ヒップホップが流れる和菓子屋「たんの和菓子店」とは?

手仕事で年間300種類、色とりどりの生菓子をJazzy Rapと楽しむ

ライター:TARO

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアや仕事について全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月のゲストは横浜市金沢区で和菓子屋「たんの和菓子店」を開かれている丹野 耕太さん・ひかりさんご夫妻にヒップホップキャリアをお伺いしました。

前回の記事はこちら→ DJから屏風作りへ。異色の職人、片岡 孝斗とは?

ヒップホップ好き和菓子職人が開く「たんの和菓子店」とは?

レペゼン:
自己紹介をお願いします。

丹野 耕太:
和菓子職人の丹野 耕太(たんの・こうた)です。高校卒業から和菓子作りを始めて、もう25年ぐらいになります。現在は、横浜・金沢区で「たんの和菓子店​​」というお店を開いています。
ヒップホップが好きで、お店でもよく流しています。

丹野 ひかり:
妻のひかりです。お店では、製造と販売を担当しています。
よろしくお願いします。

レペゼン:
ありがとうございます。ご夫婦で和菓子屋をされており、ヒップホップがお好きということで、インタビューさせて頂くのを楽しみにしておりました。まずは経営されている「たんの和菓子店」について教えてください。

丹野 耕太:
お店の場所は京浜急行線の金沢文庫駅から歩いて5分ぐらいの場所にあります。特に季節の上生菓子という、お茶席で使うお菓子を多くとりそろえていて。
季節に合わせてデザインなどを変えていくお菓子なのですが、1か月で20〜30種類を入れ替えて出しています。年間にすると300種類ぐらい作ってますね。

レペゼン:
年間300種類!?すごい数ですね!
それって和菓子業界では普通のことなんですか?

丹野 ひかり:
珍しいと思いますね。よその和菓子屋さんだったらワンシーズンに4種類ぐらいです。
だから結構、同業の方が見てもびっくりされます。
しかも全部手仕事なので笑

丹野 耕太:
こんな売れんのかよって言われますね笑

レペゼン:
素人目に見ても、こんな繊細なお菓子を作るのって凄く大変だとわかります。
なぜそんなに多くの種類を作っているんですか?

年間300種類 手仕事で生まれる色とりどりのお菓子

丹野 耕太:
元々、僕たちのお店って、金沢区にあった老舗のお菓子屋さんがお店を畳む際に引き継いだことがスタートなのですが、そこが多くの種類の上生菓子を置くスタイルだったんです。茶道の先生達を相手にしていた和菓子屋さんで。そのスタイルを引き継いでいる感じですね。

丹野 ひかり:
茶道の先生って週1でお稽古されていて、大体月4回ほどいらっしゃるんですけど、「このデザインも使って、このデザインも使った」っておっしゃるんですよ。そうするとこっちも負けじと色々変えていかなきゃいけないなと。

レペゼン:
そうか、毎回のレッスンで違うお菓子を使う必要があるから、常に新しい種類のお菓子が必要なんですね。

丹野 耕太:
そうなんです。でもやってるうちに新しいデザインを考えるのも、結構楽しくなってきちゃって笑
最近はインスタでも発信してるんですが、それで若い方も興味を持って、来てくれるようになってきてますね。

丹野 ひかり:
夫はインスタや写真のこだわりがすごくて。オシャレなカフェとかの情報を入手するのもすごく早いので、私はOLって呼んでます。

「たんの和菓子店」のインスタはこちら

レペゼン:

でも本当にお店もオシャレですし、若い方も入りやすい雰囲気ですよね。

丹野 耕太:
ありがとうございます。特にうちの場合は、毎回来るたびに商品が変わっているので、そこが結構楽しいし、飽きないのかなと思いますね。

The Rootsが流れる和菓子店

レペゼン:
お店ではヒップホップをかけているということですが、特にどういった曲をかけているんですか?

丹野 耕太:
ファンクやジャズサンプリングのヒップホップが多いですね。特にお気に入りなのは、The Roots(ザ・ルーツ)の「What They Do」です。The Rootsは昔から好きで、前回の日本公演も行きましたね。

【The Roots – What They Do】

丹野 耕太:
あとやっぱりMadlib(マッドリブ)は好きですね。色んな振り幅があってアルバムごとに違うんで。
最近の作品だと「Road of the Lonely One」とか結構好きですね。

【Madlib – Road of the Lonely Ones】

レペゼン:
和菓子屋での選曲って難しそうだなと思ってたんですが、結構チルい感じのビートが和菓子には合うんですかね?

丹野 耕太:
そうですね。ちょっと温かみのある音源が合うかなと。The Rootsもそうですね。A Tribe Called Quest(ア・トライブ・コールド・クエスト)あたりもかけますね。

レペゼン:
Public Enemy(パブリック・エネミー)とか流れてもちょっと違いますもんね。

丹野 耕太:
そうですね笑
ただ正直あんまり気にしてはないです。お客さんとかも結構面白がって聴いてくれるんで。
こないだお土産でRun-D.M.C.(ラン・ディーエムシー)のフィギュアをもらったんですよ。それを三体店に飾ってて。そしたら、やっぱラン・ディーエムシーかけたくなっちゃって。

レペゼン:
なりますよね。

丹野 耕太:
それで音デカめにかけていたら常連さんが「これ懐かしいです」って言ってくれて。それで話が広がったりしますね。あとは、これはヒップホップ関係ないですが、作業的に頑張りたい時はハウスをかけますね。

レペゼン:
BPM早めの?

丹野 耕太:
そうです。自分を焦らせる感じですよね。
ただ妻は嫌がるんですが笑

丹野 ひかり:
なんかつられちゃうんですよね。
BPMに合わせなきゃいけないってなって、逆に集中できない笑

レペゼン:

次回は丹野さんの修行時代や工場長時代の話、そして初めて聴いたヒップホップを聞いていくよ!お楽しみに!

プロフィール

  • 丹野 耕太・ひかり

    丹野 耕太・ひかり

    横浜市金沢区で和菓子店「たんの和菓子店」を営む。夫・耕太さんは高校卒業後、横須賀の和菓子屋で約10年間修行、その後工場長を務めた後に独立。ひかりさんと共に金沢区の老舗和菓子店の店舗を引き継ぐ形で開業する。その後、現在の場所に移転し、「たんの和菓子店」をオープン。モダンなグレートーンの壁やカウンター、そして温かみのある木製のインテリアやアンティークといった従来の和菓子店のイメージを一新する内観に加えて、ショーケースに並ぶ色とりどりの季節の上生菓子と、耕太さんが選ぶジャジーなヒップホップサウンドが訪れるお客さんの五感を楽しませている。

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