茶導師・梅原宗直「自分を救ってくれたラップソング」|あの人も実はヒップホップ

30歳で脱サラして茶道の道へ。何もかもうまくいかなかったどん底の男を救ったレゲエソングとは?

ライター:TARO

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人にインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月は和歌山県・高野山を拠点に活動する茶導師・梅原宗直(うめはら・そうちょく)さんに4回に渡ってお話を伺います。第2回目は『自分を救ってくれたラップソング』と高野山でのお仕事について話して頂きました。

前回までの記事はこちら → 茶導師・梅原宗直「お茶でチルする時のラップソング」

30歳で脱サラ。救ってくれたBESの一曲

レペゼン:
元々、若い頃から茶道は習われてたんですか?

梅原宗直:
いや、全くです。
お茶の世界に入ったのは30歳の時なんですよ。

レペゼン:
そうなんですね!
それまでどんなお仕事をされてたんですか?

梅原宗直:
建築のCADをやってました。給料も良かったですね。
ただ30歳でお茶の世界の素晴らしさを知ってからは、茶道を真剣にやりたいと思って仕事を辞めました。

レペゼン:
すごい!
両立って選択はしなかったんですね?

梅原宗直:
僕は1つのことを真剣にやりだすと、両方するっていうのはできないタイプで。
当時は子供も生まれたばかりで、家も建てていたんですが、思い切って辞めましたね。

レペゼン:
すごい覚悟ですね。
その後はどうなったんですか?

梅原宗直:
茶道を本気でやり始めて2年間色々やってみたんですが、うまく行かなくて。
それで32歳の時に飛び込み営業で高野山に行ったんです。
そこで何も引っ掛からなかったら、お茶の世界を辞めようと思ってたんですよ。

レペゼン:
結構追い込まれた状況ですよね。

梅原宗直:
高野山でうまくいかなかったらもう立ち上がる気力もないって感じでしたね。自分には生きてる価値があるのかってところまで追い込まれてました。
その時に助けられた曲がBESくんの「明日の風」なんです。

レペゼン:
曲のどういった部分に助けられたんですか?

梅原宗直:
歌い出しが「俺は生きてる価値がある こけてもまた立ち上がる」っていう歌詞から始まるんですよ。
高野山に飛び込み営業に行く時に聴いて、この歌詞に本当に救われました。
今でも自分を鼓舞させてくれる、自信をくれる曲ですね。

レペゼン:
素敵です。

梅原宗直:
実はBESくんとは個人的に繋がりがあって。
彼が音楽でアーティストを目指し始めたときに、僕が主催していたレゲエのイベントに出てもらってたんですよ。

レペゼン:
そうなんですね!

梅原宗直:
彼が色々苦労していた時も知ってるんで、余計に気持ちが入るんですよね。

緑髪のお茶の先生!?梅原宗直、高野山に現る

レペゼン:
高野山に行って、そこでどう展開していったんですか?

梅原宗直:
いろんな場所にお茶やらしてくださいってお願いに行ったんですけど、誰も相手してくれなかったんですよ。
もう誰かわからへんし、変やし。その時髪の毛が緑色だったんで。

レペゼン:
ユーチューバーじゃないすか笑

梅原宗直:
人生賭けて行ってるのに、緑やったんすよ笑

レペゼン:

梅原宗直:
ほんで全然あかんわと思いながら、お寺の駐車場に車止めておにぎり食ってたんですよ。
それで車の外パッて見たら、一人お坊さんがいて。ちょっとこの人に話しかけてみようと思って話しかけたのが、運命の出会いで。

レペゼン:
そこから今梅原さんが経営されている「和真庵 」を借りたりとか、お茶の場を設けることに繋がっていたんですか?

梅原宗直:
そうですね。
その人が高野山を仕切ってるお坊さんたちに繋げてくれたんです。そしたらお坊さんたちの会議にかけられて、お坊さんらに囲まれて色々質問されましたね笑
こいつ大丈夫か?みたいな笑

レペゼン:
緑髪やし笑

梅原宗直:
そうそう笑
それで最終的に高野山でお茶を出す許可をもらったんです。

知られざる高野山のしきたり

梅原宗直:
ただ僕は山の下から上がってきた人間なんで、最初は高野山内ではお金を取ったら駄目って言われてました。

レペゼン:
そういったルールがあるんですね!

梅原宗直:
そうですね。
麓に住んでる人間がいきなり上がってきて、お金稼ぐっていうのはだめなんです。
その場所を荒らすことになるんで。

レペゼン:
なるほど。

梅原宗直:
ただきっかけは掴めたので、とりあえずやってみようと。それから1年半、お茶を点ててお菓子と一緒に観光客に無料で出してました。

レペゼン:
無料ってすごいですね。

梅原宗直:
無料なんでめっちゃ人来るんですよ。
ただ人が来れば来るほど赤字になるじゃないですか。その赤字の補填を、夜中の深夜バイトで補ってました。

レペゼン:
めっちゃ大変…。

梅原宗直:
他に昼の仕事もして、毎日2時間しか寝ないって決めてましたね。もうそれでやりきったみたいな感じでした。

レペゼン:
すごい!

梅原宗直:
そしたら1年半経ったときに、急にお坊さんが自分のとこに来て「今日からお金取ってもらっていいですよ」って言われたんですよ。

レペゼン:
ええ!笑

梅原宗直:
もうちょっとはよ言うてくれみたいな。
そっからは自分のお店を開いたりして、やらせてもらってますね。

レペゼン:
すごいストーリーですね!

プロフィール

  • 梅原宗直(うめはら・そうちょく)

    梅原宗直(うめはら・そうちょく)

    茶導師。世界遺産である高野山を拠点に国内外で活動している。 大学卒業後、横浜でレゲエDJとして活動した後、茶道の道へ。2009年には武家点前流派最⾼位免状「皆伝」を取得。その後は全国各地で茶席を担当する。 2018年には高野山真⾔宗総本⼭⾦剛峯寺の奥殿にて、 ⾼野⼭参与会員限定での茶席 を⼀個⼈にて初担当。奥ノ院にて⽇々執り⾏われる「⽣⾝供(しょうじんぐ)」の抹茶を 奉納・給仕監修する。 現在は高野山にてカフェ「和真庵 」を営む傍ら、海外にも活動の幅を広げており、タイやシンガポールなど東南アジアでの茶席体験も行っている。

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