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ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアについてインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月は事業家ダンサーであり、オタクカルチャーとブレイクダンスを融合させたエンタメ集団「REAL AKIBA BOYZ」のメンバーとしても知られる“けいたん”こと榊原敬太(さかきばら・けいた)さんに全4回に渡って、お話をお伺いしました。
前回までの記事はこちら→ 業界を席巻するエンターテイメントの仕掛け人、けいたんのキャリアの原点とは?
大手企業の内定を辞退。突き進んだフリーの道。
レペゼン:
大学時代にライターやDJを始めて、どのくらいで収入が安定してきたんですか?
けいたん:
半年ぐらいですね。
レペゼン:
めっちゃ早いですね!
けいたん:
コツを掴むのが早かったかもしれないです。
大学生の後半にはダンスバトルのジャッジとかDJで、収入はかなり安定してました。
レペゼン:
普通の22歳とかよりももらってた?
けいたん:
正直、多い月では50万くらいはもらってたと思いますね。
レペゼン:
結構フリーでも生活できる状態だったと思うのですが、就職活動もされたんですか?
けいたん:
一応やりましたね。自分の力がどんなもんだろうっていうのを確かめたくて。
実際大手企業数社で合格を頂いたんですが、蹴っちゃいました。
レペゼン:
そうなんですか!
けいたん:
経験のための就職活動として割り切ってました。
レペゼン:
少しもったいない気もしますが。
けいたん:
特に当時は生意気だったんで笑
就職活動も、相手が求めていることに答えればいいし、そういう風にエントリーシート書いて、そういう風に喋ればいい。要は相手を喜ばせること話せればいいぐらいに思ってて。でもそれって面白くないなと。
レペゼン:
なるほど。
けいたん:
自分の場合は会社で働くよりフリーランスでやった方が効率的だなって思ったんです。でも結局好きなのは非効率的なものなんですけど笑
エンタメって非効率じゃないですか。
レペゼン:
間違い無いですね。
結局そういうので計れないものが好きなんですね笑
けいたん:
ですね笑
人生は自分のジャンルをどれだけ増やすかということ
レペゼン:
けいたんさんは若い頃からビジネス的志向が強かったと思うのですが、周りでそういった話をできる方達はいたんですか?
けいたん:
若い頃は少なかったかもしれないですね。ただ当時はやっぱりB-Boyが友達だったから、それで良かったんです。ダンスの話をしたり、女の子の話をした方が楽しいっていうか。それは僕の中で、すげえ青春だったんですよね。
レペゼン:
良いですね!
けいたん:
人生って自分のジャンルをどんだけ増やすかみたいなことかなと。
そのジャンルを増やすのが、多分僕は一番好きなんだなって思いますね。
レペゼン:
そういう意味でやっぱりB-Boyが拠り所だったんですね。
けいたん:
超拠り所でした。
だから所属してるFOUND NATIONとか、昔のB-Boy仲間が何かやる時は効率性とかビジネスとか度外視で、協力したいんです。それこそ去年、沖縄であったBOTY FINAL*もビジネスとか関係なしに、ブレイクダンスが好きだから協賛させてもらったし。やっぱりブレイクダンスへの想いはずっとありますね。
*世界最大のブレイクダンス、ヒップホップの祭典 「Battle Of The Year」の略称。2022年は沖縄で行われた。
夢がなかったダンス界。そもそもの世界を変えなきゃいけないと思った。
レペゼン:
ブレイクダンスへの想いがずっとあったから、今のようなダンサーやクリエイターのプロデュースを始めたという感じですか?
けいたん:
行き着いたところがそこっていう感じですかね。B-Boyをバリバリやってた時からやりたかったわけではないです。ただ今思い返すと、ダンス界って夢がないなと思ったことがきっかけかもしれないです。
レペゼン:
夢がないというと?
けいたん:
例えば、全国大会や世界大会で優勝したダンサーが、次の日も変わらない仕事をしているってことがよくあって。それってよくないよねと。
レペゼン:
世界で結果を出して、自分たちはテンション上がって空港戻ってきたら、誰も迎えに来てないとか。
けいたん:
そうそう。世界的な日本人ダンサーになってるのに、世の中は何の反応もしないのはなぜなんだろうと。
それだと経済も生まれないし。B-Boyはずっとお金がないままだし、それっておかしいよなみたいなところですよね。
レペゼン:
昔はもう全くでしたからね。
けいたん:
だからそもそもの世界を変えなきゃいけないよなって。2007〜8年くらいから思ってたかな。
ちょうど僕がチームで世界大会行って、結果ついてきた時ぐらいですね。
転換期、気分を上げてくれたのはあの大人気ダンスチューン
レペゼン:
そのマインドの転換期によく聴いていた曲とかってありますか?
けいたん:
やっぱりHeavy D & The Boyz「Now That We Found Love 」ですね。
レペゼン:
クラシックですね!
けいたん:
そうそう。B-Boyをバリバリやってた時はイケイケ攻め攻めの時で、Black Sheepとかザ・ミドルスクールのヒップホップを聴いてたんだけど。
レペゼン:
考えが変わり始めた頃、聞く曲も変わった?
けいたん:
ちょっと仕組み変えないといけないなとか周りのことを考え出した時に、ダンスクラシックになったんですよね。
レペゼン:
何かしら関係するんですかね。
けいたん:
BPMじゃないかな。気持ちを盛り上げてくれる感じというか。
その辺りからハウスとかも聴くようになったし。やっぱりプレーヤーとして頑張ってたところから、一歩引いていろんなことを考えるようになったので、音楽の幅も広がったのかもしれないです。
レペゼン:
なるほど。面白いですね。
けいたん:
すごくダンサブルでテンションが上がる曲なので、ぜひ聴いてみて欲しいですね。
大手企業の内定を辞退し、事業家としての道を歩み始めたけいたんさん。次回はプロデュース事業について聞いていくよ!お楽しみに!
プロフィール
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ISARIBI株式会社をはじめ、10社の取締役を兼任し、ビジネスパーソン、エンターテインメントプレイヤーの両側面で活躍する踊れる事業家。動画共有サービスがユーザーに浸透した黎明期より活躍し、現在は60万人超の登録者を誇るYouTuber 「RAB (リアルアキバボーイズ)」のメンバーでもある。 最近では津軽三味線アーティスト吉田兄弟の20周年記念公演『吉田劇場』や、日本発のプロダンスリーグD.Leagueに所属する『KOSÉ 8ROCKS』のプロデュースを行うなど、ジャパンカルチャーと最先端のクリエイションをボーダーレスに展開するクリエイティブプロデューサーとして活動の幅を広げている。