B-Boy経営者、けいたんのインフルエンサービジネスの原点とは?

オタク系B-Boy集団REAL AKIBA BOYZが生み出す新しいエンタメの形

ライター:TARO

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアについてインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月は事業家ダンサーであり、オタクカルチャーとブレイクダンスを融合させたエンタメ集団「REAL AKIBA BOYZ」のメンバーとしても知られる“けいたん”こと榊原敬太(さかきばら・けいた)さんに全4回に渡って、お話をお伺いしました。

前回までの記事はこちら→ 大手企業の内定を辞退し、事業家としての道を歩み始めたけいたんのダンス界への想い

ニコニコ動画、踊ってみた…けいたんのインフルエンサービジネスの原点とは?

レペゼン:
ダンサー、そしてライターとして活動される中で、現在行われているダンサーやクリエイターのプロデュース事業を拡大されていった流れを教えてください。

けいたん:
僕はUK B-BOY CHAMPIONSHIPやFREESTYEL SESSIONでの実績がでてきた2010 年頃には、ダンスバトルに出 なくなったんですね。ダンスバトルって、お金を払ってダンスをさせてもらうイベントなわけじゃないですか。でもダンスを仕事をするには、「見てもらっ て」お金をもらわないといけないわけで。ダンスを「仕事」にする上で、ビジネスで一 番大事なマネーロジックが反転してるなぁと思ったんです。

レペゼン:
なるほど。

UK B-BOY CHAMPIONSHIP ・・・
イギリス・ロンドンで行われているブレイクダンスをはじめオールドスクールのダンス世界大会。

FREESTYEL SESSION・・・
1997年にアメリカで始まった世界一のCREWを決めるダンスバトルの大会

けいたん:
ダンスバトルで優勝しても、普段やっているイベントで賞金1~2 万、ジャッジでも高くて 3~5 万とかってギャラで。でもやっぱ何かをすることによってちゃんとお金をもらえる ようにしていくっていうのが必要だなと。今もうちの会社でそういう仕組みを作ってる
ところですが、当時はダンサーをタレントにしていきたいなと思い始めた頃でしたね。

レペゼン:
当時はそんな人ほとんどいなかったですもんね。

けいたん:
で、最初は2006〜7年に高田馬場でダンススタジオをやっていたんですけど、その後、2011年の後半ぐらいからニコニコ動画の人気者だけを集めたバーを始めて。そこで今インフルエンサーマーケティングって言われてるものの可能性に気づいたのがスタートかもしれないですね。

レペゼン:
SNSで人気のあるクリエイターに商品の宣伝を依頼するという?

けいたん:
そうそう。ニコニコ動画の人気者に「踊ってみた」や「歌ってみた」をやってもらうと、音楽のプロモーションになるし。あとはカラオケ業界。新機種が出た時に、歌ってみた動画が得意な人にこのカラオケ動画を上げてほしいとか。そういう需要って当時からあって。バーを経営している中で、そういった市場の可能性に気づいたって感じかな。

レペゼン:
けいたんさん自身も当時から動画をアップされてたんですか?

けいたん:
アップしてましたね。
初めてアップしたダンスの動画が再生数100万超えたんです。

レペゼン:
すごい!!

けいたん:
その後に出した動画も、数十万単位の再生数で。
なんとなく自分の中でこれが当たるなみたいなのはわかるようになりました。

アキバ系B-Boy!?REAL AKIBA BOYZ結成ストーリー

レペゼン:
今では登録者数60万人を超えるYouTuber「REAL AKIBA BOYZ」もプレーヤー・クリエイターとして大活躍ですが、活動を始めたのもそのあたりですか?

【オタクカルチャーとブレイクダンスを融合させたエンタメ集団「REAL AKIBA BOYZ」】

けいたん:
そうですね。

メンバーとの出会いは2003〜5年くらいです。

レペゼン:
その辺ってどういうストーリーなんですか?

けいたん:
単純にB-Boyでオタクのやつがいたってだけです。
アニメやオタク文化について話せるやつが今のメンバーしかいなかった。

レペゼン:
出会いはB-Boyとしてですか?

けいたん:
そうそう。バトルの会場や練習場所とかで会ってて。
当時ガラケーじゃないですか?それで待ち受けがアニメだったりして、話が盛り上がって。

レペゼン:
なるほど!
そこからニコニコで投稿したりすると?

けいたん:
そうそう。それこそ一番最初に投稿した動画は自分たち主催のダンスバトルですよ。
自分たちもバトルに参加しつつ、決勝前にインターバルがあるから、そこで「ハレ晴レユカイ」を踊ろうぜとかいって。

レペゼン:
当時衝撃でしたよね。
ダンス業界的にはどんな受け入れられ方だったんですか?

けいたん:
厳しかった、すげえ厳しかった。

レペゼン:
そうなんですね…

けいたん:
やっぱりヒップホップ的にはあまりオタク文化と融合させるのはよろしくないという意見もあったりして。結構大変な時もありました。

レペゼン:
今はどんな感じなんですか?

けいたん:
理解してもらうには、すごく時間がかかりましたが、最近では受け入れられてきているのかなと。
あとやっぱり支えてくれてるファンの力が大きいですね。

レペゼン:
主催されてるライブもすごい人気ですもんね。

けいたん:
ありがたいです。
東京ドームシティホールやZepp、そして中野サンプラザとかお客さんが集まってきてくれるのは本当に感謝だし、続けてきて良かったなって思ってます。

ヒップホップをZ世代に届けた「合法的トビ方ノススメ」

レペゼン:
カルチャーを社会と繋げたり、大衆に届けたりしているけいたんさんが最近、気になるアーティストとかいますか?

けいたん:
やっぱりCreepy Nuts(クリーピー・ナッツ)かな。
日本のヒップホップを、一般の人がマジで聴きやすいよねっていうのを作ってくれたのは、彼らだと思ってるんですよ。

レペゼン:
なるほど。

けいたん:
曲を選ぶと何だろうな。やっぱりガチガチのフリースタイラーだったR指定がちゃんとメジャーに上がったところを見た「合法的トビ方ノススメ」かな。

レペゼン:
かなりヒットしましたもんね。

けいたん:
メジャー感のあるヒップホップを、J-POPの中でちゃんと聴かせてくれた最近の曲だとそれかなと。
オレたち世代だとDragon Ash(ドラゴン・アッシュ)とかになるけど、最近の子たちが見るんだったら、Creepy Nutsですよね。「合法的トビ方ノススメ」はヒップホップっていうカルチャーを今のZ世代の子たちも知ってくれたようなきっかけを作った曲な気がしますね。

 

ダンサーとしてパフォーマンスする立場から、プロデュースする側へ移っていったけいたんさん。次回はけいたんさんが思う大衆文化としてのオタク文化とヒップホップカルチャー、そして次なる目標について聞いていくよ!お楽しみに!

プロフィール

  • 榊原敬太(さかきばら・けいた)

    榊原敬太(さかきばら・けいた)

    ISARIBI株式会社をはじめ、10社の取締役を兼任し、ビジネスパーソン、エンターテインメントプレイヤーの両側面で活躍する踊れる事業家。動画共有サービスがユーザーに浸透した黎明期より活躍し、現在は60万人超の登録者を誇るYouTuber 「RAB (リアルアキバボーイズ)」のメンバーでもある。 最近では津軽三味線アーティスト吉田兄弟の20周年記念公演『吉田劇場』や、日本発のプロダンスリーグD.Leagueに所属する『KOSÉ 8ROCKS』のプロデュースを行うなど、ジャパンカルチャーと最先端のクリエイションをボーダーレスに展開するクリエイティブプロデューサーとして活動の幅を広げている。