業界を席巻するエンターテイメントの仕掛け人、B-Boy経営者、けいたんのキャリアとは?

ダンサー、事業家として革新的な企画を生み出す榊原敬太の原点に迫る

ライター:TARO

ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人のキャリアについてインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月は事業家ダンサーであり、オタクカルチャーとブレイクダンスを融合させたエンタメ集団「REAL AKIBA BOYZ」のメンバーとしても知られる“けいたん”こと榊原敬太(さかきばら・けいた)さんに全4回に渡って、お話をお伺いしました。

前回までの記事はこちら→ 世界で活躍する靴職人、三澤則行のヒップホップなキャリアとは?

B-Boy経営者、けいたんの異色のキャリアとは?

レペゼン:
自己紹介をお願いします。

けいたん:
けいたんです。B-Boyと会社経営をやってます。ダンスのチームはFOUND NATIONと安田クルーのふたつ。あとはYouTuberのREAL AKIBA BOYZとして活動してます。

レペゼン:
今経営されている会社について、お伺いしてもいいですか?

けいたん:
ISARIBI株式会社アブストリームクリエイションをベースにグループ会社10社のグループ企業に携わっております。好きな仕事としては、最近は広告企画関連ですね。グローバル企業を含め、様々な広告企画を作ったりしてます。

レペゼン:
けいたんさんは主にどういった仕事をされているのですか?

けいたん:
いろんなことをやってるのですが、今は面白いクリエイターを拾ってくるっていうのがメインですね。

レペゼン:
なるほど。
元々はブレイクダンサーですよね?

けいたん:
そうですね。ただB-Boyの前にそもそもダンス雑誌の「DANCE STYLE」に創刊2号くらいから入らせてもらってて、ライターやってました。

レペゼン:
え!
めっちゃ読んでました。
そこから逆にダンスに出会ったってことですか?

けいたん:
そうです。19とか20歳の頃かな、別に始めようと思ってなかったけど、自動車教習所で合宿行ってたときに一緒に受けてた人がB-Boyで。その人のストマックがかっこよくて始めましたね笑

*ストマック・・・うつ伏せから足を素早く入れ替えて仰向けになる技。

ブレイクダンスでの怒涛の快進撃

レペゼン:
ダンスを始めてからの生活はどんな感じだったんですか?

けいたん:
めっちゃのめり込んでほぼ毎日練習してました。
既にライターの仕事はしてたから、大学はほぼ行かず。行っても授業聞かないで作業してるみたいな感じで。
練習行って、クラブ行って、寝て起きてみたいな生活でしたね。

レペゼン:
チームなどは組んでいたんですか?

けいたん:
当時新宿の安田火災ビルで練習してたメンバーで「安田クルー」っていうチームを組んだんですが、そのチームで良い成績を残せたんです。ダンスを始めて1年ぐらいで、大きな大会で準優勝とベスト4とかまでいけて。

レペゼン:
相当練習しないとその短期間で行けないですよね。

けいたん:
当時安田で練習してたやつらってかなり強かったんすよね。今世界レベルのやつらもいて。
そいつらのおかげもあって笑
安田クルーでガッて名前が売れたのはありました笑

レペゼン:
すごいですね!

けいたん:
そこからFOUND NATIONに入って、世界大会でもベスト4とか準優勝とかでかい結果を残せたって感じですね。

レペゼン:
それってダンス雑誌のライターもやりながらですよね?

けいたん:
ですね。あとフリーの編集者もしてました。人の紹介で、ポップ誌から音楽誌まで様々な雑誌でインタビューからレポート記事まで書いてましたね。同時にDJもやってたので、お金の稼ぎ方がもう確立してて。編集やDJで生活してました。

家庭環境の悪化から生活苦に。リアル・サバイバルな大学時代

レペゼン:
大学時代からすでにバリバリ働いてたってことですよね。

けいたん:
月に30万ぐらい稼いでたと思います。ライターとしてかなり大量の記事を書いてるときもあったから、そのときはさすがに大変でしたけど。

レペゼン:
そこまでストイックに仕事をされていたのは何か理由があったんですか?

けいたん:
食ってけなかったんですよね。うち、高校卒業と同時らへんに家族環境が悪化していて。
食ってけないのって、みんなが思ってる食ってけないとかじゃなくて、本当にリアルにヤバい状態で。マジで生活できない、生きてけないってレベルになっちゃって。

ペゼン:
それは相当きついですね…。
大学の学費などはどうされてたんですか?

けいたん:
奨学金とかも使いつつ、自分で払ってましたね。

レペゼン:
なるほど、そういういきさつなんですね。だから働くしかなかったと。

けいたん:
そうそう。やるしかなかったってところがデカイかも知れない。
人間、追い詰められたら何とかなるみたいな。

レペゼン:
本当に生きるために必死だから働くし。

けいたん:
生きるために必死だからっていうか、実際はそこまで深くは考えてなくて。
人間って本当にヤバいなってなったときって、「無」になるから、よし働こうみたいな感じでしたね。

拠り所はブレイクダンスと音楽

レペゼン:
家庭環境が悪化したり、仕事もハードだったり、結構大変なこともあったと思うのですが、その時代に力をもらった一曲はありますか?

けいたん:
やっぱりブレイクダンスが拠り所だったので、B-BoyアンセムであるBlack Sheep「The Choice Is Yours」ですかね。

レペゼン:
B-Boyはみんな好きですよね。このあたりはよく聴いてたって感じですか?

けいたん:
基本はこういった90年代のヒップホップが好きでしたね。今でも聴くとテンション上がります。

レペゼン:
間違いないです。

けいたん:
あと僕、大学を1年休学して、アメリカに行ってた時期があるんですけど、その時バトルとかで流れることもすげえ多かった。やっぱこれ聴いたらその時代を思い出しますね。アメリカでの経験は自分を強くしてくれたので。

レペゼン:
強くしてくれたとは?

けいたん:
メンタルの部分ですね。
ニューヨーク、ロス、フロリダ、ラスベガスって色々行って。ストリートでダンスのパフォーマンスしてお金稼ぎながら旅してました。

レペゼン:
すごいバイタリティですね。

けいたん:
2〜3ヶ月行ったか。1回帰ってまた戻ってきてみたいな。お金は別に路上で稼げるから。

レペゼン:
ダンサーってなかなかお金稼ぐのが難しい仕事じゃないですか?
けいたんさん的には、あんまりお金がないっていう感覚はなかった?

けいたん:
んーそもそも何か続けるためにお金が必要なのは当然だから、金がないっていう意見を言ったことはないかも。

レペゼン:
へー!

けいたん:
そもそも僕、本当にお金使わないんです。マジで使わない。趣味がないし。お金使う所って言ったら、大好きな納豆ご飯とネギぐらいです。

レペゼン:

間違いなく美味しい組み合わせです笑

家庭環境の悪化というハードな状況を乗り越え、B-Boyとして、そしてライターとしてのキャリアをスタートさせた、けいたんさん。次回は大学時代の就職活動や起業の話を聞いていくよ!お楽しみに!

プロフィール

  • 榊原敬太(さかきばら・けいた)

    榊原敬太(さかきばら・けいた)

    ISARIBI株式会社をはじめ、10社の取締役を兼任し、ビジネスパーソン、エンターテインメントプレイヤーの両側面で活躍する踊れる事業家。動画共有サービスがユーザーに浸透した黎明期より活躍し、現在は60万人超の登録者を誇るYouTuber 「RAB (リアルアキバボーイズ)」のメンバーでもある。 最近では津軽三味線アーティスト吉田兄弟の20周年記念公演『吉田劇場』や、日本発のプロダンスリーグD.Leagueに所属する『KOSÉ 8ROCKS』のプロデュースを行うなど、ジャパンカルチャーと最先端のクリエイションをボーダーレスに展開するクリエイティブプロデューサーとして活動の幅を広げている。

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