DJ IVER|カルチャー・キャリア・リサーチ

六本木IBEX TOKYOのレジデントDJであるDJ IVERのキャリアとは?

ライター:DJ SHUNSUKE

パーティを通して人の心を強く揺さぶり続ける人達がいる。

彼らは何故、今の仕事を選んだのか?

このコーナーではパーティというカルチャーに関わり続ける演出家たちの過去から現在まで続くキャリアを紐解いていきます。

第二回は六本木IBEX TOKYOのレジデントDJを務めるDJ IVERさんのキャリアについてお送りします!今回は「DIG!かばんの中身」でもお馴染み、DJ SHUNSUKEがインタビューを行ってきました。

SHUNSUKE:
自己紹介をお願いします。

IVER:
DJ IVERです。長野県出身の35歳です。

DJを志したきっかけは?

SHUNSUKE:
現在、六本木を代表するブラックミュージッククラブであるIBEX TOKYOのレジデントを務められてますが、そもそもDJを志したきっかけって何だったんですか?

IVER:

東京に出てきたのが18歳の頃で、元々ブラックミュージックが好きだったこともあって、六本木のクラブで遊んでました。どういうきっかけだったかは覚えていないんですが、ある時”もっとクラブシーンやHIPHOPシーンに関わっていきたい”って考えるようになったんです。で、本格的にDJをするようになったのは24歳くらいの時ですかね。友達の家でターンテーブルで遊んだりっていう事はそれまでもありましたけど、プロのDJを目指そうと決めたのはそれくらいの時でした。もともと、キャリアのスタート時は千葉で自分でイベントを企画して、箱を借りてDJしてたんです。そこから色々なイベントに顔を出して、覚えてもらって。コツコツとやってきたことで少しずつ営業は増えていきましたが、今ではもっと早くスタートしておけばよかったなって少し後悔する部分もあります。

衝撃を受けた楽曲は?

SHUNSUKE:
元々ブラックミュージックはよく聞いていたのですか?

IVER:
自分の叔母が元々ソウルシンガーをしていたので小学生の時に Whitney Houstonを家で流してくれたりしてたんです。叔母の音楽的嗜好からかなり強い影響を受けましたね。R&Bのかっこよさとかブラックミュージックのベースみたいなものを感じたというか。中学生になってからさらに興味を持って、初めて買ったCDがBoyz II Menの「Ⅱ」でした。そこからHIPHOPへと派生していきました。

SHUNSUKE:
その中でも衝撃を受けた曲やアルバムはありましたか?

IVER:
どドハマりしたのはPuff Daddy & The Familyの「No Way Out」ですね。一気にニューヨークのHIPHOPにのめり込みました。

SHUNSUKE:
「Ⅱ」も「No Way Out」も特大クラシックアルバムですね。自分も沢山聞きました。

IVER:
間違いなく今の自分を形作るアルバムだなと思います。現行のヒット曲ってそこまで頻繁に聞くようなことって無いですけど、あの頃買ったアルバムは今でも聞いたりしますね。

自分の中での大きなターニングポイントは?

IVER:
元々強い憧れを持っていたIBEX TOKYOのレジデントDJになった事が間違いなくこれまでで一番のターニングポイントです。IBEXのボスから声を掛けてもらったのが30歳の時です。DJプレイもそうだし、パーティに対する見方だったり、視点だったり。姿勢そのものが大きく変わりましたね。

SHUNSUKE:
自分はお店の営業全てに出勤するレジデントDJという立場になったことはないんですが、やっぱり覚悟っていうのは必要だったんですか?

IVER:
覚悟というか、プレッシャーは凄く感じています、常に。都内でも名門のブラックミュージッククラブですし、そのブランドを傷つけないようにっていう意識は強く持ってます。やっぱり最初は凄く怒られた事もありました。今、完璧にできているかと言えば全くそうではないんですが、常にもっともっと良くしていきたいっていう気持ちで取り組んでます。レジデントDJになってから時間は経ちましたが、未だにプレイ前は正直緊張しますね。

  

六本木のブラックミュージックを引っ張るクラブ IBEX TOKYO

SHUNSUKE:
六本木という土地で言うとHIPHOPに注力しているお店がコロナや様々な事情で激減してしまいました。IBEXに対して、そしてそのレジデントであるIVERに掛かってくる期待やプレッシャーはこれまでよりも大きくなってると感じますが、そういった事を乗り越えるための努力や意識している事はありますか?

IVER:

やっぱり8〜9割が外国人のお客さんなので、曲の意味合いは凄く調べます。絶対和訳というか翻訳というか自分でやってますね。外国人のお客さんに対して曲の意味での違和感は出来るだけ無いようにって考えてます。あとIBEXはアフロミュージックが人気があるんですが、調べるのが中々難しかったりもするのでお客さんとコミュニケーションを取りながら曲を調べたりしてます。

SHUNSUKE:
今やビルボードチャートにもガンガン入ってるアフロビーツですけど、IBEXはかなり早い段階で取り入れていたイメージです。実際他のお店よりもウケが良いように感じますが、何かきっかけってあったんでしょうか?全国的に見ても、ものすごく幅広い時間でアフロビーツのニーズがあるお店って他にないと思うんです。僕が初めてIBEXでプレイした時は今のような雰囲気ではなかったように思います。

IVER:
3年前くらいからです。DAVIDOやBRUNA BOYがシーンに出てきたタイミングでプレイし始めたら、VIPのお客さんが凄く盛り上がるようになったんですよね。それまではダンスホールの方が強かったと思うんですけど、ボスからも「ガンガン押していけば良いと思うよ!」って言ってもらえて。パーティとして「この曲を推そう」っていう事はあるかと思うんですが、お店としてしっかり「アフロビーツを推そう」って考えてやっているので、掛け続けてきて良かったですね。

SHUNSUKE:
最初にIBEXでDJをしたきっかけって何だったんですか?

IVER:
祝前日にやっていたパーティにブッキングして頂いたんです。そこからとにかく「DJで入れてもらえるようなパーティってありませんか?」ってお願いして回りました。その後、週末のパーティを一枠いただいて。10年近く前の話ですね。

SHUNSUKE:
先程からボスと呼んでいる、オーナーであるロマーノはどのような存在ですか??

IVER:
本当にお世話になっていて実の父よりも父だと思っているほどです。心の底からリスペクトしてます。今の自分がいるのは間違いなくボスのおかげです。一緒にやってみないか?と声をかけてくれたボスがいなければ今まで続けられていたのかも分からないです。

SHUNSUKE:
あまりIBEXの事を知らない読者もいると思うので、伝えたい事があれば一言お願いします。

IVER:
IBEXは新しい曲に限らず、歴史に残るクラシックなどもしっかりと掛けているお店です。幅広い音楽で楽しめると思います。そして、インターナショナルな雰囲気をしっかり感じられる場所だと自負してます。僕達はどんな国のお客さんが来ても楽しめるようにスタッフDJ、力を合わせて頑張っていきますので、是非足を運んでみてください!

これからの日本のシーンに願う事

SHUNSUKE:
少し大きな枠組みに感じると思うんですが、これからの日本のシーンに願う事や思う事ってありますか?どんなことでも構いません。

IVER:
先ほども話に出たんですが六本木でHIPHOPをやってるクラブが減ってしまったので、もう少し増えてほしいなという気持ちがあります。少し前は六本木は色々なHIPHOPのクラブを回遊して遊ぶ、みたいなところもあったんですが今は少し寂しくなってしまったんで。あの頃のような雰囲気に戻ってほしいと思いますね。

SHUNSUKE:
確かにそうですね、あの活気のある六本木に戻ってほしい気持ちは僕も同じです!今日は長い時間、ありがとうございました!そして読者の皆さん、私、DJ SHUNSUKEもIBEX TOKYOでは第四土曜日にプレイさせてもらっています。是非足を運んで朝まで踊ってみてください!素敵なクラブですよ!

 

プロフィール

  • DJ IVER

    DJ IVER

    六本木を代表するブラックミュージッククラブ「IBEX TOKYO」のRESIDENT DJであるIVER。 彼を一言で表すのであれば「本物の現場DJ」が相応しい。選曲の確かさ、流れ、グル-ヴ・・・体感した者全てが思わず唸るクラブプレイは人種、国籍問わず幅広い層から熱い支持を得ている。 Hotな曲は勿論、ClassicsやAfrobeats,Dancehallなど縦横無尽に操る『飽きの来ない』選曲は国内でも有数の幅広さと言えるだろう。 ブラックミュージックが好きだと思うのであれば、とにかく彼のプレイを一度聞くべきだ。ここまでの紹介が野暮になるほどの感動を得る事は間違いない。

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