KIKUMARUの考えるヒップホップとストリート/ラッパーKIKUMARU⑤

現場でしか感じられない物をどれだけ知り、通ってきたか

ライター:レペゼン君

レペゼン:
今のヒップホップやストリートシーンについてどう思いますか?

KIKUMARU:
よくも悪くも流行ってますよね。
テレビでMCバトルをやるようになって、ヒップホップの認知が広がったりとかクラブでも踊る人が増えて、良い部分もいっぱいあると思います。
ただ日本のテレビだけでヒップホップを判断するのはやっぱり違うなって思います。

レペゼン:
テレビだけの判断は良くないですよね。

KIKUMARU:
入口が広くなる分には良いと思うんですよ。それで自分たちの認知度が上がっている部分もあると思うので。
ただ、結果よりも過程が大事だと思うんですよ。その過程が良いものは良いし悪いものは悪い。

レペゼン:
「過程」ですか?

KIKUMARU:
良し悪しの基準って、「リスナー」と「作る側」とで違うと思うんですけど、「作る側」が「リスナー」に寄せて妥協しちゃうのは良くないですね。その制作の過程のことです。

レペゼン:
なるほど。

KIKUMARU:
自分たちは若い頃から先輩たちのラップを聞いてインスピレーションを受けて、それに海外のヒップホップも好きでいっぱい聞いて今の形があると思うんですよ。

レペゼン:
確かにそうですよね。

KIKUMARU:
例えばMTVの映像で、Puff Daddy(パフ・ダディ)がニューヨークのマディソンスクエアの上に乗ってラップしてて、これはヤバイだろって。「こんな事出来るんだ!」って衝撃は今の日本では見られないですね。

レペゼン:
それは確かにそうですね。

KIKUMARU:
自分の見てきたヒップホップは、そういう”Puff Daddy的な物”だったので、テレビの中は全てじゃないって言いたいですね。

レペゼン:
そうですね。基準は下げてはダメですよね。

KIKUMARU:
音楽って常に変わっていくものだと思うし、だから10年前に自分たちが聴いてた音楽と今の音楽は全然違うと思うし。”10年経っても良いって言われる本物を作る”ってことを考えると、そう思いますね。

レペゼン:
KIKUMARUさんが思うストリートの定義は何だと思いますか?

KIKUMARU:
そうですね…色々あるんですけど、「服」がかっこいいやつってストリートだなって思いますね。

レペゼン:
なるほど!!

KIKUMARU:
ヒップホップって、そういう奴多いと思うんですけど、自分は当時の50 cent(フィフティ・セント)やEMINEM(エミネム)みたいに”大きい服”から入った部分もあるんですよね。

レペゼン:
そういう人多いと思います!!

KIKUMARU:
自分たちは中学校の時から私服だったんですけど、毎日同じ服をきてる奴はフレッシュじゃないとも思ってたし。ブランドで言うとSean John(ショーン・ジョン)とかRocawear(ロカウェアー)とか大きい服を着てる奴がかっこよかったし。
あとは、「渋谷のあの店を知ってる!」とか、「ここは赤でも渡ってOKな信号」みたいな感じで、その街をどれだけ知ってるかとか、そういう奴ってストリートじゃないですか?

レペゼン:
その通りですね!!

KIKUMARU:
小さいかもしれないですけど、そういう事に対してこだわりを持てる人って、その人の周りへの影響力にも繋がってくる部分だと思うんですよ。

レペゼン:
うわーなるほど!

KIKUMARU:
あとは、家やネットじゃなくて、現場でしか感じられない物をどれだけ知ってて、通ってきたかってのが、ストリートの基準じゃないですかね?

レペゼン:
では、そのストリートで稼いでいくために必要だと思う要素は何かありますか?

KIKUMARU:
KANDYのMIKI(ミキ)のアルバムに入ってる曲「Problems」のMUD(マッド)のリリックで、「間違いないのはクリーン、だけどブラックもリアル」っていう部分があるんですけど、まさにそういう事だと思います。

レペゼン:
と、言いますと??

KIKUMARU:
まずはクリーンにやる事。でも「ブラックもリアル」。この”ブラックの感覚”を知ってる事ですかね。そこが何かってのはストリートで生きてきた奴しか分からない事だと思いますけど。

レペゼン:
うおー!!その”ブラック”を理解して行動をするって事ですね。

KIKUMARU:
そうですね。
本当に刺さるバースで、その一言で何がストリートで、ストリートをどう生き抜くかってのを表してると思います。

レペゼン:
KANDYTOWNにはすごい仲間がいっぱいいますね。

KIKUMARU:
そうですね。その仲間も大事な要素ですね。

レペゼン:
良い仲間に恵まれるっていう事ですか?

KIKUMARU:
俺らの場合、仲間が”間違いない奴ら”なんで、仲間に認められたら世間にも認められるんですよ。だからリリックも世間に対して何が言いたいとかよりも、フッドを目がけて書いています。そうすると自然にいいものになるんで。

レペゼン:
その信頼と自信、KANDYTOWNの強さがにじみ出ています。

…続く。

KIKUMARU Instagram:kikumaru_kandytown

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