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「ストリートヘッズのバイブル」では音楽や文化の知識を知ることができる映画や本を紹介していくよ!今回取り上げるのは、ヒップホップ史上最も偉大なプロデューサーの一人、Kanye West(カニエ・ウェスト)の軌跡を21年間に渡って撮影したドキュメンタリー映画『jeen-yuhs カニエ・ウェスト3部作』。
『jeen-yuhs カニエ・ウェスト3部作』とはどんな映画?
カニエ・ウェストのキャリアと人生を約21年にわたって追った3部構成の作品。シカゴのローカル・プロデューサーから世界的なスーパースターへと成り上がっていくカニエを、初期のカニエのミュージック・ビデオを多く手がけた映像作家、クーディ・シモンズとチケ・オザによって記録された映像を元に構成されたドキュメンタリーだ。
①“天才”カニエ・ウェストの
21年間の密着映像
やはりなんと言っても見所はカニエがまだ駆け出しの時代から密着した貴重な映像。
第一部ではシカゴの新進気鋭の若手プロデューサーとしてシーンに認知され始めたカニエが、徐々にシーンで認知され、ヒップホップレーベル、Roc-A-Fella Records(ロカフェラ・レコーズ)との契約する流れ、第二部ではカニエの人生観を大きく変えた交通事故、そして第三部ではスーパースターになったカニエのその後を描く。
今では世界的なスーパースターであるカニエの原点、そして彼の葛藤や知られざる苦労を知ることができる貴重な映像作品なんだ。
②母ドンダ・ウェストとの深い絆
カニエと彼のお母さん、Donda West(ドンダ・ウェスト)との深い絆が見れるのもこのドキュメンタリーの大きな魅力。大学の英語教師だったドンダはカニエが小さい頃に離婚、カニエを引き取り、シングルマザーとして息子を育て上げた女性だ。
そんなお母さんをカニエは深く尊敬しており、2021年リリースの10枚目のアルバムでは、お母さんの名前である“Donda”をタイトルにつけるほど。特にカニエがアーティストとしてなかなか上手くいかなかった時期に彼を精神的に支えたお母さんの明るさ、そして愛情を当時の記録映像から感じることができる。
③ “Izzo”、“Through the Wire”…
あの大ヒットソング制作の裏側
音楽ファンからするとたまらないのは、カニエの名曲の制作の裏側を知ることができること。特にロカフェラ契約からJAY-Zの『The Blueprint』のプロデュース、そして重傷を負った交通事故の経験から、名盤とされるカニエのファースト・アルバム『The College Dropout』のリリースなどカニエの音楽キャリアのスタートの部分の裏話をカニエ自身の映像、そして当時の関係者のインタビューから知ることができるのはヘッズとしてはたまらないよね。
④人間、カニエ・ウェストの葛藤や苦悩
現在もメンタルヘルスの状態について度々話題になるカニエだが、このドキュメンタリーでは人間、カニエ・ウェストの知られざる内面的苦悩も映し出されている。音楽神“イーザス”として世界の音楽シーンのトップに君臨し、新しいサウンドを生み出し続ける一方、カニエが抱え続けた精神的な課題、そしてハードな音楽業界で生き抜いていく上での葛藤をできる限り覆い隠すことなく、ドキュメンタリーとして、可能な限りありのままのカニエの姿を映し出しているんだ。
⑤カニエと監督の友情の物語
本作の監督であるクーディ・シモンズはカニエのキャリア初期から彼を撮影し続けた人間であると同時に、カニエの友人でもある。友人だからこそ撮れたカニエの姿は、単なるアーティストとしてではなく、一人の人間としての彼の魅力や弱さを浮き彫りにしているんだ。また21年間という長い年月の中でクーディはカニエと疎遠になってしまう時期がある。そこで撮影はストップするのだが、ひょんなことがきっかけで再びクーディはカニエのドキュメンタリーを再開することになる。そのあたりもリアルさも含めてこのドキュメンタリーは、世界の音楽史に大きな影響を与えた天才アーティストの記録映像であると同時に、ある二人の男の友情の物語でもあるんだ。
画像出典元:Netflix