とにかく音楽とDJとレコードが大好きです。もしかすると自分の命より大切で大好きかもしれない。

長野のヒップホップシーンを引っ張り続けるDJ KENZI aka BLACKBEATZのキャリアとは?

ライター:DJ SHUNSUKE

パーティーを通して人の心を強く揺さぶり続ける人達がいる。
彼らは何故、今仕事を選んだのか?
このコーナーではパーティーというカルチャーに関わり続ける演出家たちの過去から現在まで続くキャリアを紐解いていきます。

今回は長野県を代表するクラブDJであり、楽曲製作、マスタリングなどのエンジニアワークスなど幅広く活動するDJ KENZI aka BLACKBEATZさんにお話を伺います!

はじまりの一曲:電気が走ったあの瞬間

SHUNSUKE:
まずは自己紹介からお願いします。

DJ KENZI aka BLACKBEATZ:
出身は長野県上田市で、DJ歴は今年で25年になります。

SHUNSUKE:
25年…!そのキャリアの始まりに遡って伺いたいのですが、記憶に残っている最も古い音楽体験って覚えていますか?

DJ KENZI aka BLACKBEATZ:
物心がついて初めて音楽に“やられた”と思った曲が、DJ HONDA feat. BLACK ATTACKの「BLAZE IT UP」でした。音楽を聞いて初めて鳥肌が立った体験をした曲です。

SHUNSUKE:
どんな場面で「BLAZE IT UP」と出会ったとか覚えてますか?

DJ KENZI aka BLACKBEATZ:
中1の時、地元の服屋で流れていて。その瞬間に体に電気が走るような衝撃があって…どうしてもその曲が知りたくて、緊張しながら店員さんに聞いたら、”これはDJ HONDAさんの曲だよ”と教えてくださって。まさかの日本人が作った曲だと知って、さらに喰らいました。日本が世界に誇る楽曲だと思います。

日本語ラップとの衝撃的な出会い

SHUNSUKE:
他にも衝撃を受けた楽曲ってありますか?

DJ KENZI aka BLACKBEATZ:
SHAKKAZOMBIEのOSUMIさんのソロ曲「GOT ME」です。中2の時にアルバム『PERFECT WORLD』を聴いたのですが、それまでアメリカのヒップホップばかり聴いてきた僕は「日本語でこんなにカッコいい曲があるのか!」と衝撃を受けました。クレジットにはDJ WATARAIさんの名前が!!DJ WATARAIさんの創り出したドラムのカッコ良さは今聴いても強烈にカッコいいです。

新聞配達から始まったDJ人生

SHUNSUKE:
そこからDJを始めるまでには、どんな経緯があったのでしょうか?

DJ KENZI aka BLACKBEATZ:
DJ HONDAさんの楽曲に出会ってから、すぐに「自分もDJになりたい」と思ってはいました。とは言え、当時中学生の自分にとってターンテーブルはとても高額で。どうしても欲しかったので新聞配達を始めました。コツコツ続けて、中2でようやく手に入れたのがDenonのターンテーブル。Technicsが高くて買えなかったのでDenonのターンテーブルでしたが、嬉しすぎて毎日触ってました。情報も少ない時代でしたし、操作方法もわからなかったので、イベントに行って、DJが何をしているのか目で見て耳で学びました。

音楽があったから、ブレなかった25年

SHUNSUKE:
25年間、四半世紀のキャリアをお持ちですが、この期間でDJを辞めたいと思ったことはありますか?

DJ KENZI aka BLACKBEATZ:
とにかく音楽とDJとレコードが大好きです。もしかすると自分の命より大切で大好きかもしれない。なので一度も辞めようと考えたことがないです。

SHUNSUKE:
命よりもっていうのは物凄い熱量ですね。同世代では引退したり、一線から退いたりという仲間もいると思います。そんな中でも続けられた理由は何だと思いますか?

DJ KENZI aka BLACKBEATZ:
普通なら辛いと思う事すらも楽しくてたまらない!って感覚がずっと続いています。その感覚は人によって違うかもしれませんが、僕にとってはこの25年のDJ生活はいつの間にか、というか、あっと言う間の期間だったようにも思います。一度も辛かったなんて思った事がなかったです。自分にとって音楽はそれくらい大切なものです。

ターニングポイントは“あの出会い”

SHUNSUKE:
キャリアの中で、ターニングポイント、印象に残る出会いがあれば教えてください。

DJ KENZI aka BLACKBEATZ:
2010年頃にDJ YANATAKEさんに出会えた事です。ずっと長野県でDJ活動をしてきた僕の活動を評価してくださって、BLOCK FM”Inside Out”に出演する事ができました。その辺りからDJや制作の仕事が一気に増え、全国様々なイベントに出演したりアーティストの方と出会うきっかけになりました。YANATAKEさんには本当に感謝しています。

仲間と築いたホームグラウンド

SHUNSUKE:
これまでで最も印象深い出来事は?

DJ KENZI aka BLACKBEATZ:
自分が主宰するイベント”FREEDOM”が200回目を迎えられた日がすごく思い出に残っています。

SHUNSUKE:
200回。凄すぎます。そこまで続くイベントは全国を見てもそう多くないんじゃないですかね。フライヤー、SNSで目にしますが200回以上続いていたとは驚きました。

DJ KENZI aka BLACKBEATZ:
スタート時、「必ず毎月開催して、告知、集客を手を抜かずにフロアはパンパンにする、そして東京よりフレッシュなパーティーをやり続ける」をモットーに決めて、毎回開催してきました。コロナだったり、色々大変なことはありましたが、だからこそ200回を大切な仲間と迎えられた時はすごく嬉しかったです。DJや音楽を通して最高の仲間に出会えたのは、このパーティーがあったから。ずっと続けてきてよかったと思っています。現状に満足する事なく、次は300回を目標に気合いを入れて毎月開催しています。

若い才能を支えるスタジオから、次の世代へ

SHUNSUKE:
現在力を入れて取り組んでいること、今後のビジョンがあれば聞かせてほしいです。

DJ KENZI aka BLACKBEATZ:
自分が経営するスタジオで、地元で活動する18歳未満のラッパーやDJにハイクオリティでレコーディングできる環境を無償で提供しています。ここから全国に羽ばたくアーティストが生まれたら最高だと思います。長野県にお住まいの気合い入ったラッパーやDJのみんなご連絡お待ちしています。

地元・長野の若手たちへ贈る言葉

SHUNSUKE:
これからクラブシーンに入ってくる若い世代に、アドバイスをお願いします。

DJ KENZI aka BLACKBEATZ:
これからラッパーやDJになりたい人は、沢山の情報に溢れた時代ですが自分の個性やコンプレックスを大切にしてください。それがヒップホップでは武器になります。もちろん誰かに憧れてしまう気持ちも凄くわかります。ですが誰かの真似事が1番ダサいと評価されるのがヒップホップカルチャーです。ブレずに自分を信じて愛して音楽を表現してください。

 

プロフィール

  • DJ KENZI aka BLACKBEATZ

    DJ KENZI aka BLACKBEATZ

    10代の頃から数多くの国内外のトップアーティストと交流を深め、膨大な数のレコードをDIGすることによってブラックミュージックを探求し続けるその姿勢や、音楽知識の深さは業界から高く評価されている。 そのPLAY STYLEはHIP HOP, R&Bを軸に自身が黒いと感じたBLACKMUSICを巧みに操り、その音楽的背景を理解した選曲と展開で数多くのブラックミュージックファンを唸らせる。 また、数々のパーティーのレジデントを務める他、全国の主要CLUBにてゲストDJとして招かれ多くのクラウドを日々ロックし活躍するほか、TVやラジオ、ライターなどDJのフィールドを越え、多彩な活動を展開している。 さらに、TRILL DYNASTY、DJ CHARI、Awich、BAD HOP、Lunv Loyal、GOBLIN LAND、ELLE TELESSA、DJ KANJI、Lisa lil vinci、炒炒、Young Zetton、Klooz、Two-Jをはじめとする数々のアーティストのエンジニア、戦極MCバトルのテーマソングへの楽曲提供など多くの日本を代表する楽曲に携わるなどDJだけに留まらずプロデューサ、リミキサー、エンジニアとして日々活躍している。

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