感じですね。
レペゼン :
じゃあ地元の加古川は、ストリートカルチャーの土壌が根付いている街なんですか?
SULLEN :
根付いていると思います。もともと先輩たちが「Factory No.079」(*)っていうお店をやってて。そこに通うなかでdhrmaにも出会ったんです。特にその店主のGREENWORKS(グリーンワークス)さんには一番お世話になりましたね。それこそGREENWORKSさんがやっているお店で働かせてもらったりもしましたし。
※ … 兵庫県加古川市にあるセレクトショップ兼レコード・カルチャーの発信拠点。ニューヨークで直接買い付けた古着やセレクトアイテムをはじめ、音楽CD、LPレコード、オリジナルグッズなどを取り扱う。
レペゼン :
GREENWORKSさんのDJもめちゃくちゃかっこいいですよね!彼がSULLENさんにとってのキーパーソンなんですね。
レペゼン :
DJをやりたいって思ったのも、Factory No.079に通っていた影響が大きいんですか?
SULLEN :
そうですね。Factory No.079でレコードを買い始めてから、クラブイベントとかも行くようになったので。ある日、DJが回している様子を見ていたら、衝動的に「自分もやりたい」って思ったんですよ。次の日には、もう機材を買いに行ってましたね笑
レペゼン :
行動力がすごい笑
そして、スケボーして、レコード掘って、DJとビートメイクもやっていたとは、めちゃめちゃハイスペックな10代ですね笑
楽曲制作からパーティ主催まで。
多彩な集団・HHbush

レペゼン :
関西のシーンの中でも独自の色を持つクルー・HHbushについても改めてお聞きしたいです。
まず主催されているパーティはけっこう頻繁にあるんですか?
SULLEN :
HHbush単位でやるパーティは不定期なんですが、なんだかんだ1~2ヶ月に1回はありますね。 それも場所も固定されてなくて、その時その時で、神戸でやったり、大阪でやったり、東京行ったりとかしています。
レペゼン :
過去には、Dickiesとの別注アイテム発売からのポップアップも行っていましたよね。ローカルから都市部まで、活動範囲が広い印象があります。
SULLEN :
ありがとうございます。
あとは、HHbush主催ではないんですけど、僕含めクルーの何人かが中心になって、毎月「nagomi bar(ナゴミバー)」(*)で「IKI」というパーティをやっています。
※ … 神戸発のDJレーベル「nagomimusic」が運営する音楽空間・レンタルスペース・クラブ&バー。良質なサウンドシステムを備え、テクノ、ハウス、ヒップホップ、ソウルなど幅広い音楽イベントが開催される。

レペゼン :
月一ですか!絶対大変ですよね。
SULLEN :
そうですね。油断してたら、もう次の開催が目の前になってます笑
レペゼン :
「IKI」は、どんなカラーのパーティなんですか?
SULLEN :
もうホームパーティーに近い空気感ですね笑
毎月違うゲストを呼んで、「一緒にパーティやろう!」って感じなんで、ゲストによって何かかるか毎回わからないのが面白いですね。レギュラー陣も、みんなその日の感じで回します。ダンスミュージックかかったり、ヒップホップかかったり、レゲエかかったりみたいな感じで、何でもかかるって感じですね、毎回。

レペゼン :
HHbushは、映像やフライヤーデザイン含め、切り口がフレッシュです。
そういったいわゆるクルーのブランディングについては、みんなで話しながら決めたりするんですか?
SULLEN :
いや、映像を作ってる人だったり、そういうデザインやったりっていうのを結構考えてくれてるクリエイティブチーム的なメンバーに任せてしまってますね。見せ方というか、考えてやってくれるんで頼もしいです。
レペゼン :
なるほど。DJやラッパーは表舞台、クリエイティブチームは制作と、それぞれの得意分野でかましてるんですね!
ちなみに最近、クルーからリリースされているものは何かありますか?
SULLEN :
最近だと、僕のミックスと、あとエアフレッシュナーを作りました。このエアフレッシュナーも、僕のビートが1曲ダウンロードできるようになっています。
レペゼン :
かわいい!ここでも、ちゃんとデザインと音楽と映像が交差しているのも素敵です。
こういうのもありなんや!
音楽性を広げてくれた存在

レペゼン :
クラブシーンはもちろん、最近は大阪のダンスバトルからも声がかかって回されているSULLENさんですが、影響を受けた存在はいますか?
SULLEN :
岡山のDJ ZEEK(ジーク)という方です。その人のミックスを聴いた時に、僕の中での常識がちょっと変わった感じがしました。それこそビートミュージックも入ってたり、エレクトロとかベースとか、それまで聴いてきたものじゃないものが、1つのミックスに入っていたんです。「こういうのもありなんや」って思いましたね。だからヒップホップという枠組みの中でも、音楽的な幅を広げられた記憶があります。
レペゼン :
なるほど。その柔軟性は今のSULLENさんの“なんでもかけてくれる”みたいなプレイスタイルに通じるものがありそうですね。
じゃあいろんなジャンルを柔軟に掘って、DJに落とし込むというスタイルは、割と初期からだったんですか?
SULLEN :
たしかに最初から「ラップの曲だけ」ってわけではなかったですね。 始めた時から、レコードもソウルも、それこそビートミュージックとかも買ってましたし。
レペゼン :
なるほど。ビートを作ろうと思ったのはいつ頃で、どういうきっかけだったんですか?
SULLEN :
dhrmaが先にがっつりやっていたのが大きいですね。で、パソコンのソフト使ってるのとかに見てたので、俺も作りたいってなった時に、もう同じソフトを買いました。分からないことあったらdhrmaにすぐ聞いたりしながら作っていましたね笑
レペゼン :
一番身近な先生ですもんね笑
SULLEN :
そうです。なので最初はやりやすかったですね。
一度はおいでよ!
神戸三宮のnagomibar

レペゼン :
徐々に幅広い現場で活躍されているSULLENさんですが、これから挑戦したいことがあればぜひ教えてください。
SULLEN :
そうですね。自分名義のアルバムを出したのが結構もう2年前なので、次の作品もぼちぼち作りたいなと思っています。
レペゼン :
お!良いですね。アルバム制作に向けて、普段からビートを作り溜めたりしてるんですか?
SULLEN :
いや、普段からはできていないですね。DJしたりミックス作ったりとかしてたら、もうそこまでの時間はなくて笑
なので、一度がっつり集中して作ろうと思っています。
レペゼン :
めっちゃ楽しみに待っています。
では最後の最後に、読者に向けて神戸のおすすめのスポットを教えていただけますか?普段SULLENさんやクルーのみなさんがよく行く場所でも良いですし。
SULLEN :
やっぱりnagomibarですね。僕も毎月レギュラーイベントで回させてもらってますし、ふらっと行くことも多いです。だいたい朝までやってるので、神戸に来た際はぜひ遊びに行ってみて欲しいです。
レペゼン :
みんなが自然と合流する場所なんですね。神戸に行った際は寄り道してみます!
というわけで今回は、ヒップホップとの出会いからHHbushの活動、そして今後の展望まで話していただき、ありがとうございました!
SULLEN :
ありがとうございました!

