レペゼン:
今の日本のストリートシーンをどう思いますか?
長嶺信太郎:
良くも悪くも今は、SNSを中心としたオンラインの時代だと思うんですよね。
だから本当のストリートがないって言うかなんて言うか。
レペゼン:
なるほど。
長嶺信太郎:
ある意味、今のストリートはスマホの中にあって、現場にはないんじゃないかなって思ってます。
僕たちは今では使ってるけど、昔はインスタグラムなんてなかったので、最初はなかった物として付き合ってるけど、今の人たちって最初からそれがあると思うんですよ。
レペゼン:
そうですね。
長嶺信太郎:
だからそっちがリアルで、そっちの方が重要になっちゃってるんじゃないのかなと思います。
洋服とかも別に買わなくても良くて、1回写真撮ってSNSに上げれば、もう同じ服を着る必要もないって感覚を持ってる人達が多いんじゃないかな。
レペゼン:
それはすごく分かります。今はSNSでどう見られるかが重要って感じですよね。
長嶺信太郎:
ストリートって定義自体が曖昧だから難しいけど、俺が20代の時に感動した世界ってのは、今は本当のリアルにはあまりない気がします。
逆にSNSをディグってる方が、そこに辿り着く可能性があるんじゃないのかな。だからってSNSが悪いとは言うつもりはないんですけど。
レペゼン:
SNSには良いところもありますよね。
長嶺信太郎:
そう。それのおかげで今は簡単に世界と繋がれるし、僕らが若かった頃には存在しなかった物だから、素晴らしい事だと思います。
ただ、その事によって現実世界にリアリティが薄れちゃってる気もしてます。
レペゼン:
長嶺さんにとって、ストリートの定義とはなんだと思いますか?
長嶺信太郎:
ストリートブランドって呼ばれる物とそうじゃない物とあると思うんですけど、今はその定義もゴチャゴチャだと思うんですよね。
例えばルイ・ヴィトンを「OFF-WHITE(オフ・ホワイト)」のヴァージル・アブローが手掛けてるけど、決してストリートファッションではないなと思うんですよ。
レペゼン:
確かに。
長嶺信太郎:
キャップだったり、ビックシルエットのTシャツとか作ってる物のスタイルとしては、ストリートと言われる物ですけど、ルイ・ヴィトンって時点でストリートブランドではないじゃないですか。
レペゼン:
ラグジュアリーブランドですよね。
長嶺信太郎:
だから、そういうジャンルみたいな物もなくなってるし、ストリートの定義ってのは難しいですけど、敢えて言うなら「インディペンデントである事」ですかね。
個人で独立して、自分の力でやっているかどうかです。
レペゼン:
なるほど。力強い言葉ですね。
その中で稼ぐために必要な事はなんだと思いますか?
長嶺信太郎:
インディペンデントの強みは、インディペンデントである事だと思います。つまり、どこかに所属してとか企業に縛られる事もない。
当然ストリートにもクルーとかチームってのはあったりするけど、個人個人が独立した個の集合体であって、集合体の中でしか出来ない奴はストリートじゃないと思うんですよ。
レペゼン:
なるほど。集合体から離れて個になっても自力で出来ないとダメって事ですね。
長嶺信太郎:
例えばA$AP Mob(エイサップ・モブ)もRocky(ロッキー)がいて、Ferg(ファーグ)がいて、Bari(バリ)がいてMobってクルーではあるけど個々が独立して皆別の事をして、それぞれがちゃんと活躍してる。
その状態がストリートの状態であって、カッコいいしインディペンデントである事だと思う。
レペゼン:
分かりやすいですね。
長嶺信太郎:
企業や集団でしか動けない人には絶対に出来ない動きだと思うし、ブランドや音楽とかもそうだけど、色んな人にお伺いをたてて作らなきゃいけないって企業の弱みだと思うんですよ。
ただ、絶対的な集団の強さが企業にはあります。個人でやってるストリートの奴が勝つには、その人達には出来ない事をやるしかないんですよね。それが必要だと思います。
レペゼン:
集団には出来なくて、個ではできる事ってのいうは例えばどんな事ですか?
長嶺信太郎:
難しいですけど、コンプライアンスみたいな物ばかりを遵守してる所には絶対に出来ない動きをするだとか。失敗しても犠牲を払うのは1人なので。
あとファッションに関していえば、本当にカッコいいと思う物を、追求して作り続けるってのが大事だと思うんですよね。
レペゼン:
企業や集団だと自分だけの責任じゃ済まないですからね。
長嶺信太郎:
企業の中に入ってると、やっぱり売れるものを作ろうとか、原価率を下げてこういう物を作ろうとか、本当はダサいと思ってるのにやらされてる事が沢山あると思うんですよ。
僕はそれをやる必要のない状態にいるし、そう動けるのが自分達の強みだから、これで勝負するしかないかな。
レペゼン:
勝負の出来るインディペンデントっていう土台に上がって、あとはトコトン好きな物を追求してやっていくって事ですね。
長嶺信太郎:
ただブランドが大きくなると、インディペンデントじゃなくなって、そういう動きができなくなる時期が来ると思うんですよ。
そうなったらもうス
トリートじゃないのかもしれないけど、その中での闘い方ってのがまたあると思うので、その時はまた考えれば良いだけです。
レペゼン:
その都度状況は変わるので、変わった時にまたやり方を考えれば良いですよね。
長嶺信太郎:
そうです。どっちが良い悪いではないですからね。
▼長嶺信太郎 Instagram:hatch_mamf
el conductorH Instagram:el_conductorh
Interview:ABE HONOKA
日本のストリートをレペゼンしよう。