パーティーを通して人の心を強く揺さぶり続ける人達がいる。
彼らは何故、今の仕事を選んだのか?
このコーナーではパーティーというカルチャーに関わり続ける演出家たちの過去から現在まで続くキャリアを紐解いていきます。
第六回は、クラブからファッションシーンまでDJとして幅広く活躍するDJ、Miss VentiKeikoさんのキャリアについてお送りします!今回は「DIG!かばんの中身」でもお馴染みのDJ SHUNSUKEと、新たにLeeが加わってインタビューを行ってきました。
Lee:
まずは自己紹介をお願いします。
Keiko:
東京出身の31歳、Miss VentiKeikoです。R&BをベースにDJをしてます。
DJを志したきっかけ
Lee:
DJを志したきっかけを教えてください。
Keiko:
大学生の頃にクラブでめっちゃ遊んでて、たまたま友達からDJを教えてもらいました。それからまた違うDJの知り合いの人に「クラブでやってみる?」って声をかけられたのがきっかけですね。
SHUNSUKE:
じゃあ僕と初めて会ったのは学生の時だったんですね。
Keiko:
大学4年生くらいの時ですね。シックスがちゃんとしたクラブデビューで、その時初めてシュンスケさんに会った気がします。
Lee:
初めてのDJの現場って、めっちゃ緊張しそうですね。
Keiko:
めっちゃ緊張しました!しかもオープンで入ったのに、1曲目からEDMをかけましたね。他のDJのみなさんがマジでポカンとしてました笑
今考えると信じられないですけど。
Lee:
そんな初回から、DJを続けていこうと思ったのは何かきっかけがあったんですか?
Keiko:
元々クラブは好きだったんで楽しくできてたし、周りがやっぱりいろいろ教えてくれたので、最初は学んでいくのも楽しかったのもありますね。先輩に相談したり、いろいろ試していくうちに自分に合うやり方を見つけていった感じですかね。
カナダで体験した、海外DJの現場
Lee:
海外でもDJ経験があるんですよね。
Keiko:
カナダのトロントにワーホリで1年半行って、そこでもDJさせてもらったりしてました。
SHUNSUKE:
「私カナダ行きます」って言われたことを覚えてるんですけど、なんでカナダに行こうと思ったのか聞いてなかった気がします。いろんな場所でDJをやってたし、壁にぶつかるような段階でもないんだろうなってその時は感じていたんですけど、何かきっかけがあったんですか?
Keiko:
その頃、エディットとかソーレクション系の音楽を知り始めて。でも出てる現場が全部ヒップホップが圧倒的に強いクラブだったので、自分の中でもどうしようかなって迷ってる時期でした。
あとDJとは関係ないんですけど、当時は実家に住んでて、そこから一人暮らしをするとなると、海外に行くタイミングを失うし、今行っちゃうかなみたいな感じで決めましたね。
SHUNSUKE:
Keikoが当時出ていたパーティはブラックミュージックの中でもゴリゴリのヒップホップパーティだったから、もうちょっとバリエーションがある選曲が出来るパーティにも出たいんだろうなっていうのは感じてました。
Lee:
日本でDJをするのと海外のカナダでDJするのだと、環境的な違いはあったんですか?
Keiko:
もう全然違いました。時間帯も違うし、お客さんのバイブスとか求めてるものも違う。日本のクラブは敷居が高かったり「クラブはちょっと…」っていう人が多かったりするイメージがありますけど、カナダのクラブはもっとラフに行ける場所でした。
バーにもDJがいて音楽がかかってて、飲みながら踊ることもできたし。お昼からそういうパーティーをやってることも多かったので、日本とは全然違いましたね。
Lee:
日本よりもDJが活躍できる場所がたくさんあったんですね。
Keiko:
そうですね。DJがちゃんと仕事としても成り立っている環境でした。
SHUNSUKE:
海外では昼から夕方までのパーティーも多いですしね。根本的なニーズが違うのかもしれないですね。
Keiko:
日本にもそういうパーティーがあったらみんながもっと音楽を楽しめると思います。
衝撃を受けた楽曲
Lee:
これまで衝撃を受けた楽曲を教えてください。
Keiko:
最近印象に残ったのは、Joe Jamesの『CRAWL』っていうアルバムです。最近見つけたばっかりなんで、あんまり詳しくないんですけど。エディットを作ってる人たちのビートで、チルな感じでラップしてる曲です。普段クラブではあんまり聞かない感じだけど、こういうのが好きなのでかっこいいなと思いました。
Lee:
普段、音楽はどこで探してるんですか?
Keiko:
SoundCloudで見つけた人がSpotifyで出してる曲を聴いたり、そのアーティストがいいねしている曲を聴いたりしてます。
プロを目指したターニングポイント
Lee:
DJとしてやっていこうと思ったターニングポイントを教えてください。
Keiko:
大学4年生の時にDJを始めて、就活はしなかったのでそこからですかね。私はたぶん、普通の仕事はできないと思ってたので。スーツを着て就活も無理だなと思ったし、親も「好きなことしな」って言ってくれてたので。
Lee:
めちゃくちゃ理解のある親御さんですね。
Keiko:
そうですね。応援していただいてるんで、それからはずっと頑張ろうと思ってやってます。辞めても普通に働くのは無理だと思うので頑張ってます笑
Lee:
周りの友達やDJの先輩方も、みんな応援してくれた感じだったんですか?
Keiko:
友達はみんな「いいね、すごいね」って言ってくれました。多分、反対する人とは友達になれないタイプでした。
SHUNSUKE:
DJの先輩たちはもっとイカれてる人たちだからね。最初はちょっとしかぶっ飛んでない人も、だんだぶっ飛んでいきます笑
20年くらい経つと「やりたい事をやった方がいい!人生一回きりだから!」とか言い出しちゃうし。
Keiko:
人の人生なのに笑
自分がやりたい環境は自分で作る
Lee:
DJの世界は男性の方が多いイメージですが、その中でどう女性としてサバイブしてきたか気になります。
Keiko:
あんまり男女を気にしたことはないですね。男女関係なく、頑張れば頑張った分ちゃんと評価してもらえるんじゃないかなと思います。
Lee:
完全に実力の世界なんですね。今まですごく苦しかったこととか、挫折したこととかありましたか?
Keiko:
めちゃくちゃあります。箱に求められていることと、自分のやりたいことが違う場合に悩むこととかあります。
Lee:
そういう時はどう折り合いをつけていくんでしょうか。
Keiko:
自分がやりたい音楽をやってるイベントに遊びに行って、そこでコネクションを作って、そういう人たちとやれるようにしたりとかですね。
Lee:
自分のやりたいことができる環境を作るために、行動していくんですね。今後はどういうキャリアを歩んでいきたいですか?
Keiko:
もうちょっとクラブだけじゃなくて、カフェとかバーの早い時間のDJも増やせていければなと思ってます。DJを入れていないお店の人に声をかけて、自分の場所を作っていっているDJの先輩たちもいたりするので。
これからのシーンに願うこと
Lee:
これからの日本のシーンに願うことや、こうなったらいいなと思うことを教えてください。
Keiko:
クラブに行くことのハードルがもう少し低くなると良いと思いますし、DJ側がそういう環境を作っていけたらと思いますね。クラブだけじゃなくてバーみたいなところでやるDJが増えたら、終電までで無理なく遊べるし、お客さんももっと来やすくなりますよね。そんな環境を作って、みんなが音楽に触れられる場所を広めていくことですかね。