DJ YAZZ|カルチャー・キャリア・リサーチ Vol.1|ラスベガス編

ファーギーやバスタ・ライムスがお客さん!?世界のセレブが集うベガスのパーティーシーンとは?

ライター:DJ SHUNSUKE

パーティを通して人の心を強く揺さぶり続ける人達がいる。
彼らは何故、今の仕事を選んだのか?
このコーナーではパーティというカルチャーに関わり続ける演出家たちの過去から現在まで続くキャリアを紐解いていきます。

第一回はラスベガスでの長期活動を経て現在東京を中心に活動するDJ YAZZさんのキャリアを紹介しています。前回の日本編に続き、今回はラスベガス編をお送りします。引き続きDJ SHUNSUKEがインタビューを行ってきました。

どうやってDJ FIVEとつながった?

SHUNSUKE:
YAZZ君の事は関西で活動されていた時から名前は知っていたんですが、はっきり認識したのはDJ FIVEのInstagramに登場した時です。FIVEのことは僕もプレイがカッコイイ事は認識していたし、ご縁もあってほんの少し繋がっていたのでちょくちょくInstagramは見てたんです。そしたらある時「あれ?アジア人が映ってる」と思って。タグ付けを調べたら「関西の人だ!」って笑。当時はYAZZ君が拠点を移していたことも知らなかったしすごく驚いた事を覚えてます。元々面識があった上で、一緒に活動してたんですか?

YAZZ:
元々繋がっていたわけじゃないんです。引っ越してからすぐラスベガスのFIVEの現場に行き、DJが終わった後に声を掛けて自己紹介とMIXCDを渡した事がスタートでした。全然英語は喋れてなかったけれど、勢いで熱意を伝えましたね。

SHUNSUKE:
日本の若手時代と同じような事をした訳ですか!凄い。

YAZZ:
やったやった。勢いだった。英語も全然喋れてなかったけど。彼が日本人を好きだったと言う事もあったのかもしれないけど結構すぐ打ち解けたように思います。クラブで会ったらFIVEから声を掛けてくれてDJブースに入れてくれたりするようにもなりました。帰国するまでずっと一緒に居ましたね。ラスベガスで最初にDJの仕事をくれたのも彼でした。「あのお店にDJ出来るように話をしておいたから、頑張ってこい!」みたいな感じで。彼と繋がっていなかったらもっと早く帰ってきていたかもしれない。帰国前の1、2年はもう完全にファミリーとして扱ってくれてました、サンクスギビングデーやクリスマスってアメリカの人はみんな家族で過ごすんですよ。僕は日本から単身で来ていたんでそういう日はひとりじゃないですか?それを分かってくれていたから「寂しいだろうからおいで!」って彼の家族と一緒に過ごしていました。優しくて本当に良い奴です。

長期間ラスベガスで活動していた中で衝撃を受けた出来事は?

SHUNSUKE:
アメリカで活動をしてみて、日本で活動していた時と違う驚きや衝撃を受けた出来事ってありましたか?普通の生活の中でも驚いた事とかあれば聞かせて欲しいです。

YAZZ:
その日一緒にDJしてたアメリカ人の友達が家まで車で送ってくれることになって、二人で帰ってたんです。信号で止まったら横に止まってる車が後ろから衝突されてました。ここまでは日本でもたまにある事ですよね。ただ、日本と違ったのはここから。運転してた黒人のおばちゃんが車から出て「ぶつけられた!」みたいな電話を誰かにしてたんですけど、俺らの前に止まってた車から若い黒人の男の子が出てきて、衝突された車に乗ってスーって盗んでいったんです笑

日本ではまずあり得ない事なんで「アメリカやな~」って思いましたね。運転してくれてたアメリカ人の友達もびっくりしてましたけど笑

ここはアメリカなんだなって思った事としてはFIVEがDJしてる時にブースの中に居たら肩をトントンって叩かれて。後ろ見たらFergie(ファーギー)が「ねえ、私もブースに入れてよ」って言ってきた時はビックリしましたね。おお、Fergieや!ってなりました笑

それとかすぐ後ろでBusta Rhymes(バスタ・ライムス)が女の子口説いてたりっていうのはアメリカだなっていう経験でしたね。

SHUNSUKE:
日本じゃそういうのってやっぱりないですもんね。自分もニューヨークに行ったとき、Frank Oceanが飛び入りでライブをしていたのを見て驚いた経験があります。口説いてるのを見るってなるとライブとかよりレアなシーンですね笑

YAZZ:
後はラスベガスのダウンタウンの方でDJしてた時、もう間も無くパーティも終わりっていう時間に自分より少し年上くらいの男性から「マイケルジャクソンかけて」ってリクエスト貰ったんです。「さっきかけたよ」って返答したんだけど100ドルのチップ出してくれたんで「わかった!かける!」ってすぐかけたんです。笑

1ドルや10ドルのリクエストチップが多い中で100ドルだったんで結構ビックリしました。その後もリクエストが続いて、プレイする度に100ドルくれて。笑

お店の人もクローズ時間が過ぎても全然音止めろって指示してこなくて、結果、トータルで1200〜1300ドルくらい貰ったんですね。違うフロアでDJしてたやつは2000ドル近く貰ってたんで「あのチップくれた男性はリッチなの?」って聞いたら「ビリオネアだよ。」って言われたのは本当に衝撃的でしたね。アメリカのお金持ちって次元違うなあって。

今後の日本のナイトクラブシーンに願う事や思う事は?

SHUNSUKE:
帰国して少し時間が経過しましたが日本のHIPHOPシーンと言うか、クラブシーンに対して感じることや思うことってありますか?

YAZZ:
昔に比べてキャパシティの大きいクラブは増加傾向だと思うし、単純なクラブ人口と言うのは増えてきていると思うんですけど、なんていうのかな、ビジネスとして成立しきっていない空気を感じる事がたまにありますね。これはどこのクラブとかどのパーティが、と言うわけではないんですけど。1人何分回せるのかな?って言うくらいDJ入ってるパーティを見るとなんとなく「仲間内で集まるイベントの延長」って感じたり。DJが多すぎると同じ方向を見ているようで少しずつズレが発生して、パーティが終わる頃はなんだかグチャグチャになっている、それって質の高いパーティと言えるのか?って個人的にずっと思っていました。とは言え、DJをたくさん入れて集客を課さないとお客さんが入りきらないクラブもある。でも本当はDJはDJだけに集中させて、とにかく売り上げをアップさせる良いDJプレイをしてもらう事が重要です。それが出来なければクビにされても仕方ないくらいの方が良いと思うんです。

集客へのプレッシャーをかけ続けると一番重要なDJプレイから集客に比重がシフトしてしまう。音楽とは関係ない事をするのはDJにとって辛い事だと思う。それでも稼げないなんて夢がないですよね。昔はそうしないとお客も集まらなかったかもしれないけれどもうそんな時代じゃないと言うか。中身が伴ってないとお客さんも離れていってしまう。パーティを作っていく上でちゃんとセクションに別れた仕事を遂行していくべきじゃないのかなと思います。

SHUNSUKE:
お客さんは山ほど入ってるけど、中身が伴わないことで人が離れたお店、ありますね。お客さんもちゃんと音楽が好きで来ているわけで。パーティにおける集客ってとても大切だと思うんですけど、音楽ありきのパーティである事を忘れてはいけないですよね。良い音楽があるから人が集まる、その為には沢山DJを入れて集客をさせるって言うのはちょっと違うかもしれないですね。確実にブレって言うのは大きくなると思います。

YAZZ:
本当はヘッドライナーみたいなDJが2人、オープンアップとラストを担当するDJが1人、とかで良い気がします。少人数でやる事が一番しっかりとした流れを作る事が出来るからです。しっかりとした流れが最も売り上げに直結する訳だし。やっぱりDJは音楽を一番に考えないといけない。しっかりDJプレイが出来ないとナイトクラブじゃDJは出来ない、っていうシーンが自分としては理想かなって思います。まあ、パーティの作り方とかには色々な考え方がありますし、ここは日本だしあくまで個人的な理想です。物事を進めていくのは簡単ではないのは理解しているつもりです。

これからのクラブシーンがより良くなる為に、よりかっこ良くなる為にDJとして出来る事は自分も取り組んでいきたいなって思っています。

プロフィール

  • DJ YAZZ

    DJ YAZZ

    1999年より大阪を拠点にDJとしての活動をスタート。音楽とDJへの探究心を原動力に着実にキャリアを積み重ね、大阪を代表するDJの1人にまでに成長。 そして2014年、世界最大クラスの一流ナイトクラブが立ち並ぶラスベガスに単身渡米。 全世界から様々な人種の観光客が訪れ、多種多様な音楽を求められるという土地柄から生まれたオープンフォーマットの本場を肌で体験し、彼のスキルがさらに向上された事は言うまでも無い。 ダウンタウンラスベガスのナイトクラブでのレジデントをはじめ、テキサス州やカリフォルニア州等での ゲスト出演などアメリカでも数多くの現場を経験した。彼の選曲の幅の広さとスキルは現地でも絶賛され、 ローカルDJ、業界関係者、クラバーからの信頼を獲得した。 さらに2019年には、毎年ダウンタウンラスベガスで開催される、その年のトレンドを反映した超豪華なラインナップが揃う事で人気の都市型フェス、“LIFE IS BEAUTIFUL Music & Art Festival”のFergusonsステージへの出演を果たした。 2021年日本へ完全帰国。2022年東京に拠点を移した彼に今後も目が離せない。

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