ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアについて全4回に渡ってインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。
今月のゲストは日本のお笑い、いや世界のコメディシーンを背負って立つコメディアンであり、先日リリースされた「Awich -Bad B*tch 美学 Remix 」でラッパー顔負けのパンチラインをかまし、ヒップホップシーンでも一躍話題をかっさらった、お笑い芸人のゆりやんレトリィバァさん。Vol.4では今年大きな話題となった『Bad B*tch 美学 Remix』のリリック誕生秘話、そして海外への挑戦についてお伺いしました。
前回の記事はこちら→ ゆりやんが考える、お笑いとヒップホップの共通項とは?アメリカズ・ゴット・タレントの裏話も紹介!
『Bad B*tch 美学 Remix』のリリックが生まれるまで
レペゼン:
最近は特に、ヒップホップ業界でもご活躍のゆりやんさんですが、やっぱり今年は『Bad B*tch 美学 Remix』で大きな話題になりました。どういった経緯でAwichさんたちとコラボすることになったんでしょうか?
【Bad B*tch 美学 Remix】
ゆりやん:
何年か前に友達から「ねえ、Awichさんって知ってる?曲も最高やしMVも最高なんだよ」ってMVを見せてもらって。
それが『口に出して』のMVやったんですよ。最高すぎやん!って思って。曲も最高やし、MVもおもしろすぎるってなって。それで帰り道に他の曲も聞いてみたんですよ。そしたら、めちゃくちゃ心に刺さって。結構人に紹介された曲って、「全部が良い!」ってなることあまりないんですけど。「もう全部最高や!」と思って、大好きで。
それでインスタをフォローして、じゃあもう先にフォローしてくれてたんですよ、Awichさんが。
レペゼン:
めっちゃ良いですね!
ゆりやん:
それでメッセージを送りたいって思ったんですけど、もうすごすぎてメッセージなんか送ってはいけないと思ったんですよ。
すごい人すぎるから。しばらく黙ってたんです。勝手に見てるだけの時期があって。それでしばらくしてから「フリースタイルティーチャー」に出させてもらったんですけど、その審査員がAwichさんで。
レペゼン:
おお!
ゆりやん:
もうめっちゃ緊張して。そこで初めてお会いしたんで、それが2年前ぐらいでした。
それで、そのときに「ぜひ一緒に曲をやろう」って言ってくださって。めっちゃ嬉しくて。
そこから今年お話いただいたという感じです。
レペゼン:
すごいですね。やっぱりゆりやんさんのラップは特に印象に残ってますし、すごくヘッズの中でも話題になっていたと思います。
ゆりやん:
いやいや嬉しいです。
レペゼン:
リリックは全部自分で作られたんですか?
ゆりやん:
これ自分で書きましたみたいな顔してるんですけど、そんなことなくて。
レペゼン:
そうなんですか!
ゆりやん:
Awichさんにリモートで相談して。これまでの人生とか、自分が言いたいこととか、自分の美学とか、なんか言いたいことをとにかく箇条書きにしといてくれたら作りやすいよって言ってくださって。それで作って、こういう感じですみたいな。ベンツ一括で買いましたとか。
レペゼン:
あれ本当に買ったんですね。すごい。
ゆりやん:
はい。「一括で買ったベンツで帰宅」とか入れて作ってくれて。
それで「すいません、Shohei Ohtani、童貞総立ち、Shohei Ohtaniとか絶対入れたいです」みたいな。「それ入れよ」みたいな。
レペゼン:
笑
ゆりやん:
あと私のニューヨークでやったときのスタンダップコメディーのネタで、「なんで私の名前がレトリィバァか分かる?」っていうのがあるんです。それで「because My daddy is a dog and my mama is a bitch」みたいに言うんですけど、それをAwichさんが覚えてくださってて。「そのフレーズめっちゃいいから、頭に入れてカマそう」って言ってくださって。
他にも「血反吐 吐くほどの努力の結晶」で、「結晶」で踏めるとしたらお笑いの「決勝」も行っててみたいな。「じゃそれも入れよう」って。
「何度落ちてもまた登る決勝」とかなんか、そういう自分の今までの思いでAwichさんが韻踏んでくれたり、自分がこういうの入れたいから「入れましょう」って言ってくれたりして、とにかくAwichさんにかかれば私の人生ってこんなかっこよくなるんやっていう。
レペゼン:
じゃあ共同制作だったんですね。
ゆりやん:
そうなんですよ。それで「あの顔は絶対入れよ」みたいに言ってくれて。そういう感じで、やっていただいて、もうAwichさんすごすぎると思って。
レペゼン:
でもゆりやんさんの人生ありきのリリックですからね。
ゆりやん:
いやいや。もう本当に感謝してます。
本格的な海外挑戦。世界のゆりやんレトリィバァへ。
レペゼン:
今後は海外にも挑戦されるという感じなんですよね?
ゆりやん:
いかにも!
レペゼン:
これはいつから行くとかあるんですか?
ゆりやん:
来年に行きたくて。まだロサンゼルスにするかニューヨークにするかちょっと考えてるんですけど、お笑いもやりたいし、ゆりやんレトリィバァをジャンルにしたいです。
レペゼン:
激アツです。海外に行くっていうのはやっぱり昔からの目標というか?
ゆりやん:
そうなんです。昔から吉本新喜劇に入りたいとは思いつつ、映画も好きで。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が好きだったんで。とにかく『バック・トゥ・ザ・フューチャー』=アメリカ、アメリカ=映画、映画=英語みたいな。
アメリカで仕事したくて、映画に携わりたいと思ったんですけど、実際どっちにするか決めるときに、芸人になろうって決めて。まだそのとき、最初はネタだけをやるのが芸人だと思ってたんですけど、やらしてもらってるうちに好きなことが全部仕事になる職業をさせてもらってるって思って。じゃあアメリカというのは諦める夢ではなかったんだと思いまして、そこから。
レペゼン:
素晴らしい。ちょっとそんなゆりやんさんの、生涯ベストワンラップは何かありますか?
ゆりやん:
もうこれは、ちょっと待ってくださいね。決めかねるんですけど、『Bad B*tch 美学 Remix』は素晴らしいメンバーの皆さまと一緒にさせて頂いて、殿堂入りさせてもらってます。それ以外で言うとですよね。
もうAwichさんの曲も全部殿堂入りさせてもらってます。他の曲で言うと、やっぱりNas(ナズ)の『Hip Hop Is Dead』ですね。
レペゼン:
そこに帰ってくるんすね。
ゆりやん:
はい。その曲がやっぱり一番。Ying Yang Twins(イン・ヤン・ツインズ)とナズ、大学のダンスサークルに入った時の発表会の曲で、二つを一つにした曲で踊らせてもらったんですけど、『Hip Hop Is Dead』から入るんですよ。もうあれがやっぱり最高ですね。心が震えるというか。
お笑い芸人・ゆりやんレトリィバァのヒップホップ・キャリアとは!?
レペゼン:
アツい。いいですね。そこにダンスが絡んでくるのもすごい嬉しいですね。
ゆりやん:
SBC(大学のダンスサークル)が初めて私をヒップホップにいざなってくれたみたいな感じです。ありがたいです。
レペゼン:
良いですね。
ゆりやんさんって目標とかを全部達成してきてるイメージがあります。
いろいろ結果をつけて、努力してみたいな。その辺をやっていくモチベーションというか、心構えというか。
これからそういうことを頑張る若い子たちに向けてのメッセージがあれば、頂きたいです。
ゆりやん:
「夢を口に出し、起こすミラクル」ですよ。Awichさんのリリック、言葉を借りると。嘘つくな!って言われたらそれまでなんですけど、実は私も同じ気持ちでずっとやってて。口に出して言うことは絶対叶えられると思うんですよ。
だからとにかく言う。そんなん無理やろとかから入る人もいらっしゃるかもしれないけど、それやめた方がいいです。とにかくやりたいことを全部口に出して、とにかく人に言って、自分にも言う。そしたら絶対叶えられると思います。あと感謝ですね。
レペゼン:
間違いないです!
この度はお忙しい中、誠にありがとうございました!
ゆりやん:
ありがとうございました!
プロフィール
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お笑い芸人。奈良県出身。 小学生の時に観た吉本新喜劇がきっかけでお笑いの世界を志す。NSC大阪校35期生・首席卒業。2017年には「第1回女芸人No.1決定戦 THE W」で優勝、2021年には「第19回R-1グランプリで」優勝するなど、名実共に日本を代表する女芸人の一人。また2019年にはアメリカのオーディション番組「America's Got Talent(アメリカズ・ゴット・タレント)」に出演。角刈りのかつら、星条旗模様の際どい水着を身に着けてのダンスで大きな話題となる。 近年は俳優、アーティストとしても活動の幅を広げており、2023年公開Netflixのドラマ「極悪女王」では、主役のダンプ松本を演じた。またアーティストとしては、Awich 「Bad Bitch 美学 Remix」に参加し、強烈なリリックとラップスタイルを披露。ヘッズたちの間で大きな支持を集めている。