ヒップホップ好きのスポーツ選手や文化人にインタビューしていく「あの人も実はヒップホップ」。今月は山口県・下関市を拠点に農家ダンサーとして活動するノッポさんに4回に渡ってお話を伺います。
34歳でサラリーマンから農家へ転職。農家ダンサー・ノッポとは?
レペゼン:
自己紹介をお願いします。
ノッポ:
農家ダンサーのノッポです。
山口県下関市で関門海峡初の国産レモン「海峡レモン」の育成・ブランディングを行なっています。
農家とストリートダンサーの両方を本気でやってるので、農家ダンサーという肩書きで活動しています。
レペゼン:
ありがとうございます。
元々ずっと農家をされているんですか?
ノッポ:
いえ、元々は高校卒業後、会社員を15年やってました。
ダンスも高校卒業後から始めて、会社員と並行してずっと続けてましたね。
2019年に実家の農家を継いだので、そこからは農家ダンサーとしてやっています。
レペゼン:
なるほど。
ご実家が農家だったんですね。
ノッポ:
そうですね。
元々継ごうかどうか迷ってたのですが、2016年に祖父が亡くなり、その2年後に父がガンで他界しまして。
それで急に自分にバトンがやってきたんです。
迷ってたはずなんですけど、その時はもう結構スッと農家になろうって思えましたね。
レペゼン:
元々農作業のご経験はあったんですか?
ノッポ:
まったくです。
趣味で家庭菜園が趣味の人とかいるじゃないですか?
ああいう人たちの方が僕より農家ですね笑
レペゼン:
それでいきなり農家の経営って大変ですよね。
ノッポ:
そうなんです。
だから「農家ダンサー」と自分を名付けたのもありますね笑
実家を継いだ時に僕は34歳だったので、農業の世界でゼロからやっていくには年齢的に厳し過ぎるなと思って。
元々やっていたダンスと組み合わせて、世間に知ってもらおうと思ったんです。
レペゼン:
ブランディングしていったわけですね!
ノッポ:
そんなたいしたもんじゃないんですけどね。
とにかく農家ダンサーという旗を振って、優秀な人に出会って、その人におもいっきり助けてもらおうと。
完全に他力本願です笑
農家としてのキャリアを救ってくれた「海峡レモンプロジェクト」
レペゼン:
農家ダンサーとしての活動を始めて、その後はどうなったんですか?
ノッポ:
しばらくは各地のマルシェやイベントを回ってたのですが、2020年にコロナがやってきて、全く営業ができなくなっちゃったんです。
レペゼン:
いきなりの大ピンチですね…
ノッポ:
何をしたらいいかわからず、かなり追い込まれてましたね。
その時たまたまイベントで知り合った方から連絡がきて、関門海峡初の国産レモンを一緒に作りませんか?ってお話を頂いたんです。僕の「農家ダンサー」って肩書きを覚えてくれてたみたいで笑
レペゼン:
すごい!
やっぱり肩書きって大事ですね笑
ノッポ:
奇跡です笑
それが転機でしたね。
そこから海峡レモンのプロジェクトを始めて、いろんな繋がりが増えていったんです。
【海峡レモンプロジェクトのメンバーと】
レペゼン:
レモンの品種はどういったものを作っていらっしゃるんですか?
ノッポ:
リスボンという品種です。
最初の年は他の品種も植えてみたんですけど、その年の冬にとんでもない寒波に襲われて、うまく育たなくて。
レモンって寒さに弱くてマイナス5度以下になると、枯死してしまうんです。
リスボンは耐寒性が一番あると言われているので、それでなんとかチャレンジしてるという段階ですね。
レペゼン:
まだ実際に収穫や販売はしてないという段階なんですか?
ノッポ:
収穫はまだまだですね。
2025年〜2030年で収穫を始める予定です。
販売はお世話になっている瀬戸内のレモン農家さんのレモンを使った「海峡レモンソーダ」をECサイトで販売しています。いつか海峡レモンでソーダを作るのが目標です。
レペゼン:
すごく時間がかかるものなんですね!
ノッポ:
そうですね。ただそれだけ価値があるものなんです。その地域でオリジナルのレモンができれば、料理やお菓子、飲み物やお土産など全てに波及効果が出てきます。広島の「瀬戸内レモン」がまさに良い例ですよね。
下関って海産物は有名ですが、農産物がどうしても弱いんですよ。だからこそ新しいブランドを作り上げて、地元を盛り上げたいと思ってます。
農作業で流したいファンク・ミュージック
レペゼン:
ダンサーとしてはどんなジャンルを踊っているのか教えてください。
ノッポ:
ロックダンスというジャンルのダンスをやってます。
ジャニーズの中居くんとか、昔のDA PUMPさんが踊ってたダンスですね。1970年代前半に生まれたダンスで、1人で踊るよりは、みんなで合わせるようなステップとかが多いです。
レペゼン:
良いですね!
どんな曲で踊るんですか?
ノッポ:
一般的にはファンクミュージックです。
70年代前半に栄華を極めたジャンルで、ジェームス・ブラウンとかが有名ですよね。
レペゼン:
良いですね!
そんな中でちょっと無理やりなんですけど、農作業中に流してる曲や他の農家の方におすすめしたい曲があれば、お伺いしたいです。
ノッポ:
トラクターに乗ってるときに、頭にいつも流れる曲がありまして。
Warっていうファンクバンドの「Why Can’t We Be Friends」って曲です。
レペゼン:
どういった内容の曲なんですか?
ノッポ:
「友達になろうよ」みたいな感じのめっちゃピースな曲ですね。いつ聴いてもポジティヴな気分にさせてくれます。
あとこの曲のうんちくで、1970年代にアメリカとソ連が冷戦時代にゴリゴリ争ってるときに、宇宙でそれぞれの宇宙船が初めてドッキングしたことがあるらしいんです。その時にNASAがかけたのが「Why Can’t We Be Friends」らしくて。
レペゼン:
すごいですね!
そんなピースな曲だったら農作業にも間違いなく合いますね。
ノッポ:
めっちゃ合いますね。
ちなみに過去にあったオンラインの映像ダンスバトルで、トラクターに乗って、この曲をかけながら出たことあります笑
レペゼン:
えー!笑
ノッポ:
トラクターで登場するって誰もやったことないだろうなと思って笑
レペゼン:
すご!
じゃあトラクターに乗ったまま踊るんですか?
ノッポ:
トラクターは登場シーンで使いましたね。
みんな普通に歩きとかで入ったりとか。僕はトラクターでまず入って、それでもう30秒ぐらい使っちゃいました。
レペゼン:
じゃあトラクターから降りて、踊ったんですか?
ノッポ:
そうそう。
本当にもう時間がないから、10秒20秒踊って、また乗って帰っていくっていう。
遊び心を理解してもらえたのか予選上がりましたね笑
レペゼン:
さすがです笑