レペゼン千葉の生粋のB-Girl。ブレイクダンサー、KONAとは?

女の子らしく踊るってなに?辿り着いたのは“自分が自分であることを誇るB-Girlイズム”

ライター:TARO

カルチャーを通して人の心を強く揺さぶり続ける人達がいる。
彼らは何故、今の仕事を選んだのか?このコーナーではカルチャーに関わり続けるプレーヤーたちの過去から現在まで続くキャリアを紐解いていきます。

第22回は、ヒップホップバイブス溢れるダンスムーヴで、シーンで圧倒的な存在感を放つ若手B-Girl KONAさんです。

レペゼン千葉の生粋のB-Girl。ブレイクダンサー、KONAのカルチャー・キャリア

レペゼン:
今日はお時間をいただきありがとうございます!まず最初に、簡単な自己紹介と普段の活動について教えてください。

KONA:
ブレイクダンサーのKONAです。所属クルーは「ROCK IT DOWN 」。今、20歳で、出身は千葉県の長生村(ちょうせいむら)です。
ブレイキンは7年半くらい続けています。普段は大学に通いつつ、千葉でダンスインストラクターとして小さい子たちに教えたり、「ダンサーズコレクション」というお店で働いていて、ダンスウェアなどを製作しています。

レペゼン:
ありがとうございます。
地元の長生村はどんな場所なんですか?

KONA:
本当に「村」なんですよ笑
海が近くて、サーフィンが盛んな場所です。実は私、両親がサーファーで。

レペゼン:
サーファーのご両親!かっこいい!

KONA:
元々両親は私にサーファーになって欲しかったみたいなんです。
なので幼少期はサーフィンも少ししていたんですけど、当時はサーフボードに乗るのが怖くて笑
他にもスケボーとか、けん玉もやらされたりしていましたね笑

レペゼン:
いつ頃からブレイキンに興味を持ったんですか?

KONA:
ブレイキンを始めたのは13歳のときです。それまで体操もしていたんですが、体操のスタジオ経由にダンスイベントに行って、ブレイキンを見かけたんです。「これだ!」と思って、弟二人と一緒に始めました。

レペゼン:
三兄弟で!良いですね。

KONA:
家のリビングでひたすら側転でサイファーしてました笑

レペゼン:

レッスンには通われていたんですか?

KONA:
最初は地元の先生に教えてもらって、その後現在「D.LEAGUE」のKOSÉ 8ROCKSで活躍されている2GOOさんに1年ぐらい教えてもらっていましたね。お母さんがいつもお弁当を作ってくれて、送り迎えしてくれて。本当に感謝しています。

レペゼン:
良いですね。その頃からバトルには出ていたんですか?

KONA:
始めて3か月くらいで初心者向けのバトルに出ました。三兄弟で「世界を目指す」って約束して、じゃバトルに出ようってなって。でも当時、ブレイキンではバイト(他の人のムーヴをパクること)をしたらいけないってことを知らなくて。ルールもよくわからずに、調子に乗ってB-Boy NORIさんのバイトを思いっきりやっちゃったんです笑
その時、ジャッジがAmiさん(パリ五輪金メダリスト)だったんですけど、大爆笑されました笑
でも逆にその感じが気に入ってもらえたみたいで、その時個人賞をいただいて笑
それ以来、ずっと可愛がってもらっています。

レペゼン:
Amiさんとの出会いが大きかったんですね。その後もバトルでは結果を出していったんですか?

KONA:
ある程度は。ただ私の場合はスキルよりもメンタルで勝っていたのかなと。
強気なスタイルだったので、よく「私のバトル姿が怖い」って言われていて。相手をめっちゃ睨むんです笑
それで相手がビビって失敗しちゃうこともあって。

レペゼン:

優勝などもされていたんですか?

KONA:
中学2年生の時に出た大会で初めて優勝できたんです。
140人くらい参加していた全年代のフルトーナメントの大きな大会で。
しかも決勝戦では弟と対戦して。

レペゼン:
すごい!兄弟での決勝戦なんて、特別ですね。

KONA:
そうなんです。しかも大人も参加していた大会で勝てたので、それがすごく自信になりましたね。

女の子らしく踊るってなに?辿り着いたのは“自分が自分であることを誇るB-Girlイズム”

KONA:
バトルにでていく中で、周りから「女の子らしさ」について、いろんなことを言われることが増えて、結構悩んだ時期もありましたね。ある時「女の子なんだから、そんな強気なスタイルじゃなくて、綺麗で軽やかで、女性らしさを意識した方が良い」って言われたことがあって、メンタル的にかなり落ち込んだこともあります。私は男の人に勝ちたいと思ってやってきたので、それがかなりきつくて。

レペゼン:
つらいですね。

KONA:
そうなんです。でも、そんな時に父が「自分のスタイルを大切にしろ」と言ってくれて。それで自分のやりたいスタイルを貫くことに決めました。父に「絶対にKONAの時代がくるから」って言われて、本当にそこで諦めないで良かったと思っています。

レペゼン:
自分のバトルスタイルの武器は何だと思いますか?

KONA:
自分の武器は「強気なアティチュード」だと思っています。ブレイキンではもちろんスキルも必要ですが、バトル中の「姿勢」や「表現力」がすごく大事。相手の目をしっかり見て、エネルギーをぶつけ合うのが私のスタイルです。どれだけ自分をレペゼンできるかが勝負だと思っています。

レペゼン:
間違いないですね。

KONA:
技術ももちろん大事ですけど、それだけじゃ勝てないこともあるので。

ヒップホップカルチャーを教えてくれた先輩たち

レペゼン:
影響を受けたダンサーさんやアーティストさんはいますか?

KONA:
バトル的にはKATSU ONEさんですね。昔は大会でよくついて回っていて。
ヒップホップカルチャーを教えてもらいました。ずっとサイファーをしてもらっていましたね笑

レペゼン:
良いですね!

KONA:
あとはアーティストとしては、父に見せてもらった映画「8 Mile」で知ったEminemですね。「Lose Yourself」を聴いたのが最初のヒップホップとの出会いでした。その後、特に衝撃を受けたのが高校生の時に聴いたWu-Tang Clanの「C.R.E.A.M.」。
「カッケーっ!!」てなって。ウータンのライブ動画で、彼らが「C.R.E.A.M.」を歌っているのを観て、その熱量に圧倒されました。あとは、お客さんの上がり方に「これはなんだ!」と思って。それ以来、ヒップホップの音楽や文化を深く学ぶようになりましたね。それが今の自分のダンススタイルにも反映されていると思います。

レペゼン:
今バトルで自分が踊るならヒップホップとファンクどちらに上りますか?

KONA:
ヒップホップですね。
ブレイキンのバトルでヒップホップが流れると、DJさんに「ありがとう!」って感じになります笑

Mighty Zulu Kingsという大きな目標、そしてヒップホップ文化への愛

レペゼン:
今後の目標やビジョンはありますか?

KONA:
ブレイキンを始めた頃から、ずっとMighty Zulu Kings(MZK)に入りたいと思っていて。
MZKはヒップホップの歴史的にも重要なクルーで、KATSU ONEさんも所属しているんです。元々はギャングのクルーだから、入るのは簡単じゃなくて。まずプロスペクト(見習い)になって、その後、サイファーなどを通して実力を認められたら、正式にファミリーになるという流れなんです。今自分はやっとプロスペクトになることができたという感じです。

レペゼン:
やばすぎます。Mighty Zulu Kingsはヒップホップの中でも伝説的な存在ですよね。
プロスペクトの時点で凄いです。

KONA:
もしサイファーの召集がかかれば、ニューヨークに行ってバトルに挑むつもりです。MZKに入ることは自分の大きな目標の一つですし、その経験を通じてもっとヒップホップの本質を感じ、伝えていきたいです。

レペゼン:
アツいです。

KONA:
今、ブレイキンはオリンピックなどの影響ですごく盛り上がっていて、私もそれはすごく良いことだと感じていて。
でも私はどっちかというとスポーツ的な部分より、カルチャーの部分が好きなんです。もちろんブレイキンを通じて競い合うのも良いんですけど、やっぱりクルーで踊ったり、パーティーをみんなで開いて楽しんだりする文化としてのブレイキンをもっと広めていきたいと思っています。

レペゼン:
素晴らしい目標ですね。今日は本当にありがとうございました!

KONA:
ありがとうございました!

プロフィール

  • KONA

    KONA

    2004年生まれ。千葉県出身。レペゼンROCK IT DOWN CREW。キッズ時代より数々のバトルイベントで確かな実績を残す実力派若手B-Girl。カルチャーへの愛と知識に裏打ちされたバトルスタイルは唯一無二。ブレイキン界における最高峰のバトルイベント「RedBull BC ONE JAPAN B-Girl部門」、日本トップレベルのブレイクダンサーが集う「THE JAM」FINALIST。

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