ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアについて全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。
今月のゲストは世界的なDJの二大大会、「DMC」と「IDA」の両方で優勝した経歴を持つDJであり、現在は新潟県南魚沼市で米農家「こまがた農園」を経営する“DJ CO-MA”こと駒形宏伸(こまがた・ひろのぶ)さんにお話を伺いしました。全国区のお米コンテストでも優勝するなど、お米農家としてもチャンピオンになるという偉業を成し遂げている駒形さん。Vol.1では、DJとの出会いや世界一までの道のり、そして米作りへの熱い思いを語っていただきました。
前回の記事はこちら→ ゆりやんが考える、お笑いとヒップホップの共通項とは?アメリカズ・ゴット・タレントの裏話も紹介!
世界一のDJにして米農家としても活躍!駒形宏伸とは?
レペゼン:
自己紹介をお願いします。
駒形宏伸:
新潟県南魚沼市在住の駒形宏伸(こまがた・ひろのぶ)です。10年ほど前は、DJのコンテストによく出ていて、DMCやIDA*というDJの世界大会で、優勝したこともあります。今は米農家としてお米のコンテストに夢中でして、DJをやってた時ばりに農業に楽しさを見出して頑張っています笑
*DMC・・・Disco Mix Club が主催する世界最大のDJの大会。30年以上の歴史を持ち、多くの世界的DJを輩出している。
IDA・・・DJを「SHOW」として観客が見て楽しむことができるものにするというコンセプトの元に、行われている世界大会。
【DJ時代の駒形さん】
レペゼン:
2006年のDMC WORLD FINAL優勝、そして、2009年のIDA WORLD FINALではアジア人初の世界チャンピオンになられた駒形さんですが、現在は、株式会社・こまがた農園の代表取締役をされています。元々、ご実家が米農家をされていたのですか?
駒形宏伸:
そうですね。僕の家、駒形家に関しての書物があるのですが、その書物によると、1777年に先祖が家を建てて、農業を生業としていたと書かれていて。なので江戸時代の頃から250年ぐらいは続いているようです。
レペゼン:
素晴らしいですね。駒形さんは全国区でのお米のコンテスト「お米日本一コンテスト inしずおか」で最高金賞受賞、「米・食味分析鑑定コンクール」で 特別優秀賞などを取られているお米界でもチャンピオンになられていますが、お米の審査ってどうやって決めるんですか?
【米・食味分析鑑定コンクールにて】
駒形宏伸:
まず、応募された各ブランドを、お米のおいしさを測る機械で選別するんです。お米ってタンパク質の含有量や粒の綺麗さで味が左右されるので、そういったものを専用の機械で測って、スコアを出して、選別します。
レペゼン:
そんな機械があるんですね!
駒形宏伸:
そうなんです。そこで選別されたお米を、食味鑑定士をはじめとして、お米マイスターや、大会によってはミシュラン系レストランのトップシェフたちが実際に食べて審査をして選ぶって感じですね。
レペゼン:
すごいしっかりしたシステム!
大体どのくらいの数の品種から選ばれるものなんですか?
駒形宏伸:
大会によっては5000種ぐらい出たりしますね。
レペゼン:
5000種!その中で金賞って半端ないです。
駒形宏伸:
ありがとうございます。
DJと同じくらいこだわって作らせてもらってます笑
強豪ひしめく大会で、謎の米農家が世界チャンプに
レペゼン:
DJはいつ頃からされてたんですか?
駒形宏伸:
大学時代からなんで、2001、2002年ぐらいからですかね。友達に見せてもらったDJバトルのビデオに衝撃を受けて、のめり込みました。そこから自分の実力を試したくなってコンテストに出場し始めたっていう感じですね。
レペゼン:
出場し始めた頃の成績はどんな感じだったんですか?
駒形宏伸:
最初にI.T.F*って大会にでたんですが、そこで日本でベスト8までいくことができて。ちょっと自信になりましたね。
*I.T.F.・・・International Turntablist Federation。90年代から2000年代初期に開催されていた世界的なDJの大会
レペゼン:
初めての大会で日本ベスト8ってすごいですね!!
駒形宏伸:
それでDMCにも出てみたいなと。当時のDMCって本当にそうそうたるメンバーで。『DMC World Final 2002』でDJ KENTAROくんが大会史上最高得点で優勝したりとか。IZOHくんとかも出てた時期ですね。初めて出場したのが2004年だったんですけど、関東予選に出た時はみんなビデオで見てる人ばっかりだったので、人生で一番緊張したのを覚えてます笑
レペゼン:
笑
結果はどうだったんですか?
駒形宏伸:
2004年の関東予選は優勝しました笑
誰も僕のこと知らなくて。こいつ誰?みたいな感じだったと思います笑
レペゼン:
シーンとしてはかなり衝撃ですね笑
駒形宏伸:
そう言ってもらってましたね笑
で、その年はJapan Finalまで行ったんですが、入賞はできなくて。翌年の2005年も挑戦したんですけど、花形のシングル部門では負けてしまって…。それでバトル部門に出たら、Japan Finalで優勝できたんです。
レペゼン:
すごすぎる!!それで日本代表として世界大会に出場されたと?
駒形宏伸:
そうですね。ただ、その年の世界大会ではベスト8で負けてしまって。もう悔しすぎて来年リベンジしたいと思って、2006年にも挑戦したんです。その年のWorld Finalのバトル部門で優勝できたって感じです。
レペゼン:
すごい!!しかも米農家として働きながらですよね?
駒形宏伸:
そうですね笑
農作業中もずっとDJのルーティーンのこと考えてましたね笑
米農家DJが外せない 農作業中に聴くヒップホップソング
レペゼン:
米農家、そしてDJとしても活動されている駒形さんですが、農作業中に音楽は聴きますか?
駒形宏伸:
そうですね。最近は特に日本人のビートメイカーのインストを聴くことが多いです。
BROCKBEATSさん、EVISBEATSさんとかですかね。
レペゼン:
1曲選ぶとすると?
駒形宏伸:
農作業に合うなと思うのが、BROCKBEATSさんの「funky brother」ですね。
レペゼン:
どのあたりが農作業に合うんですか?
駒形宏伸:
BROCKBEATSさんの曲ってどのシチュエーションにも合うというか、僕の家の周りって山に囲まれた地域で。畑も田んぼも山に囲まれていて。BROCKBEATSさんの曲は凄く景色とマッチするんです。あとこれは良い意味で、BROCKBEATSさんの曲って聴き流すことができるので、なんかこうテンションが上がるっていうよりは、気分良く仕事ができるんです。
レペゼン:
良いですね!
駒形宏伸:
昔、DJやってた時は本当激しい曲ばかり聴いてましたけど、今はLo-fi中心ですね。
レペゼン:
駒形さんは曲を作られたりするんですか?
駒形宏伸:
作りますね。それこそ最近はBROCKBEATSさんと楽曲一緒にやらせてもらいました。
「Alternative」っていう曲で配信してます。
【Alternative】
レペゼン:
こちらも駒形さんが作った曲だからか、農作業に合いそうな曲ですね。
駒形宏伸:
ありがとうございます笑
ぜひ農業に携わる方にも聴いて頂ければと思います。
DJから米作りまで、徹底的にこだわり抜いたストイックさで挑戦し、シーンでの頂点を掴み取ってきた駒形さん。
次回はそんな駒形さんの挑戦の原点である学生時代、そしてDJやターンテーブリズムとの出会いについて深堀りしていくよ!お楽しみに!