そば職人×ヒップホップダンサー、小川浩二が見据える蕎麦新時代

蕎麦打ちの音をサンプリングして、ビートメイク!?

ライター:TARO

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアや仕事について全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月のゲストは宮城県仙台市で「そば処登喜和」をオープンされている、そば職人、小川浩二(おがわ・こうじ)さん。元ヒップホップダンサーという異色の経歴を持つ小川さんのヒップホップキャリアについてお伺いしました。Vol.4の今回は運営されているお店「そば処登喜和」や今後チャレンジしてみたいことについて話して頂きました。

前回の記事はこちら→ 元ヒップホップダンサーのそば職人、「そば処登喜和」店主、小川浩二とは?

そば職人とダンサーの共通点とは?

レペゼン:
今回はヒップホップの要素が現在のお店にどのように影響しているかについて教えて頂きたいです。

小川浩二:
お店のインテリアは、ヒップホップってわけじゃないんですよ。でも、SNSの発信やグッズのデザインなんかには、そのテイストが少し入っていますね。

レペゼン:
確かに、SNSではすごくポップでカラフルなイメージが伝わってきます。

 
 
 
 
 
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小川浩二:
そうなんです。外観や内装は昔ながらのお蕎麦屋さんなので、びっくりされることが多いですね。
「めっちゃ普通の蕎麦屋じゃん!」みたいな感じで笑
でも、お店の片隅に友達がデザインしてくれたグッズとか置いてあったりとか。ポップな蕎麦の絵が飾ってたりとか、目で見て感じられる楽しさはあるかなと思います。外観はあえて変えずに、そのギャップを大事にしてますね。

レペゼン:
お店のクラシックな雰囲気と、SNSやデザインでのモダンな要素、そのバランスが絶妙です。
小川さんはダンサーも長くされていたと思うのですが、蕎麦職人とダンサーって共通する部分って何かありますか?

小川浩二:
ありますね。どちらも基礎が本当に大事です。ダンスも蕎麦打ちも、まずは基本をしっかり覚えて、それから応用して自分のスタイルを出していく。これは「守破離」の精神に通じるところがあると思います。守破離っていうのは、まずは師匠の教えを「守る」ことから始まって、それを「破り」、最後に「離れる」ことで独自のスタイルを確立するという考え方で。蕎麦もダンスもその精神が大事だと思いますね。

レペゼン:
良いですね。

小川浩二:
あと蕎麦作りって毎回同じものが作れないところが面白いんですよね。蕎麦粉って生き物みたいなもので、湿度や気温で全然違う仕上がりになるんです。だから、水の量なんかも感覚で調整するしかない。
自分の手肌感覚が重要なんです。例えば、二日酔いで作ると、やっぱりうまくいかないことが多いです笑
そういったその日の感覚によって出来が違うって部分はダンスとも似てると思いますね。

蕎麦打ちの音をサンプリングして、ビートメイク!?

レペゼン:
今後挑戦したいことや目標はありますか?

小川浩二:
いろんなお店や人とコラボしてポップアップイベントをしたいなと思ってます。
出張の蕎麦店を開いてその場で蕎麦を打ったり、唐揚げを揚げたりとか。

レペゼン:
蕎麦のポップアップ!?そんなことが可能なんですか?

小川浩二:
場所次第ですね。プロの設備が整った飲食店なら比較的簡単ですが、外でやるとなると水道の問題とか、少し難しい部分もあります。この前は、岩手に出張して唐揚げを作る依頼があって、数百個唐揚げを作りました。

レペゼン:
すごい!
その場で蕎麦打ちのパフォーマンスとかもできたら、めっちゃ盛り上がりそう。
ビートに合わせて蕎麦打ちのパフォーマンスするとか。

小川浩二:
全然ありだと思います。
実は逆のことをやったことがあるんです。蕎麦打ちの音をサンプリングして、ビートを作ったんですよ。
湯切りの音がスネアみたいだなと思って。

レペゼン:

小川浩二:
いろんな人とコラボしながら、新しいことにチャレンジしていきたいですね。やっぱり自分は人との出会いが一番大切だと思ってて。蕎麦屋を始めた頃は一人で悩むことも多かったのですが、やっぱり一人でいると視野が狭くなってしまう。人と話すことでいろんな考え方や選択肢が見えてくるんです。助けてくれる人も現れるかもしれないし、とにかく人と会っていろんなことを話していく中で、新しい蕎麦の可能性を探っていきたいですね。

「そば処登喜和」に合うヒップホップ

レペゼン:
今回は「そば処登喜和」に合うヒップホップを教えてください。

小川浩二:
これはすごく悩んだんですけど、PSGの「いいんじゃない」がぴったりだと思います。

【PSG「いいんじゃない」】

小川浩二:
彼らのリリックで「適当」っていう言葉がよく出てくるんですが、自分としてはそれが単に無責任とかいい加減という意味ではなく「自分に合った適度なやり方を見つける」という意味だと考えていて。

なので今日も適当にいいじゃんって言うよ
その後 あんたが自分で決めたらいいよ
(それよりあの このバースの最後 こんな感じでいいっすか?)
自分で決めたらいい 適当!

レペゼン:
実際「適当」の本来の意味は「ちょうどよく合う、ふさわしい」ですからね。

小川浩二:
そうなんです。「適当」って、日本語だとネガティブに捉えられがちですが、そういう「ちょうどいい感じ」っていうポジティブな意味で捉えてます。
自分としてもその意味での適当さを大事にしながら、芯を持ってお店を運営していきたいと思ってます。

レペゼン:
良いですね。
今日は本当に素晴らしいお話をありがとうございました!

小川浩二:
ありがとうございました!

プロフィール

  • 小川浩二(おがわ・こうじ)

    小川浩二(おがわ・こうじ)

    そば職人。埼玉県出身。高校でダンスの楽しさを知り、卒業後、ダンスの専門学校へ。90年代のヒップホップやムーヴをベースとするミドルスクール・ヒップホップのダンサーとして活動する。20代後半から本格的にそば職人の世界へ。宮城県仙台市のそば屋「そば処登喜和」で修行を積み、現在は店主として店を運営している。オリジナルの創作そばやカレー、唐揚げなどの従来のそば店にはない独自性の高いメニューが話題を呼び、幅広い年代のお客さんが訪れる人気店となっている。

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